劇場版鋼の錬金術師〜シャンバラを往く者〜感想
あまりに賛否両論があるので、うっかり観るつもりのなかったこの映画を観にいってしまいました。仕 事場から近かったってこともあって、ええ1,000円で(基本です)。 結論から言いましょう。 ぶっちゃけ「Zガンダム」の方が、面白かったです。 20年も前の作品を切り張りしたモノよりも、全部新作の方が面白くないって一体・・・?とオロオロ しているわたくし。それとも富野監督の伝説「コンテ千本切り」の技の成せる業でしょうか? 全体 ・全体がいっぱいいっぱいで、余裕がない。故に色んなシーンを省いていると思われます。主にキャラ  の描き方が端折られている感じ。アニメスタッフにありがちな「オリジナルキャラ優遇」が、モロに  でてしまい(主にノーア)この作品の主力でもある軍部が非常に疎かになっているのがダメダメです。  ドイツの歴史などちょっと勉強すれば良いわけなので、あんなにシーンを割いて説明しなくても良い  と思います。その代わりにエド・アルフォンスの描写や、アルとウィンリィの会話などを加えれば人  物像に深みが出たと思います。まあ、私の中でのキングオブつまらんアニメ映画「アップル○ード」  に比ぶれば、面白かったのは事実ですが。あと、何回か観ないとわからないものもあるという意見を  見ます。異議はありませんが、映画と言うものは大体1回しか観ないものです。安くないお金を払っ  て(お前が言うな)観るものなのですから、1回で納得させるものもスタッフに求められるものだと思  いますよ。安易なお涙頂戴には苦笑してしまいましたがね。死というものは簡単に「感動」を与えら  れるものです。よって多発してはいけないものだと考えますよ。 個々 良かった所 ・やっぱり少佐(元)のファンタジーな錬成は最高です。よかったね、リオールの人々!(そうか?)あの  お店の主人、生き残ってたんですね。お店直してもらって良かった。・・・なんだかカジノな街の店  ですかと突っ込みたくなったのは、私だけではあるまいと国会に提出する気はありません。 ・等価交換をTV最終回で否定しただけあって、まったく等価とは思えない錬成をするアル。おばちゃ  ん涙を禁じえません(笑)井戸も枯れ井戸ってあるの知ってる?でもシャワーなアルは可愛らしかった  です。きっとそばにいたさそりも、シャワーできて大喜びだったでしょう。砂漠にさそりはつき物で  す(本気か) ・リオールの街でやっぱり等価交換を(以下略)なんと竜巻巻き巻きで鎧を吹っ飛ばすアル。きっと上空  を飛んでいた雀も2,3羽は巻き込まれたと存じます。でもやんちゃな表情で鎧に魂切り売りして、  アクションするアルには感動いたしました。 ・鎧アルと無気力兄さんとの、感動の再会!鎧の顔がギザギザしている場所が、兄さんの頬の傷にクリ  ティカルヒット!あれは確かに痛そうだ。鎧に本能的におっかぶさって指示だす、兄さん。いいなあ  こういう場面は大好きです。そのあとの川辺で涼みながらの会話も良かったなあ。 ・扉から飛行機ドーン。いや多分映画館で観たら笑いが止まらなくなって、席で3回横に回って4回縦  に回るかと思ったんですが結構観れました。意外だったな。そういう意味での良かったです。 ・踊る大走査線もとい大佐な伍長。アルの「誰コレ?」と言いたげな顔がポイント高し。アルは軍部を  知らないのかな?文字通り踊っての指パッチンなアクションシーンは熱くなりました。手パンよりも  技を出すのが早く、しかも有効範囲が広いことを考えるとやはり大佐な伍長は優秀なんですね。いけ  ませんよ、ポ○ルさんなんて言っては。私は書いてるだけです子供を守るパパみたいだったですね。  兄さんなんか、すました顔して後ろに下がってるし。 ・私の席の後ろには、外人さんな少年以上が2人も観に来ておられました。良いなあ、日本語も英語も  ペラペラですね(本編と関係ない)   う〜んな点 ・まずジプシー達との最初の出会いはいらないんじゃないでしょうか?非難するだけでもなんなので、  とりあえずズブの素人が考えてみました。  兄さんの昔話のあと、クラッシュした車を二人で押す。  ハイデ「もう、エドワードさんはうっかりしすぎなんだよ。」  兄さん「アルフォンスが、俺の話を信じないからだろ!?」  ハイデ「信じるも何も、錬金術はもう存在しないの。さっき言ったよ、常識でしょ?」  とかなんとか言いながら、ようやくカーニバル会場へ。待ちくたびれたような、仲間達が出迎える。  仲間1「遅かったじゃないか・・・・って車、どーしたんだ?」  兄さん「いや〜ちょっと。」  ハイデ「エドワードさんが、よそ見運転してね。ご覧の有様さ。」  兄さん「ばらすなよ!」  会場内に入っていく皆様。そして途中で昼寝に行く兄さん。  鬱になる兄さんにノーアが逃げてきて隠れるが、見つかって兄さん乱闘。終わった頃にハイデ達がロ  ケットを飛ばす。   大丈夫かと声をかけながら近づく兄さんの腕を掴む(うっかりと)ノーア。驚く兄さんにノーアは言う。  「そう、貴方も故郷がないの・・・・・。私と同じで・・・・・・・・・・。」  さらに驚く兄さん。見詰め合う形の2人に、ハイデがやってくる。  ハイデ「エドワードさん、こんなところにいたんだ・・・・って。」  目を丸くするハイデ、しかしすぐニヤッと笑う。  ハイデ「やるね、エドワードさん。こんなトコでナンパかい?」  兄さん「ち、違う!!勝手に誤解すんな!!」  ハイデ「そんなにムキにならなくっても、良いじゃない?」  兄さん「だーかーらー違うってば!!」  なんとか事を説明して納得してもらう兄さん。  兄さん「ちょっとの間だけで良いから、匿えないかな?」  ハイデ「えー?男の部屋に女の子って、ちょっとまずくない?」  という会話の後、匿うことに決定(笑)  ハイデ「(右手を差し出して)ボクはアルフォンス・ハイデリヒ。君は?」  ノーア「(警戒しつつ)ノーアです・・・・。」  兄さん「自己紹介してなかった・・・おれはエドワード・エルリックだ。」  それから朝、ハイデさんちでの朝食シーンに繋がる。  あんまり細かく書くとキリがないので、大分はしょりましたがここでハイデはキャラをたてておくべ  きだと思ったんですよ。兄さんの友人関係が、全然描かれてなかったので・・・・。あとはここで、  やはりハイデのロケットにかける情熱を見せて欲しかった。兄さんの口から「あいつはさ、身体弱い  くせにロケットのことになると平気で無理すんだよ。」という言葉が出るだけでも、ハイデさんの情  熱がわかるもんだと思うんですけど・・・・・。 ・ウィンリィとアルの姉弟な会話を楽しみにしていた私にとって、まったくなかったのが悲しいです。  アルが「ウィンリィ」って呼ぶだけじゃん・・・。    アル、兄さんと魂再会してちょっと泣いた後下に降りてくる。  ウィンリィ「アル、起きたの?」  アル「うん・・・・・。」  ウィンリィ「どうしたの・・・・?泣いてたの?」  アル「ううん、なんでもないんだ。」  ウィンリィ「そう・・・・・ならいいんだけど。何か飲む?」  2人して麦茶でも飲んでもらう(笑)  ウィンリィ「本当に、今までドコに行ってたの?イズミさんの所に訪ねてみれば、アルいないし。帰        ってきたと思ったら、グーグー寝ちゃって。」  アル「えと・・・リオールの街に行ってロゼさんとアームストロングって人に会ったよ。」   ウィンリィ「あ、そうなんだ。ロゼさん元気?」  アル「うん、とっても。でもウィンリィ、あのアームストロングって人はなんだか凄いね。筋肉がこ     うモリモリでさ。凄いセンスのお店とか建物とか作ってたよ。」  ウィンリィ「ハハハ・・・・安易に想像できるわね。」  ウィンリィは意識的に兄さん話題にするのを避けてます。アルが辛い顔をするから(夢見てます)こん  な感じで話すシーンを入れてもバチは当らないと思うんですけど。 ・アルの兄さんコスプレ大作戦。他の媒体では語られているようですが、肝心の本編では見事にスルー。  個人的にこの説明はしなきゃいけないと思ったんですけどね。本編で。  シグ「どうした、その格好は?」  アル「えへへ・・・似合いますか?」  シグ「エドにそっくりだな。」  アル「・・・・はい、コートは兄さんのなんです。」  シグ「そこまで似せなくても良いだろうに。」  アル「僕は、今の兄さんを知りません。だからひょっとしたら兄さんを、見逃してしまうかもしれな     い。だから、この格好をしてれば兄さんの方が気がついてくれるかもしれない。または兄さん     の行方を知っている人に、出会えるかもしれない。そう思ったんです・・・・。」  実際こういう理由であの格好だったらしいので、キチンと言って下さい。あれじゃアルがただの兄さ  んの格好を真似て、喜んでいるとしか思えません。兄さんもなんで突っ込まないんだ・・・。      ・ラース関係。ラースが殆ど喋らなかったので、唐突なイメージが拭いきれません。  アル「君は・・・」  ラース「お前、エドワード・エルリックに会いたいか?」  アル「え?」  ラース「お前の兄さんに会いたいか、と訊いてるんだ。」  アル「あ、会いたいよ。会いたいに決まっているじゃないか!でも・・・扉がどこにあるのかわから     ない。」  ラース「なら、僕について来い。」  アル「君は、何か知ってるの?」  ラース「知ってる。お前がエドワード・エルリックに会いたいなら、ついて来い。」    みたいな会話の後、ロックベル家を抜け出すアル。こんな感じの会話が欲しかったです。あとはグラ  トニーとの戦闘で、アルがバカみたいに突っ立っていたのが個人的に嫌ですね。  アル、呆然とするが我に返った感じでラースに加勢しようとする。  ラース「来るな!」  アル「!」  ラース「お前はそこで、扉をすぐに開けれるようにしておけ!」  アル「で、でも!!」  ラース「兄さんに会いたいんだろ!?ならそこで待ってろ!」  アル「・・・・・・・・・・・・」    ラース「僕は扉の向こうへ帰りたいんだ!帰りたいんだ!!あの人の元に帰りたいんだ!!!」  扉開く。  てな感じで、もう少しラースに感情を爆発させてもらっても良かったと思います。ちょっと必死さが  足りない気がします・・・・がラースが還る場面は大満足です。生き続けるだけが、幸せとは限りま  せんからね。 ・するなと注意されているのに、上映中メールをみる人。私は眼鏡をかけているので、結構あの光が眼  鏡に反射してしまうのです。というかですね、メール見るくらいなら出て行けという気持ちです。映  画よりメールの方が大切みたいですからね。何回邪魔されたか分かりません。席が隣だったら注意し  ますよ。あと、気になったのは・・・・まさかと思うんですが、静かなシーンになるとどこからかシ  ューというウオークマンでも動いているような音が。ひょっとして誰か録音してる?きょろきょろし  てしまったんですが、どこから聞こえてくるのかわかりませんでした。間違って、ずーっと再生くり  返していると思いたいです(だから、それ本編に関係ない) キャラ別 ・エドワード・・・兄さん、思い出のアルは可愛いですね。「も〜う、兄さん遅いよ!穴開いちゃった          よ〜。」と甘えた声を出して走り寄るアルに驚愕いたしました。あんな甘えっ子、          いたか?って。作中では兄さんが1動くと4状況が動くという感じでしょうか。素          直に鎧アルと出会った時の元気な兄さんは、大好きです。背中にへばりついてるよ。          それから妙に嬉しそうな兄さんも。客観的に見れば、ハイデをアルの代わりにして          いたっぽいですが、兄さんにしてみればいっぱいいっぱいだったでしょうね。アル          と重ねて、違うんだと言い聞かせて落ち込んでのループ状態だったのでは。鎧の頭          を持って帰ってきてましたが身体の方はどうされましたか、兄さん。 ・アルフォンス・・予想以上に活躍しなかった(涙)旅費はどうしてたのか気になります。やっぱり兄さ          んの残したお金?最初の登場で、等価交換を激しく無視した錬成を行って私に激し          く動揺されたアル。「ボク魂と身体が離れやすいんです」って貴方、それおおごと          ですよ?朗らかに言ってる場合じゃないっす。兄さん聞いたら泣くよ?と思ってい          たら兄さんに大喜びされていましたが。リオールでの戦いや行動は楽しかったです。          魂移した鎧と大暴れしていて、とても嬉しかったです。鎧にへばりついていこうと          するのをロゼに止められて、渋々諦めたり。兄さんとは違ったやんちゃぶりで良か          ったんですけどね。後半のアルはなあ・・・・(溜息)最後はアルが自分の意思で兄          さんについてきちゃったわけですが、反対に考えればアルは別世界から敵を呼んだ          罰として世界から追放されたという可能性もありますね・・・。正に楽園追放。考          えすぎかな。今後兄さんにハイデの面影すら重ねられるかと思うと(やるだろうあの          兄さんは)ちょっと気の毒ですね。 ・ハイデリヒ・・・ハッキリ言って描写不足にも程があります。彼はこの話のキーパーソンでもあった          はず。背景がまったくなく、もはや兄さんの為だけにいる都合の良いキャラ。ロケ          ットに対する熱意ももうちょっと出して欲しかった。ドイツの敗戦だけがロケット          に走った理由ではないはず。何故ロケットを作ろうとしたのか、その原点が個人的に          知りたかったです。ハイデは結局殺されますが、満足だったでしょう。ベットの上          で病に苦しみながら何も出来ずにいるのと、殺されても自分の思うように生きれる          方が私は好きなので。しかしなぜこのアニメは皆さん目ェひんむいて亡くなられま          すか?死ねば皆、泣いてくれるでしょ?という姿勢が見えるのは、私が年を取った          証拠でしょうか。 ・ウィンリィ・・・アニメの彼女が好きではない私ですが(原作は大好きです)仮にもヒロインだという          のに、この扱いはなんでしょうと愕然としました。兄さん専用機械鎧のクロネコヤ          ○トですか。せっかくあんなに美人に成長したというのに、もったいない。彼女も          完全に兄さんに都合の良いキャラになってしまって残念です。 ・ロイ・・・・・・お笑いとして登場。この人もいきなりやる気になって首都に来たのか皆目見当もつ          きません。ってかアメストリアにはもう「指揮官」が存在しないんでしょうか。あ          の場面で指揮官もおらず、散発的に(としか思えない)攻撃してるなんて軍隊失格で          す。あの場面で少佐(元)と大佐な伍長しか国家錬金術師が出撃していないのも不自          然ですな。最後は美味しいトコをとってく大佐な伍長。アイさんともうちょっと会          話して欲しかったです。アルに兄さん追っかけていけとそそのかした(笑)のは彼だ          と思っています。そうじゃないとなんだか、変だし。 ・軍部の方々・・・皆様、幸せになって下さい・・・・・・・・・。 ・ノーア・・・・・必要あったんでしょうか、この娘。兄さん寝てる時に現れた時は、すわ18禁かと          焦った私はアダルトでしょう。いくら記憶を読めるからって完璧に原理を分かって          いないのに、練成陣は描けない気がするんですが・・・・。ひょっとしてこちら側          のロゼなのでしょうか・・・。 こんな感じでした。もう観にいくことはないでしょうね。なんだか「シナリオブック」なるものを出し 弁解しているようですがプロとして恥ずかしくないのかと言っておきます。解説求められて「本編観れ ばわかるでしょ?」と言った禿御大を見習って下さい。うーむ富野信者みたいだ。好きな監督さんじゃ ないんだけどな(苦笑) またチョコチョコ追加するつもりです。