「あ、アルベルちゃ〜んv」
       のーてんきな幼い声がして、テテテとだれかが走ってくる。アルベルはうんざりしていた。なんだって
       あの世界の人間は自分に声をかけてくるのか。人と係わることが嫌いなアルベルにとって、なにかとひ
       っついてくるフェイトやら・・・・・今目の前でニコニコと笑っている少女、スフレなども苦手だった。
       それでも彼も彼女も自分のもとにやってくる。それ以外の人間も。
       「あれえ?珍しい〜フェイトちゃんと一緒じゃないんだ。」
       首を傾げて無邪気に言う。相手にせず無視を決め込んでも、彼女は回りこんでくる。それはかの蒼い髪
       の青年も同じだ。
       「あいつとセットにするな。俺だってたまには一人で町をうろつきたいこともある。」
       むっつりと言うと、そっかあなどと気楽に返事をしてくる。
       「フェイトを探しているのか?生憎見てないがな。」
       「ううん、探してはないんだけど。ね、アルベルちゃん。」
       「・・・・・・・・・なんだ?」
       「ちょっとお話しよーよ。」
       「別に話したいことなんざ無いが。」
       「いいじゃん、あたしがしたいんだもん。」
       この少女が言い出したら引かないのは、分っている。早く終らそうとして、アルベルは無言でえらそー
       にふんぞり返って先を促す。
       「アルベルちゃんってさ、フェイトちゃんのことどう思ってるの?」
       「ムカツク奴だ。」
       即答かい。
       「あたしはね、フェイトちゃんのこと好きだよ〜v」
       「物好きなやつだな。」
       「そう?ソフィアちゃんにも聞いたけど、結構モテるんだって。だってフェイトちゃん、ハンサムだも
        んね。」
       アルベルとしてみれば、顔の造作なんぞどーでも良いのだ(特に男は)。彼の興味は強弱だけなのだから。
       まあ、他人の恋愛沙汰に首を突っ込む気も無いが。
       「アルベルちゃんはね、最初は怖い顔だと思ってたけど・・・・。」
       「けど、何だ?」
       「綺麗な顔だなーって思ってるよ。」
       「そーか。」
       怖い顔と言われた時、密かにショックだったのはアルベルの中では内緒なのだが、メンバーには皆気が
       ついていたのも内緒だったりする。綺麗と言われたからでもないが、ちょっと嬉しいアルベルだった。
       興味の無いフリをしても、誉められれば悪い気がしないのは仕方が無いことだろう。
       「あたしね、フェイトちゃんの力になりたいんだ。」
       後ろに手を回して、俯きながらスフレはぽつんと呟いた。拗ねたかのように、時々片足で大地を蹴る。
       「フェイトちゃんのお父さん、死んじゃったんでしょ・・・・。それってアタシのせいかもしれないん
        だ。・」
       アルベルは首を捻った。確かフェイトの父親が死んだ時、スフレはその場にいなかったはずだ。それな
       のに、スフレは自分のせいかもしれないと言っている。謎だ。
       「?どういうことだ?」
       「ん・・・ハイダで敵襲にあった時、フェイトちゃんの御両親はフェイトちゃん達を逃がしたの。でも
        フェイトちゃんは、お父さん達を助けに行こうとしてた。だけどさ、アタシはそれをしたらフェイト
        ちゃんの御両親が何の為に留まったかわからなくなるって思って。」
       「・・・・・・・・・・・・・・。」
       「ゴンゾーラちゃんに頼んで、フェイトちゃんを無理矢理避難場所へ運んでもらったの。で、その後に
        移った船が襲われてフェイトちゃん達とは離れちゃった・・・・。その前に、フェイトちゃんに御免
        って言ったら、優しいからフェイトちゃん。気にするなって言ってくれたの。」
       「本人が気にしないって言うならいいんじゃねーのか?」
       「違うよ、アルベルちゃん。本当はアタシの事怒ってたんだと思う。でも優しいから。思うの、もし私
        があの時フェイトちゃんを行かせてあげてたら・・・アタシも手伝っていたら、フェイトちゃんのお
        父さんは死ぬ事なかったって。」
       「・・・・・・・・・・・・。」
       「だからアタシ、フェイトちゃんの力になりたいの。」
       まるで懺悔が終った時の様に、スフレは晴々とした表情でアルベルを見る。彼女なりに悩んでいたんだ
       ろうから、あんまりキツイ事は言いたくないのだがアルベルは口を開いた。
       「フン、くだらん。所詮は自己満足の為に、ついてきているわけだ。」
       キツイ事を言わないどこうと思っても、やっぱりキッツイ言い方をしているアルベルであった。スフレ
       の顔色がさっと悪くなる。
       「違うよ、アタシは・・・!!」
       「良いか、阿呆。確かにソレが原因で奴のオヤジが死んだのかもしれん。だがその時の事態にお前は責
        任取れるほど、お偉いのか?」
       「それは・・・・・。」
       「それにその時フェイトに引っ付いていったソフィアが、捕まっている。あの時お前が止めたから、結
        果的にフェイトはココにいたんじゃないか。その時フェイトがとっかえしていたら今頃、もっと悪い
        状況になっていたとも考えられる。」
       「アルベルちゃん・・・・。」
       「確かにあの時、ああすれば良かったと振り返ることはある。だがそれに縛られていたら、ソコで終る。」
      本当は人のことを偉そうに言えた立場ではないのだが、あえてアルベルはそういう言い方をした。
      「それに・・・フェイトは怒ってないだろう。」
       「え・・・・どうして?」
       「奴は意外と嫌いな人間と好きな人間への接し方がハッキリしているからな。それから見れば、お前は
        嫌われてはいないはずだ。」
       「そうなんだ〜。へーアルベルちゃん、フェイトちゃんのこと良く見てるね。」
       「人の上に立つ以上、周りがみえんとどーしよーもないだけだ。」
       どーも、まわりくどく(しかも毒舌)なってはいるものの、アルベルはスフレの告白に対してフォローを
       入れているつもりらしい。スフレは笑った。
       「優しいね、アルベルちゃん。」
       「優しかねーよ、阿呆。大体、お前らの使う”優しい”という表現、俺は嫌いなんだよ。」
       「なんで?」
       「自分に都合の良いように相手が接したり、言葉をかけたりすることに対して”優しい”というからだ。」
       「違うの?」
       スフレはまるでステップを踏んだかのように、ふわりとアルベルの前に回りこんで首を傾げる。
       「違う。苦言を言ったりするのも”優しい”という言葉に当て嵌まるんだぞ。」
       自分は苦言されれば王とウォルター以外の人間には切れるくせに、いけしゃあしゃあとアルベルは言う。
       幸いスフレは気がつかないみたいだが・・・・・。
       「じゃあさあ、今度アタシが変なことしたら叱ってよ。」
       「御免だな。フェイトの奴の行動に振り回されて、そんな余裕はねーよ。」
       渋い顔をして、しかも大真面目に言ってくるアルベル。フェイトちゃんのこと、大事なんだねーという
       スフレの意見は胸の中にしまっておくことにした。いつか、アルベルを必死で追いかけているフェイト
       に教えてあげようと思いつつ。
       「アルベルちゃん、アタシお腹空いた。一緒におやつに行こうよv」
       アルベルは甘いものに弱いらしい。ちょっと嬉しそうにして、しょーがねーなーとか言いながらスフレ
       についていった。



       ★ギャグ調にフェイトを語るアルベルとスフレにしたかったのに、なんだかエセシリアスになってしま         いました・・・。反省。しかも全然フェイトのこと話してないし。看板に偽り有りを地で行ってしま         いましたよ。        戻る