ご注意!
これは、もしハリーがロンと知り合う前にドラコと出会って友達になっていたら ということを前提にしている話です。
IF
       ハリー・ポッターはドラコ・マルフォイと友達になった。そして薦められるまま、スリザリン寮に入っ        た。少し居心地が悪かったが、ドラコがキチンとフォローを入れてくれたので次第に慣れていった。        だがある時、グリフィンドール寮の連中と合同授業になった。ドラコに促されるまま、席に座る。ふと        見ると、自分の前に燃えるように赤い髪があった。        「やあ、ウィーズリー。」        ドラコがニヤニヤと笑いながら、前の赤髪に声をかけた。珍しいこともあるもんだ、とハリーは思う。        こんな風にスリザリン生の他に声をかけたことはなかったのだから。しかし赤髪は、微動だにしなかっ        た。ドラコも別に気にした風もなく、言葉を続ける。        「まったく、君は著名な純血だというのに、そのみすぼらしいローブはなんだ?杖もお下がり、ペット         もお下がり。本当に貧乏って嫌だねえ〜。」        ピクン、と赤髪が反応を返した。        「五月蝿いわよ、マルフォイ。もうすぐ授業が始まるんだから、静かにして。」        ピシャッと言ったのは、彼ではなかった。彼の隣に座っていた栗色の長い髪の少女だった。可愛らしい        少女だが、ドラコを見る瞳は冷たい。そして、ハリーをも同じ瞳で見た。蔑んだ瞳、ハリーはどきりと        した。        「五月蝿いのは、そっちさグレンジャー?僕は君に話しかけた覚えがないがね。」        ドラコはグレンジャーという少女に負けていなかった。        「この穢れた血が・・・!」        吐き捨てる様に言う。その言葉に当の少女よりも、その赤髪が素早く反応した。        「ドラコ、貴様!!!」        彼が振り返って、叫んだ。柔らかそうな赤い髪が、ふわりと揺れる。そばかすだらけの顔に、青い瞳が        怒りを湛えている。ハリーは、先程とは全く違った意味でどきりとした。こんな風に他人の為に、怒る        人間を初めて見たのだった。ちらりとドラコを見ると、彼は満足そうに笑っていた。いまにも掴みかか        らんばかりの少年を、少女が止めた。        「止めて、ロン!良いから、私は気にしてないんだから・・・!」        「だって、ハーマイオニー。あいつ君の事を・・・・っ!!」        正に乱闘が始まる、という時になって先生が入ってきてその場はなんとか落ち着いた。        そしてハリーは気がついた。ドラコがスリザリン生以外で声をかけるのは(例え絡む目的であっても)こ        のロン・ウィーズリーだけだということに。        ロンはいつもハリーがドラコの隣にいるからなのだろう、きつい視線で睨みつけてくる。・・・ドラコ        に向けるのと同様に。その視線に晒されるのが、何故かハリーには辛かった。        「ねえ、マルフォイ?なんでそんなにあのロン・ウィーズリーにチョッカイかけるのさ?」        何気なしに訊いたハリーの問いに、ドラコは一瞬言葉を詰らせていた。ちょっと考えるような仕草をし        てから、答えてくる。        「あいつは尊い純血種なんだ。それなのに、あんなマグル出身の連中と付き合っている。だから、気に         いらないんだ。」        背けたドラコの顔が、赤くなっていることは容易にわかった。だから、ピンときた。ドラコはあのロン        ・ウィーズリーが気になって仕方がない。だが相手が自分を無視してしまうので、チョッカイをかけて        自分を見て欲しいのだ、と。        「片思いなんだ・・・。」        思わず呟いた言葉が聞こえたらしく、ドラコがなに?と聞き返してくる。        「いいや。でもそれをいうなら僕だって母親はマグル出身だよ?」        ドラコがちょっと困るのを知っていて、あえてハリーは物申した。        「君は特別だ。」        ドラコが即答してきて、今度はハリーが言葉に詰った。蔑む、という意味では「あの家」では特別な存        在だったが、ドラコが言っているのは正に「特別」なことなのである。ハリーはマイナスの感情を受け        て育ったので、マイナスの感情には強いがプラスの感情にはどう反応していいのかわからない。困った        ような顔をしたハリーに、ドラコが吹き出す。        「僕を困らせようとするから、ちょっと反撃してみたんだ。そんなに困った顔をするなよ。」        ドラコは、そう言って前を向いた。        ある日、ハリーは自由時間に森の近くでぶらぶら散歩をしていた。ドラコは父親が来たらしく、会いに        いっていていなかった。そして、何気なく見ると・・・・・。        「!?」        あのロンが木に凭れ掛かって、寝ていた。ハリーは何故か焦ってきょろきょろと周りを見回す。いつも        ロンと一緒にいるハーマイオニーは、どこにもいなかった。何故かそれにほっとして、ハリーはロンに        近づいた。ロンは良く寝ているようだ。風が少し吹けば、あの柔らかそうな赤い髪がふわふわと持ち主        と同じように気持ちよく揺れている。ハリーはロンの前にしゃがみこみ、ロンを見た。いつも怒りや負        の感情で満ちている青い瞳は閉じられて、自分を見ることはない。ハリーはロンに何かを言ったことは        なかったが、ロンにしてみればドラコと同等の存在なのだろう。そう考えると、ハリーの心がチクリと        痛んだ。ハーマイオニーやグリフィンドール生に向けるような、優しい光を湛えた青い瞳が見たかった。        (・・・・・負の感情には、慣れているつもりだったけど・・・・・。)        ロンに対しては、そうじゃないらしいと悟ってハリーは愕然とした。次いで切なさが心を満たす。今の        状況では、ロンに心を開いてもらうのは絶望的に低い。かといって、ドラコをないがしろにしたいわけ        ではない。ロンとドラコが仲良くなれば、自分も仲良くなれるかもしれないが、そんなことは天が落ち        てきてもないことに思えるし。        ふと、ハリーはロンの髪にてを伸ばした。・・・・伸ばして、しばし迷う。迷ったあとに、勇気をだし        てロンの髪に触れてみた。ふわふわと柔らかい髪が、手に心地よく触れてくる。ハリーはほとんど無意        識に、ロンの髪を撫でていた・・・・・。        視線を感じて我に返り、振り向けばハーマイオニーが立っていた。慌てて手を引っ込めるハリーに彼女        は苦笑を返す。        「そんなに慌てて離すこと、ないのに?」        ロンが寝ているのを考慮しているのだろう、静かで小さな声だった。余裕の表情で小首を傾げ、ハリー        に微笑む。その表情は、ドラコと一緒にいる時には見せたことがなかった。        「ぼ、僕は別に・・・・。」        気まずそうに弁解してくるハリーに、ハーマイオニーは手招きをする。ハリーはそれこそ魔法にでもか        かったかのように、彼女に近づいた。        「別に、責めているわけではないわ。貴方をからかっているわけでもないしね。」        ただ・・・と彼女は少し考えるような仕草をして、言葉を紡いだ。        「貴方はロンのことが好きなんでしょう、ハリー?」        いきなり核心を突かれたハリーは慌てた。眼鏡がずり、とずり落ちてハッキリ見える視界が歪んだ。そ        んなハリーを、ハーマイオニーは面白そうに笑って眺めている。        「そんなに慌てなくても、良いのに。見てれば分かるわ。貴方はロンみたいなタイプに惹かれるってこ         とは。」        「な、何をいきなり言うんだよ?なんでそんなに決め付けるんだ?」        「そんなの、見てれば分かるって言ったわよ?あとは女の勘ね、結構当るんだから。」        「・・・・・・・・・・・胡散臭い。」        「なら、何故貴方はそんなに慌てるの?違うなら、余裕を持って違うって言えば済む事よ?」        「・・・・ううううう。」        ハリーの身近な女性は、あの家族の夫人だけ。ハリーは彼女の扱いが分からなかった。しかもかなり頭        が良いので、なんともやりにくかった。困ったように呻くハリーに、ハーマイオニーが耐え切れないと        ばかりに、吹き出した。        「ごめんなさいね、だって貴方すっごく分かりやすいんだもの。」        「悪かったね。」        「悪くなんてないわよ。分かりにくい人の方が、私は嫌だわ。」        「そりゃどうも。」        少しばかりおどけて言うと、ハーマイオニーはクスクスと笑った。        「君は・・・・・・ロンの・・・その・・・。」        ハリーが言いにくそうに尋ねてくるのに、ハーマイオニーは首を横に振った。        「いいえ、彼女とかそういうのではないわよ。強いて言うなら・・・・・そうね、やっぱり親友ね。」        「親友?」        「あのねー例え男女間であっても、友情っていうものはあるものよ。私にとってのロンは大切な存在だ         けど、恋愛感情はないわ。」        やけにきっぱりと言い募って、ハーマイオニーはパチンとウインクをした。        「今のところはね。」        「そっか・・・。」        「だから、貴方も気にしなくっていいのよ、私のことは。私はもう少し大人な人が良いし。」        「君は何だか凄い人なんだね、ハーマイオニー。なんでドラコの側にいる僕にそんなに親しく話せるの         かなあ?」        「そんなの、ドラコはドラコ。ハリー、貴方は貴方でしょ?私はちゃんと知っているわ。ロンとドラコ         が言い合いをしている時に、困った顔をして黙っているのを。それに、鼻にかけないしね。」        ハリーは改めて、目の前の少女を見やった。この少女には、自分のことが良く見えているのだと分かる。        洞察力に優れている、と先生の誰かが誉めていたが納得できるものだ。        「さて、どうするの?ハリー・ポッター?」        突然に尋ねられて、ハリーは慌てた。        「え、な・なにが?」        「ロンの目が覚めそうよ。此処にいて、ロンと話をしてみる?」        「!」        思わず後ろを振り返る。確かにロンが身じろぎをしていて、目覚めが近いことを物語っている。戸惑う        ハリーの肩を、ハーマイオニーが励ますようにポンと叩いた。        「大丈夫、私もフォローしてあげるから。勇気をだして、ロンもきっと貴方を気に入ると思うわ。」        「なんでそんなに自信があるの?」        「さっきも言ったわね、私の女の勘は当るのよ?はい、いってらっしゃい。」        ハーマイオニーに背中を押されて、困惑しながらハリーはロンに近づいて行く。ロンは何やらボソボソ        と言いながら、目を開けようとしている。        ハリーは、ロンに近づいて行った。        --------------どう声を掛けようか?
       ★中途半端っぽいですが、これでお終いです。原作ではロンはハリーと出会うべくして出会ったわけで         すが、もし最初に会ったのがドラコだったらどうだろう?と考えて書いたのがこのお話です。でも例         えドラコの側にいたとしても、ハリーはロンやハーマイオニーに出会うわけですよね。この場合、ド         ラコとロン(というかウィーズリー家)の繋がりがポイントなわけです。それにしても、ごめんねドラ         コ単なるピエロっぽくなってしまって。でも意外と友人になったら良い奴なのかもしれません。         ハーマイオニーはお姉さんっぽくなってしまいました。2人共、しょーがないわねーみたいな。でも         このぐらいの年代は、女の子の方がしっかりしてますから私的にはお気に入りです。        戻る