お前なんか大嫌いじゃ!
告白
「というわけで!」
ルルーシュは無駄にオーバーアクションで、偉そうに語った。
「俺はライに、告白をしようと思う!」
オーバーアクション、更に加速。とそこへ
「ふぁあふぉう、ふぁんふぁって」
という間の抜けた激励がされた。ルルーシュは胡乱な目で、声の主を睨む。
「スザク貴様、お前にとっての天然記念物でもある幼馴染の俺が、一世一代の大告白をしようとしてい
るのに、その掃き捨てがちな反応はなんだ?月刊回転キックなんぞ読んでいる場合か」
ルルーシュに愚痴られて、スザクはひょいと「月刊回転キック」から顔を上げた。その口には大振りの
クッキーが咥えられている。
「ふぁにいってふんらい」
「ああもう!クッキーを胃袋に送ってから喋れ!」
そう言われるとスザクはカリカリカリカリと、シュレッダーな勢いでクッキーを噛み砕いた。
「君は馬鹿にしてるけど、回転キックとは美しく決めるのに大変高度な技術を・・・・」
「とりあえずお前、ネジになって穴の中で回転していろ」
あんまりなルルーシュの言葉も、スザクには届かない。だからこそ友情が続くともいえる。
「じゃあ言うけどさ、僕は大事な友達のライがホモまっしぐらになったら嫌だな、と思ったんだけど」
それは正論だ。しかしライに恋して前後不覚になっているルルーシュには通じない。
「しょーがないだろ、気がついたらライが好きになっていたんだから。でもどさくさに紛れて手を握っ
たり、肩寄せあったりした時にイケル!と思ったんだ」
どさくさか。そんなルルーシュにスザクはうーんと唸った。
「まあ僕も友達としてのスキンシップに、ライの後ろから抱きしめて耳たぶをはむはむしたり、生内股
を撫で繰り回したいけど」
「や、ちょっと待て」
「ん?なに?」
「いやお前それ、完全にホモっとるぞ」
「まさかあ、ただのスキンシップだよ」
「普通、野郎とのスキンシップに耳たぶはむはむしたり、生内股を撫で繰り回したいとは思わんぞ」
「やだなあ、ルルーシュよりはマシでしょ?ルルーシュってば、ライのピーーにピーーーしてピーーー
したいんでしょ?それに比べたらノーマルだよ」
「貴様、放送禁止用語効果音のピーでまったく分からんが、取りあえずロクでもない事は良く分かった」
「おや誤解だよルルーシュ」
「お前がそう言った時点で、胡散臭いわ!」
こんな友情に支えられるルルーシュは幸せである。しれっとして答えてくるスザクを見てルルーシュは
「お前、リヴァルにも同じ事したいか?」と言いかけて黙った。もし、もしだ。紙一重の水面下でスザ
クがライに対して自分と同じような感情をもっているとしたら・・・?
(非常にやっかいだ)
スザクは非常に行動力がある。ルルーシュの様に考えて考えてやっと行動するのと違い、脊髄反射とし
か思えない素早い行動に出るのだ。それは鈍くさいルルーシュにとっては面倒くさい。ライに対しての
感情は友情と思ってくれていた方が、おトクだ。なので早々に会話を切り上げる。
「まあ良い。じゃあ俺は行って来るから、心置きなく「月刊回転キック」を堪能するがいい」
すっかりゼロの癖丸出しで、ルルーシュはドアに向ってゆっくり歩き出す。
「うん、分かった。じゃあね」
というスザクの言葉を背にして。
ドアが閉まった途端、ルルーシュはいても立ってもいられず廊下を猛ダッシュした。今の時間、ライが
自室にいるのは調査済みだ。と・・・・
「ルルーシュ〜、廊下は走っちゃダメなんだよ〜」
呑気な声が、すぐ隣からする。驚いて横を見るとスザクがルルーシュと同じ速度で移動していた。
「ちぃっ!俺の全力疾走に早歩きで追いつくお前が大嫌いじゃ!」
ルルーシュは叫んだ。
「お前、月刊回転キックはどうした!?」
「ああ・・あれ。もう読んじゃった」
「嘘付けっ!大体真ん中辺りのページを捲っとっだだろうが!」
「日○ンの美子ちゃんの速読法で・・・・」
「それはバインダー式の、字書きじゃあ!」
「そうだっけか?」
ドドドドドドドドというもの凄い効果音と共に、2人はライの自室に向ってまっしぐらだ。
ライの部屋のドアを本人の許可なく開けて、仲良くルルーシュとスザクは中になだれ込んだ。ベットに
腰掛けてなにやら本を読んでいたライが、何事かと目を白黒させる。
「ライ、こんちわ〜」
「ええい、スザクは引っ込んでいろ!ライ、大事な話があるんだっ!」
「え・・・・ええと・・・・・・・・・なに・・?」
さてさて、ルルーシュはスザクに打ち勝ってライをゲットできるか!?
つづく(ええ!?)
★本当はライの部屋に飛び込んでおしまい、だったのですがちょっとだけ続きます。ちょっとだけです。
頑張れルルーシュ、スザクに負けるな。熱に負けるな(←?)
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