どーせ俺は変ですよ




 


















ファッションセンス


取りあえずなんだが、黒の騎士団VSブリタニア軍が張り切っておこなわれていた。白いナイトメア「
ランスロット」に乗ったくるるんスザク君(17)は指揮官のゼロにハッスルして、戦いを挑んでいた。
ランスロットの性能とスザク君の操縦技術によって、あっという間にゼロ機からロケット・・・じゃな
かった脱出ポッドが発射される。勢い込んでその脱出ポッドを追うと、優しくない着地をしたポッドか
ら目でも回したのかゼロがヨロヨロと出てきた。
「出たーーー!!」
喜びに包まれるスザク君。まるでパチンコでビギナーズラックに打ち震えている、ビギナーの様な喜び
ようだった。あまり深く考えることもせずスザク君はヒョコ、とコックピットから飛び降りて銃を構え
つつゼロに近づく。
「動くな、ゼロ。」
と言ったのに係わらず、ゼロは溜息一つついて仮面を外した。


「ル・・・ルルーシュ・・・・?」
呆気に取られるスザクを、ルルーシュが苦笑しながら見つめた。やはりショックではあるんだろう、と
どこか他人事のように考える。ヨロヨロとスザクが座り込んだ。その姿を見て、流石に罪悪感に襲われ
たルルーシュはスザクに声をかけようとした瞬間だった。
「そんな・・・・稀に見る絶望的なブリタニア皇族のファッションセンスとは、無縁だと思っていたの
 に・・・!!」

罪悪感は吹っ飛んだ。

「お前、仕えている一族になんつー感想言ってんだよ?」
「だって!」
スザクはバッと顔を上げて叫ぶ。
「だって皇帝からして、あのバッハみたいな髪型して平気なんだよ!?普通の感覚なら耐えられないよ
 あんなくるくるくりん!」
「・・・・・・・・一応、同意はしておくが・・・・。」
するのか。
「コーネリア殿下のあのマントも変だし!」
「うん、それも同意・・・・・。」
「クロヴィス殿下も何か大切なものを忘れ去ったような、服着てたし!」
「・・・・・・そうかな・・・?」
「今度登場するらしいシュナイゼル殿下も、コメントしづらい服だし!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
ついに黙り込むルルーシュを余所に、スザクの苦悩は続く。
「ユーフェミア皇女も普段着はそれなりに可愛かったけど、髪型はどうやっているのか分からないお団
 子ついてるし!!」
「おい、お前が仕える主だろーが。良いのか、そんなこと言って。」
ユーフェミアに対しては、そんなに悪気がないルルーシュはつい口を挟む。しかしスザクはキッとルル
ーシュを見て、口を開いた。
「ファッションセンスの絶望感は君も負けてないよ、ルルーシュ。」
そこまで言い切って、スザクは溜息をついて下を向く。
「ああ・・・・最早希望の星は、ナナリーだけか・・・・・・。」
「貴様、何勝手に人の妹を希望の星にしとるんだ。」
むっとした口調で答えながら、ルルーシュは混乱していた。自分の正体を明かした時のスザクの反応は
想像していたどれとも違っていたからだ。まさか正体よりも、ファッションセンスの方を問題されると
は思ってもみなかった。何故って、ルルーシュにとってゼロコスプレは”格好良い”路線だったからだ。
もちろん、仮面も含めて。
「特にその仮面・・・・・。頭突きしたら相手に3つの角が刺さりそーな、その仮面。」
やっぱりスザクの苦悩は続く。ルルーシュはもう、どうでも良くなってきた。なんとかスザクに気づか
れずに、この場を離れる事を模索し始めたその時だった。


「ゼロ・・・!無事ですか?」
ゼロの騎士、コーネリアほどではないが大変男らしいカレンが姿を現した。ゼロの素顔を見ても動じな
い彼女は、ゼロの正体を知っていた。
「・・・・・取りあえず、体力的には。」
ぶすっとして、ルルーシュはまだぶつぶつと苦悩しているスザクを指差した。
「げぇ、くるるるぎスザク!」
思わず、といった感じで叫んだカレンにスザクが顔を上げた。
「いくらなんでも、知り合いに”げぇ”はないんじゃないの?」
「良いじゃない、本当にげぇって思ったんだもの。」
カレンはしれっとして答えた。その豪快さが結構気に入っているルルーシュであった。
「しかも”る”が一つ多いよ。僕はくるるぎスザク!くるるるぎじゃないからね!。」
「だって、言いにくいんだもの。間違えたってしょうがないわよ。」
ルルーシュ以上に、カレンは強かった。ところが黒の騎士団のコスチュームを着ていたカレンにスザク
は眉を顰めた。
「可哀想・・・カレン、有無を言わせずにその恥ずかしいセンスの衣装着せられて・・・。」
「今度はそっちか。お前、どーあっても俺のファッションセンスに文句があるんだな?」
ルルーシュは半眼でつぶやく。
「確かに!最初は恥ずかしくって転がりたかったけど!」
「恥ずかしかったのか、カレン・・・・」
ジト目のルルーシュの呟きを、カレンはやたらきっぱりと無視した。何故か勝ち誇ったように、胸をは
る。
「もはや慣れれば、問題ないわ!そっちこそなによ!白のもじもじくんみたいなパイロットスーツ着て!」
どうもカレンの反撃が始まったらしい。成す術もなく、多分問題の中心にいるはずのルルーシュは目を
白黒させている。
「え、このパイロットスーツ?格好良いじゃないか!」
スザクが口を尖らせて、反論する。
「どこがよ!まあ青いもじもじくんみたいなものに比べれば、幾分かマシだけど!どうやってトイレで
 用を足すのか、謎だけど!」
「ほぼ全脱ぎです。」
「変態に、このコスチュームに文句言われる筋合いはないわね!白って汚れが目立つし、すぐくすむし
 良くないのよ!」
なんだかお洗濯の話に移行してしているらしい。
「・・・・・・・・!!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・!!!!!」
カレンとスザクの不毛な言い合いは、かなり続いた。


「もう、話にならないわ!ゼロ、ここから撤退しましょ!」
「話にならないのはこっちの方だよ!ルルーシュからも何か言ってやってよ!」
2人が同時に振り返った時、ゼロことルルーシュは影も形もなかった。


「いいんだ、いいんだ、どーせ俺は孤独になるんだから・・・・。」
その頃ルルーシュはどこかの隅っこの端っこで、のの字を書いて黄昏ていた。

       

★私から見ると、本当に首傾げたくなるファッションセンスが跋扈しているこの作品。主人公からして  なにか大切なものを失った感じのファッションセンス。それとも変なのは私の方なのでしょうか?個  人的にはあの大きい瞳を完全に隠せるスザクの細いサングラスが謎です。クワト○さんはもっと普通  のものかけてたよ! 戻る