クライマックスなんですけど




 


















逃避

すったもんだの末、スザクはゼロを洞窟で発見した。目の前には黒のゼロ、真ん中に白の自分、後ろに
赤のカレンとえらくカラフルな配置だとスザクは思った。言い争いの後、ルルーシュだったゼロと撃ち
合いになろうとした時予想もしない事が起こった。
「きゃああああああああ〜〜〜〜!?」
何故か穴もないはずの上から声がする。思わずその場にいた全員が上を向いた。どこかの歌謡曲みたい
だとスザクはぼんやりと思う。そして

ドスン!

「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
3人共、呆然として落下してきた人物に注目した。
「い・・・・いたたた・・・・」
「・・・・・・・シャーリー・・・?」
ルルーシュがポツン、と呟く。丁度スザクとルルーシュの間に落ちてきたのは、亜麻色の長い髪を持つ
少女、シャーリーであった。ルルーシュの呟きのあと、やはり沈黙が漂う。その沈黙を破ったのはルル
ーシュだった。
「どーしたんだ、シャーリー!あんな高いところから落ちて、怪我してないのか!?」
もはや半狂乱に近い声で、ルルーシュが喚きだした。シャーリーは不思議そうにキョロキョロ辺りを見
回してから、ルルーシュを見上げた。動揺しているルルーシュは、彼女に手を貸してやるという選択肢
すら見失っているらしい。さっきまでのふてぶてしい態度もなんのその、おろおろとしているばかりで
あった。
「大丈夫、落ち着いてルルーシュ。私、水泳部だから。」
「水泳部と受身になんの関係が!?」
動揺している割には冷静なツッコミをするルルーシュ。シャーリーが立ち上がろうとしても、おろおろ
しているばかりのルルーシュを見かねてスザクは一歩前に出た。
ザッ
スザクがシャーリーに何か害を加えようとしていると勘違いしたのか、ルルーシュはいつもの鈍さもど
こへやらシャーリーとスザクの間に入り込み立ちはだかった。警戒心マックスなルルーシュに溜息を漏
らしながら、スザクは言った。
「シャーリーには何もしないよ。するわけないだろう、ルルーシュ。それよか早く彼女に手を貸してや
 りなよ。」
そう言われて初めてその事に考えが至ったのか、ルルーシュは慌てて振り返りシャーリーに手を差し出
した。
「有難う、ルルーシュ。」
にこりと笑ってシャーリーはルルーシュの手を借りて、立ち上がった。ぱんぱん、とスカートの埃を払
うその姿は正に小動物のように可愛らしかった。思わずルルーシュ、スザク両名の顔がほんわ〜と崩れ
てカレンが深い深い溜息をついた。

「で、どうしたんだ、本当に。ここはシャーリーみたいな子が来るところじゃないぞ?」
ルルーシュがやっぱりスザクを警戒しながら、話しかける。
「本当だよ、危ないよここ?」
「危ないところに私はいていいの?」
思わずシャーリーに過保護な男連中に突っ込みをいれると、ムカつくことに同時にうんと首を縦に振っ
た。しかも顔中に「???」と書いてある。
「カレンはゼロを守る騎士だからな、こんな危ない場所でも大丈夫だろう。」
何か分かったよーな、分からないよーなフォローを真顔で言うルルーシュ。
「この僕と同等に戦える君だから、大丈夫だよ。」
こちらも良く分からないフォローをかましてくるスザク。
「取りあえず、私が女として見られていないことはよーーーく分かったわ。でもシャーリーが此処にい
 たら危ないっていうのは私も同意。」
「だろう?」
「でしょう?」
「・・・・・・声を揃えなくて良いわ。」
「・・・・・あの・・・・」
控えめにシャーリーが声をかけてきた。3人が凄まじい勢いで注目するので、思わず後ずさる。すると
ルルーシュがす、とシャーリーに近寄った。そのままシャーリーの前髪に触れて、横に前髪をはらう。
驚いていたシャーリーの頬が、ほんのり赤くなる。
「本当に大丈夫か?」
「ええ、有難うルルーシュ。」
「シャーリー・・?俺がゼロって事に驚かないんだな。」
「・・・・・知ってたから。」
「そうか・・・・・。」
などとシリアスな事を言っているが・・・・・
「ルルーシュってほんと無意識にタラシだよね。」
「それについても同意だわ。」
いきなり周囲にピンク色の何かを激しく撒き散らすルルーシュとシャーリーに、置いてきぼりを食らっ
た残り2名は半目になって呟き合う。
「カレン。」
「何よ。」
「なにか悔しいから、僕達もイチャイチャしよう。」
「嫌よ。アンタとなんか冗談じゃないわ。」
「即答かい?」
「基本よ。」
「僕らが先にナナリーを助けた方が良さそうだね。」
「そうね。」
周囲が見えなくなっているバカップルな彼らを見捨てて、スザクとカレンは歩き出した。



ナナリーを先に助けられるのはどっち?

       

★すみません、25話に相応しくない相変わらずのルルシャリ馬鹿で。正直書く気をモリモリ無くして  しまったんですよね。ルルーシュがナナリーを忘れるなんてことないってことは、よーく分かってま  すので!逃避は私自身の心意気です(ダメじゃん) 戻る