お前は本当に人間か?




 


















にじり寄り

スザクが転校して来て早々、ルルーシュはゼロ仮面を猫に奪われるというなんともみっともない展開に
みまわれていた。しかも猫を見つけたものの、スザクの方が猫ゲットとゼロ仮面ゲットのチャンスにみ
まわれるという体たらく。ルルーシュは動揺のあまり、無様にも屋根を制服で拭き掃除しながら落ちて
しまった。異変を感じてスザクが振り返り、落下式拭き掃除をしているルルーシュを見つけた。
「ルルーシュ!」
猫をあっさり諦め、スザクはルルーシュに向けて滑り降りてくる。そして出てきた窓枠に手を・・・・

かけれなかった。

「あれ?」
まるで他人事のように呟いて、スザクはぶら下がっているルルーシュを飛び越え、見事に落ちていった。
「スザクーーー!?」
下からも落ちるスザクに悲鳴が上がっている。まさかこんな事になろうとは。

しかしスザクは超人だった。

「うりゃっ」
気合と同時に意味もなくクルクルと空中で回り始め、唖然と見守る群衆の前で見事に着地。グ○コのポ
ーズを決め叫ぶ。
「10点!!!!」
その瞬間、どこかの誰かのスタンド「ザ・ワールド」が炸裂。しーーー・・・・んという沈黙が、大変
耳に痛かったが、当の本人は上機嫌なままである。後々ルルーシュが痛感する場を読まないスザク節は
この頃にはすでに完成されていたらしい。
「やーこの前失敗して3回しか空中回転できなかったんだけど、今日は念願の5回空中回転に大成功!
 取りあえず今日の日に『良く出来ました』印をつけねば!」
沈黙は更に深まったが、やはりスザクは気にしなかった。そんなスザクにシャーリーが恐る恐る声をか
ける。
「あの〜〜〜」
「え?なんだい?」
「もし出来たら・・・その・・・ぶら下がっているルルを助けて欲しいの・・・」
シャーリーの勇気に全学生が泣いた。スザクは上を向いてルルーシュを見る。
「大丈夫、ボクにまかせて!彼はボクが必ず助けるよ!」
そんな頼もしい笑顔と言葉に学生達がほっとした表情を浮かべた時、スザクはビタンと壁に張り付いた。
そのまままるで壁を這うヤモリのよーにうねうねと登りだした。

その頃ルルーシュといえば、スザク落下事件のあまりの結末にすでに力を失っていた。まだぶら下がっ
ているのは、もはや意地でしかない。猫を呪い、スザクを呪いながらいい案を思い浮かべようとするが
上手くいかなかった。そして気がつく。下からどよめきが上がっているのを。誰かは泣いているらしい。
「?」
慎重に下に目を向けるとそこにはスザクがいる。うねうねとヤモリのよーに這いずりながら。しかも笑
顔全開で迫ってくるその姿は、ルルーシュに本能的恐怖を呼び起こすのには十分の迫力だった。
(ひぃぃぃぃぃぃ〜〜〜!!)
その時、奇跡が起きた。まさにスザクがルルーシュに追いつこうとした時、ルルーシュは渾身の力で自
分の体を引っ張り上げ屋根に戻ったのだ。そのままざかざかと猫のいる鐘の方へ駆け上がった。猫はす
でにゼロ仮面を被ってはいない。ほっとするのも束の間、スザクがひょこと屋根に登ってきた。心なし
か残念そうに見える。
「ルルーシュ、良かった。無事だったんだね。」
「ええい、寄るな!貴様ショッカーに改造された怪人だな!?」
まだ本能的恐怖に支配されているルルーシュは、そう喚いた。スザクはショッカーって?と可愛らしく
首をかしげていた。が、這ったままの状態で再びうねうねと登って来る。ルルーシュに向かって一直線
であった。ルルーシュの本能的恐怖も倍率ドン!さらに倍!自分に手がかかろうかという瞬簡にルルー
シュは手に持っていた猫を無意識にスザクに突き出して叫んだ!
「助けやがれ、猫っっ!!」
その叫びに呼応するがごとく、黒猫はスザクに両前足を突き出してガリガリとその顔をひっかいた。流
石のスザクもたまらないらしく、うひゃぁなどとどこか呑気な声と共に自分達が出てきた窓まで後退す
る。名残惜しそうにするスザクにルルーシュは猫を放って、押し付けた。先ほどまでの危機が去った今
もはや本能的恐怖に支配される事も(今のところ)ないのだ。フン、と今更ながら胸を張る。
「俺は忘れ物があるから、お前はその猫連れて先に降りろ。」
「なに忘れ物って。こんな屋根の場所に何を忘れるっていうんだい?」
珍しくまっとうな事を口走るスザク。
「色々と。」
ルルーシュは即答したが、もはや返事ではない気がする。渋々スザクは猫と共に建物の中へと消えてい
った。

2回目の印象がすこぶる悪かったからか、一途にアーサーと名づけられた猫はスザクに襲い掛かるよう
になったのは、また別の話。

スザク「同じ話だよっっ!!!」



       

★久々のスザルルです。相も変わらずバカな2人ですね(他人事のように言うな)この頃はまだ展開もお  気楽に楽しめたし、のんびりしていたものです。リヴァイアスの前例がある為、後半は酷い事になり  そうだと思ったのですが、まさかあんな中途半端で終わるとわ・・・・。でも信じてます、監督! 戻る