タラタラ




 


















未練

妹の為に世界をぶっ壊そうとしていたルルーシュは、崖っぷちであった。こともあろうにその妹がお飾
りとはいえ、自分と敵対する総督になってしまったからだ。方々に満遍なく迷惑を振りまき、迷走した
ルルーシュが出した結論は、中華への亡命だった。しかも黒の騎士団付という豪華な亡命。ディートハ
ルトに深く浅く感謝をしながら、着々と準備を進めていく。主にゼロ衣装の作成を。大勢でただただ無
言で変態コスプレ衣装を作っている、というのもなかなか不気味な光景ではあった。その努力も報われ
まんまとスザク達にゼロを全力で見逃すという条件も飲ませた。ロロやヴィレッタとも、今後の予定を
話し合い、もはやパーフェクトな状態になった。


「もう良いの?」
ロロに声をかけられて、ルルーシュは頷いた。
「ああ、もう此処に未練はない」
きっぱりと言い切って歩き出す。が、すぐにその足は止まった。
「?」
くるうりとルルーシュがロロを振り向く。
「あのさ、ロロ・・・」
「却下」
「俺、まだ何も言ってないぞ!?」
「大体想像つくよ。やっぱりシャーリーを連れて行きたいとか、せめてもう一目その姿を見たいとかで
 しょうに」
呆れたようなロロの言葉に、ルルーシュは青ざめて後ずさる。
「な!?何で分かるんだ??これもお前のギアスの力か?」
「違う」
ロロはうんざりし始めた。
「連れて行ったら大変だよ、シャーリーが。それに今、女子寮にいるから隠れて見てたら兄さんは立派
 な怪しい人になる」
バッサリと切り捨てる。
「だ、だってだって、スザクがシャーリーに手ぇ出したら・・・・うおおおお!辛抱ならん!」
頭を抱えて悶絶するルルーシュ。その姿は女子寮に行かなくても、立派な変態だった。
「出さないよ・・・・・・多分」
「多分じゃダメだ!あの野郎、許さん!」
「いや、許す許さないの問題じゃない・・・・」
完全にルルーシュは駄々っ子状態だ。ロロは思った。本当に信じて良いのやら、と。しかし賽は投げら
れたのだ、もはや後戻りは出来ない。下手をすれば自分も殺される。
「分かった、じゃあ僕がシャーリーを見守るから。スザク卿が悪さをしないようにね。これなら納得し
 てくれるでしょ」
「・・・・・・・・」
「に・い・さ・ん?」
「はあい。分かったよ、でも一つ言っておくぞ」
「まだ何かあるの?」
軽く頭痛を覚えながら、ロロは呻いた。
「大有りだ!いいか、シーャリーに手を出すなよ?」
「何で僕が!」
「分からんからな、守っていたらいつの間にか恋心が・・・なんて事も否定できん」
そりゃそーだ、とロロは思った。しかしここでうんと言わなければ、この男は延々と此処で駄々を捏ね
るのが火を見るより明らかだ。なので時間も切迫している事だし、ロロは妥協する事にした。
「大丈夫、兄さんの大事な人だからね。約束する」
そう言うと、ぱっと顔を輝かせてルルーシュは満足げに頷いた。
「じゃあ、後のことは任せて。いってらっしゃい」
畳み掛けるように発破を掛けるロロ。意外とルルーシュの扱いを心得ていた。
「分かった、じゃあな!」
ルルーシュは元気良く学園を出て行った。

そしてゼロの物語はまた動き出した。



★えらくあっさりと学園を去ったルルーシュ。どうもロロがお留守番のようなので、こんなルルシャリ  を書いてみました。しかし記憶を完全に書き換えられたシャーリー達を、スザクがどう思っているの  か気になります。  戻る