嫌われてる!?




 


















暗雲
いきなり記憶を取戻し、我に返ったシャーリーは途方にくれた。ルルーシュ関係に限り、記憶が皆と違
ってみえる。悪夢にうなされたシャーリーは、取りあえずスザクに連絡を取って池袋に向っていた。彼
はナイトオブラウンズだ、なにか知っているかもしれないと思って。

スザクと待ち合わせたのは良いが、なにからどう切り出せば良いのかシャーリーは迷った。スザクはニ
コニコと上機嫌でシャーリーを見つめている。先ほど逃げようとした事は、取りあえず忘れてくれてい
るようではあったが。
と

「シャアアアアアアアアアアアアリイィィィィィィィ〜!!」
凄まじい声の方へ驚いて2人してそちらを見れば、こちらにスプリンター走りで走ってくるルルーシュ
の姿。ドドドドドド・・・という効果音もお供に連れていた。
しかし
しかしだ。
(なかなか・・・・・・)
(ここに辿り着けないわね)
必死で走っているのは、その形相を見れば分かる。だが運動神経の良い2人から見れば、えらくスロー
に見えた。

「こ・・・・・ここでっ・・・・なに・・・・して?」
ぜいはあと今にも倒れそうな感じで、ルルーシュは2人に訊く。シャーリーには少し拗ねた瞳を、スザ
クには嫉妬メラメラに睨みつけてくる。当然2人はどこか後ろめたい。
「あ・・・・ええと・・・・・」
「・・・・・・大丈夫なの?ルル」
死にそうな顔しながら、ルルーシュは自分の心配をしてくれるシャーリーに笑った。しかしそんな状態
でもスザクを睨みつけてくる。スザクはちょっと良い気分だった。


シャーリー&ルルーシュ(何故かついてきた)&スザクは、公園でえらく目立った。それはそうだろう、
可愛い女の子がタイプの違う美少年2人を両側に侍らせて歩いているのだから。しかし

シャーリーはスザクにどう話を切り出そうか、シリアスに迷っていた。
スザクはゼロがルルーシュでね?とやっぱりシリアスに思っている。
ルルーシュはスザクがシャーリーを誑かしたかもしれん!と呑気な事を思っていた(本人は必死だ)

いきなり怯えて逃げるシャーリー。近づこうとした2人に叫ぶ。
「来ないで!!」
錯乱したシャーリーは、一歩間違えばまっ逆さまだ。この高さから落ちたら、いくら飛び込みが得意の
シャーリーでも助かりはしない。当たり前だがな。
「ルルーシュ!」
叫んで振り返ったスザクの隣で、ルルーシュはシャーリーに背を向けて体育座りをして地面にのの字を
書いていた。しかもルルーシュの周辺にだけ、暗雲が立ち込めている。これには流石のスザクも驚いた。
「・・・・・・・君、シャーリーの大ピンチに、何してるんだい?」
スザクの声にルルーシュがのそり、と顔を上げた。先ほどよりも、もっと死にそうな顔をして呟く。目
にうっすらと涙まで浮かべている。
「しゃ・・・・シャーリーに『来ないで』って言われた。『来ないで』って・・・」
スザクとシャーリーが黙り込んでルルーシュを見つめる。すっかり狂乱の時間は過ぎたらしい。そして
やっぱりしゃがみこんだ美少年と、それを見つめる少年少女は公園で目立っていた。
「悪いんだけどさシャーリー」
「うん」
「こっちへきてルルーシュ、慰めてくれないかな」
途方にくれた(しかも熱視線が集中)顔で、スザクはシャーリーを振り向いた。シャーリーも毒気が抜か
れたように、眉を寄せていた。シャーリーが上がった塀から降りようとした時
「きゃっ」
スザクが見守る中、シャーリーは足を滑らせてご丁寧にも後ろに落ちていく。後ろは・・・・・。
「シャーリー!!!」
叫んで走り出そうとしたスザクの横を、疾風のように誰かが走り去った。
「!?」
今度は驚いたスザクの目に写ったのは、落ちるシャーリーに向ってなんの躊躇いもなくジャンプするル
ルーシュの姿だった。しかも「とう!」などと掛け声をかけてまでいた。
「て、君まで落ちたら意味ないだろーーー!?」
仲良く塀の向こうに姿を消す2人に、スザクは必死で腕を伸ばした。見れば気を失っているらしいシャ
ーリーと自分が片足だけしか掴めなかったのもあるが、えらく微妙なバランスでシャーリーを掴んでい
るルルーシュの姿。スザクは感心した。あの運動神経が死滅しているのではないかとまで言われたルル
ーシュの、今の早い対応に。自分がよもやこういった場面でルルーシュに行動で負けるとは思わなかっ
た。それだけ必死なのだ、シャーリーが大切で。なかなかのっぴきならない状況で、スザクはルルーシ
ュに胸キュンを覚えた。いや今まででもシャーリーやルルーシュに胸キュンしてきたが、今回のは最大
の胸キュンであった。掴んだ先の2人はなにやら揉めていたようだが、スザクはちょっとうっとりした。
「スザク!」
交渉は成立したらしい。うっとりしていたスザクは一瞬、反応が遅れたが必死になっているルルーシュ
は気がつかない。しかしいくらスザクといえども、片手で全体重を任せた2人を引き上げるのは重労働
ではあった。スザクは米俵持上げ大会があれば、自分がきっと優勝できると思う。それぐらい大変であ
る。

なんとか男のプライドもあって引き上げた後、男共2人は虫の息だった。
「ご、ごめんなさい。私ったら・・・・」
しょんぼりするシャーリーに、2人同時に手を横に振る。
「だ、大丈夫だシャーリー。ぜいはあ、このくらい・・・」
「そ、そうだよ。僕達は心配いらないから」
なんとか息が整ったところで、ルルーシュはやおらシャーリーに近づく。
「シャーリー、大丈夫か?もう落ち着いたか?」
「え、ああ、うん。大丈夫」
さり気なくシャーリーを促して立ち上がる。
「じゃあ、これからどっか行くか」
完全に無視されているスザク。先ほどとうってかわって強気なエスコートするルルーシュに、流石のス
ザクも目を丸くした。しかしここで大人しく見送るスザクではない。自分の萌えであるルルーシュとシ
ャーリーが目の前にいるのだ。すっくと素早く立ち上がる。
「ルルーシュ、僕も行くよ」
「来んな、馬に蹴られて回転キック披露していろ」
「残念、僕はシャーリーから直々にデートのお誘いを受けているんだよv」
「む、むううう」
悔しそうに唸りながら、スザクからシャーリーを遠ざけるのは忘れない。しかし相手はスザクである。
さっさと回り込んで、シャーリーの手を握りこんだ。
「じゃ、行こうかシャーリー」
「あ、貴様、学園公認カップルである俺達の邪魔すんな!」
がばっとシャーリーを抱きしめて遠ざける。
「きゃあ」
「良いじゃないか、僕だって僕公認シャーリー・ルルーシュ好きなんだから」
「お前しか認めとらんではないか!つか俺を入れるなと何回言ったら良いんだ!?」
「ダメよルル。スザク君は・・・・・・」
「そうだよね、シャーリーは僕の事良く知っているよね♪」
「貴様ーっ、俺を差し置いてなんだっ!!シャーリーは俺の事の方がっ!!」

今日1番注目を浴びた美少年2人と美少女は、わーわーと大騒ぎをしている。ロロからの電話に気づく
余裕もないルルーシュは、当然オレンジ襲来に気がつかない。


「・・・・・確認したい事があるのに・・・ルルーシュ・ランペルージはドコにいるんだ」
途方にくれるオレンジであった。



★この流れではシャーリーは死にませんね。よしんば本編と同じノリになっても、私の書くスザクは他  人にシャーリーを任せませんから。いや本編のスザクの判断は間違ってないですよ?ただ相手がスザ  クだったら、ああも簡単に抜け出せないでしょうからねぇ。「枢木卿!そのお嬢さんはこちらで保護  いたしますから!」「嫌です(真顔)おおっぴらにシャーリーをぎゅーっとできる滅多に無いチャンス  は逃しません」「・・・・・・・・」「ん?どうかしたのスザク君?」「いやvなんでもないよ。安  心して、君もルルーシュも(僕の萌えの為に)絶対守ってみせるから」  なーんてな、なーんてな!  戻る