男のロマンは不滅です




 


















逆転祭2
スザクがミレイに必死で縋りついた成果で、華々しく男女逆転祭パート2の開催が決定した。

そして肝心の本人がいない中、生徒会室で2人の生徒が自分の制服を握り締めてにらみ合っていた。
「ふざけんなスザク。貴様の穢れた心満載の制服など、シャーリーには着せられん」
目を吊り上げているのはルルーシュだ。
「そっちこそ前回はシャーリー独り占めしたんだから、今度は功労者の僕の制服で良いじゃないか」
まん丸目をしながらスザク。穢れた心云々はどうでもよさげだった。そしてそれを遠くから見守る賢い
ミレイ、リヴァル、ニーナ、カレン。
「ケチだな、ルルーシュは」
溜息と共に呟かれた失礼なスザクの呟きに、ルルーシュの眉が跳ね上がった。
「ケチくないっ!」
「大体さ、ナナリー一番、シャーリー二番、三時のおやつは文明○なくせに」
「貴様、俺の大切な方々はポルトガル由来の菓子と同等か」
「ああ、こんぺいとう?」
「○明堂がこんぺいとう作っとる話なんか、聞いた事ないわボケナス」
なにやら話が脱線してきた。が、本人達はしごく真剣なようだ。
「それにシャーリーとの仲は、ナナリーの推奨だ!お前に後ろ指指される由来はないわ!」
勝ち誇ったように胸を張る、ルルーシュだった。ナナリーのお墨付き、という事でスザクはうぅと珍し
く唸った。
「大体お前だって、ユフィ一番、シャーリー二番、三時のおやつはコイケ○なくせに」
「いいえ、ケフィアです」
「なんだそれ」
「思いつき」
「貴様ーっ!」
話が脱線しすぎて、最早なんの話をしていたか分からなくなってきたところで、ミレイが抜群のタイミ
ングで割って入ってきた。
「は〜い、そろそろ結論出さないとシャーリー此処に来ちゃうわよ?」
部活で遅れているシャーリーであった。もちろん、ルルーシュは生徒会に顔を出す前にプールに行って
シャーリーと話をしていた。抜け駆けだーと言って、スザクに大人な意味で危険な目にあいそうにはな
ったが。
「なら、こうしようスザク」
「一応聞いてあげるよ、ルルーシュ」
「お前はシャーリーのダボダボンな姿が見たいわけだよな?」
「うん」
「だったら上着はお前のやつを着てもらえ。俺の時でも結構ダボダボしていたが、体格のいいお前のな
 ら確実にもっとダボダボになる」
「あ〜良いねぇv」
「だがズボンはな、俺のを穿いていた時でさえ端っこを踏んずけて転んでいた。お前のを穿いたら、転
 ぶ可能性は跳ね上がる。だから俺のを穿いてもらう。どうだ?」
「えー下半身も包み込みたかったのになー」
「下半身言うなっ!この痴れ者!!」
「まあ良いか、確かにシャーリーが僕のを穿いて転んで怪我をしたら大変だ。分かったそれでいこう」

男達は分かり合ったのだった。

「言っときますけど」
ズイッと分かり合った男達の間に入ったのは、ミレイである。
「ルルーシュ達は女装だからね?覚悟しておいてね?」
ニッコリ笑うと、ルルーシュが「げっ」と言って大層嫌そうな顔のまま固まった。ルルーシュにとって
シャーリーの男装は可愛いものであったが、自分の姿ははいて捨てたい思い出である。しかしスザクは
ニッコリと笑い返した。
「大丈夫、僕はゲームでせくしー極まりないチアガールやったから、女子の制服姿なんて軽い軽い」
びっ、と親指を立てる。
「ああ、あの視界的には無差別テロと同等以上の罪深いあの姿か」
ルルーシュの発言に、リヴァルがこっそりと頷いた。どーいうぱんつ穿いてんだ、と思うぐらいのミニ
を軽く越えたミニスカート姿を思い出したのだろう。
「えー?コスプレ喫茶開催の間中、バニーちゃんの後ろをずーーーっとつけて回った花嫁よりは良いん
 じゃない?」
ルルーシュの眉がひく、と震えた。言わずもがな、バニーちゃんはシャーリーのコスプレである。その
格好のせいなのか、シャーリーはよく男子学生に声をかけられたりナンパされたりしていたのだ。それ
を見逃すルルーシュではない。かくして愛想を振りまくバニーちゃんシャーリーの後ろに、負のオーラ
全開の世界一恐ろしい花嫁ルルーシュが仁王立ちしていたのだった。とはいえ、こっそり2人で学園祭
を回ってたのがバレて生徒会メンバーに散々な目に合わされた方が、ルルーシュの心の傷になっていた
りして(笑)
「そーかそーか、その花嫁がいない時にバニーちゃんにスキンシップという名の羨まし・・いやいやセ
 クハラもどきをしていた、不届きな宇宙一罪深いチアガールがいたらしいな」
さっきまでの分かり合った雰囲気もなんのその、2人の間にはまた不穏な空気が流れていった。流石に
ルルーシュが自らの格好に耐え切れず着替えに行っていた時に、バッタリとシャーリーに出会ったスザ
クが大喜び。シャーリーはシャーリーで
「スザク君、凄い格好だけど結構似合ってるねv」
などと発言してしまい、スザクの大喜びが更に加速してしまったのだった。



シャーリーは困惑した。目の前には美少年が2人。1人は必死に目を吊り上げて、1人はニコニコと笑
顔で同時に男子の制服を差し出している。
「あの・・・・ルル、スザク君。これは一体?」
「ああシャーリー実は・・・・」
説明しようとしたルルーシュを遮って(ついでにシャーリーの視界からルルーシュを遮って)スザクが言
う。
「うん、明日の男女逆転祭に君が着る制服だよ」
「あっこの野郎、いきなり端折って結論だけ言いやがったな!」
「だってルルーシュの説明聞いてたら、話が長くなるんだもん」
「だもん、じゃない!説明は必要だぞ。ああシャーリー、結論はスザクが言っていた通りなんだが」
ルルーシュの説明にもなっていない説明にシャーリーは首を傾げたものの、男子制服が自分のだけ配布
されていなかったので、余り深く考えずに受け取った。
「わざわざ、私に渡してくれて有難う。ルル、スザク君」
「いいや、明日が楽しみだな」
「ほんと、ルルーシュの女装とシャーリーの男装が見れるなんて、僕は幸せ者だよ」
「くっ」


そして当日。
2人の目論み通り、シャーリーのダボダボ感は凄かった。シャーリーから
「あの・・・・上着とズボンのサイズが違うみたいなんだけど・・・」
と言われたが2人はしれっととぼけた挙句、丸め込んでしまった。そこはやはりスザクの独壇場だった
のは言うまでも無い。意外とルルーシュはこういう時の説得、またはすっとぼけは苦手であった。
「シャーリー・・・ああ会長にお願いして良かった。明日から油揚げを毎日献上せねば」
「会長はお稲荷さんではないぞ。だが俺も幸せだ、自分の事は・・・一応・・・・置いといて・・・・」
視線を下ろし、語尾が小さくなるルルーシュであった。




★ゲームでのスザクの凄まじいミニなチアガールから、この話を思いつきました。いやチアガールって  ミニなわけなんですが。  戻る