Roshiの365句

1月1日 朝からの酒に響いて羽根の音   
1月2日 初詣鏑矢の鈴震え鳴り
1月3日 珍しく日の丸上がりて三が日
1月4日 五分の混み電車に着物で凛と立ち
1月7日 七草は知らねど粥で寿ぎて
1月11日 鏡餅開きて鍋に春と入れ
1月12日 甘き香の水仙愛でるネット越し
1月16日 恐々と薄目で手合わす初閻
1月18日 ファンヒーター止まらぬ今日の寒さかな
1月19日 一層の厳しき寒さ腰で知り
1月21日 タラノメと同じく春の香小指ほど
1月25日 合格の願いにチョコ連れ初天神
1月26日 正月も六日残して寒さだけ
2月2日 節分の豆じゃ祓えぬ胸の鬼
2月4日 街の雪エンジン音さえ凍てつかせ
2月8日 胸焼けを蜜柑に縋る食事後
2月9日 梅桜それより杉で春を知り
2月10日 浅春を日陰と日向が奪い合い
2月11日 ゴミ出しの朝に日の丸建国日
2月14日
節気よりバレンタインで春を知り
2月16日 腰に来て風邪は去り行き次ぎ花粉
2月18日
春節に獅子舞い踊る中華街
2月19日 姫様を護るが如く花に城
2月21日
言葉だけ暖かくして春北風
2月22日 カーリング胃と神経がキリキリし
2月23日 片栗の花に僅かな春の色
2月24日 如月を少し残してコート脱ぎ
2月26日
寒暖が行きつ戻りつ今日は雨
2月27日
寒風のひと薙日向の和を奪い
3月1日 目と鼻の先に春あり花粉症
3月2日
白酒に頬赤くして「はい、ポーズ」
3月3日 明日までは雛に一部屋明け渡し
3月10日 軽やかに春を知らせる靴の音
3月12日 お水取りニュースが運ぶ古都の春
3月16日 杉に負け桜待たれる鼻と花
3月20日 線香の揺らぎの向こう花見宴
3月21日 墓参りあの世とこの世で花を愛で
3月22日 桜木の中を彼岸に船を着け
3月23日 腰に手をヨッコラショイと花見上げ
3月24日 蛇口から春の温みが水となり
3月29日 コップ酒舞いたる花びら一つ受け
3月30日 世は桜されど名も無き花も花
3月31日 のんびりと亀の背中に桜舞い
4月1日
夜桜に雨降り落ちて妖しげに
4月5日 春を行く新入社員に桜舞い
4月6日 花冷えも去りてそろそろ散るを待ち
4月7日 行く花を暫し止める花見宴
4月10日
小盆栽小さき春の桜花
4月13日 お花見の後を夏日が追い回し
4月14日 目の桜終えて口には桜肉
4月19日
華やかに四季を舞いたる京の春
4月20日 来年の景気は如何にと散る桜
4月21日 暖かき穀雨に芽吹きの背を押され
4月28日 春寒に毛布一枚迷う夜
4月29日 菅公を守り佇む藤の花
5月1日 寝疲れて起きてまた寝る黄金週
5月5日 泳げない鯉では龍に成りきれず
5月6日 鯉のぼり仕舞い忘れか振替休
5月6日 季節行き暦が追い付く立夏かな
5月9日 照れ隠しブスッと渡すカーネーション
5月10日 冷房を五月の空に聞いてみる
5月11日 目に青葉されど蒸したる暑き午
5月12日 今年また燕来たりて夏間近
5月14日 夏風邪に臥せりて外の音近し
5月15日 渋滞の先に浴衣と夏祭り
5月16日
5月17日 夏祭り屋台の島に人の波
5月19日 夏祭山車引く綱の逞しさ
5月20日 御輿来る度に急がし二階窓
5月22日 晴れ間から吹く風湿る梅雨間近
5月25日 夏便り左耳から暑くなり
5月26日 吹く風の粘りが知らす梅雨間近
5月27日 夏空に雷神風神そこかしこ
5月28日 通り雨避けたる軒に燕の子
5月30日 洗い立て取りに行かせぬ小ぬか雨
6月1日 水無月に入りて青葉も雨を待ち
6月2日 梅雨入りて外を窺う窓の隙
6月3日 梅雨控え木々の衣もシースルー
6月4日 紫陽花の沢山の色梅雨の虹
6月6日 雨上がり仔猫寄り添う手鞠花
6月7日 一雨はせめて短く梅雨の前
6月8日 朝顔の双葉育ちて梅雨間近
6月9日 こざっぱり身だし整え梅雨を受け
6月10日 曇り空菖蒲見下ろし雨思案
6月12日 梅雨入りて傘の長短朝の空
6月14日 ワールド杯熱狂を背に梅雨に入り
6月15日 空梅雨もただ喜べぬ夏の先
6月16日 梅雨に濡れ本場より来しサクランボ
6月21日 梅雨の空暴れる前の朝静か
6月22日 梅雨のなか仕方が無いに背を押され
6月23日 中休み終えて西から梅雨の雲
6月30日 取り敢えず天に詫びたる夏越かな
7月1日 梅雨残し水無月文月入れ替わり
7月2日 折り返す梅雨に雨無き半夏生
7月4日 短冊に書きし願いを雨が読み
7月5日 梅雨なのに諦め切れる雨が無く
7月6日 待ってまで居ぬが安堵の梅雨らしさ
7月7日 七夕の逢瀬を妬いて梅雨戻り
7月13日 聞こえない耳に伝わる蒸し暑さ
7月14日 手を合わせ無沙汰を詫びる盆参り
7月19日 エアコンを効かせ猛暑のニュースを見
7月20日 夏休みテレビニュースで知る季節
7月23日 大暑より猛暑酷暑の梅雨は明け
7月24日 風に乗り遠く近くの音花火
7月25日 温度計日照りと共に背を伸ばし
7月27日 日を浴びてここぞと蝉の人生歌
7月31日 天空の花火が川を揺れ流れ
8月1日 右扇子左ビールで空見上げ
8月2日 隣家にも知らぬ子の居る夏休み
8月3日 待ちわびた夏の便りが一つ咲き
8月4日 御神輿を肩に茶髪の汗が飛び
8月5日 原爆忌挟んで平和の五つの輪
8月6日 向日葵も頭を垂れる原爆忌
8月7日 立秋に追い付き追い越す猛暑かな
8月9日 原爆忌忘れてならじと猛暑言い
8月10日
8月11日 帰る人精一杯待つ里の盆
8月12日 目が覚めぬ帰省の里の心地よさ
8月13日 打ち水のそばから陽炎花揺らし
8月14日 猛暑日をここぞとばかり蝉が鳴き
8月15日 秋立ちて後の暑さの終戦忌
8月16日 夏祭り懐かしい顔縁日に
8月17日 汗の目で見上げる空に秋の雲
8月18日 秋気配球児の夏の決勝日
8月19日 鼻赤く目には涙の残暑の日
8月23日 処暑なれど少々ほどの涼も無く
8月24日 日の暑さ川風混ぜて待つ花火
8月25日 秋気配店の終わりの涙雨
8月26日 赤とんぼ涼しげに舞う残暑の日
8月30日 残暑には勝てぬ暦の秋気配
8月31日 海で会い街で別れる夏の恋
9月1日 焦げ色のサンマに箸入れ少し幸
9月3日 蒸し暑き夕べの庭に秋すだき
9月8日 雷鳴が明けてぽっかり秋の朝
9月13日 通り雨過ぎて一際秋高し
9月14日 一汗も拭くたび秋も近くなり
9月16日 水道の水冷たきて秋ひとつ
9月20日 艶っぽく肥えたる月に雲の餡
9月21日 敬老も彼岸も銀で一括り
9月23日 台風と秋分競い雨少し
9月25日 三日月の弦キリキリと秋の夜
9月28日 紅葉狩り化粧直しの車連れ
9月29日
10月1日 また少し秋が深まる雨一夜
10月2日 ゆったりと秋に浸かりし野天風呂
10月5日 秋空を苛めるように灰の雲
10月6日 秋風と共にスーツに赤い羽根
10月8日 雨粒と出逢いて膨らむ寒露かな
10月10日 音花火万年5位の徒競走
10月12日 秋空に普段を正して歩を進め
10月14日 不揃いのジャガイモが言う北の秋
10月21日 床の中本を片手に旅の秋
10月22日 山盛りの柿ほど秋も深まりて
10月23日 柿一つテーブルにある秋景色
10月26日 秋雨にショックと共に傘の中
10月29日 紅葉が雨に打たれてより赤く
10月30日 もの言わぬ菊に問われる心うち
10月31日 寒さへと急ぐ足音冬間近
11月3日 文化の日布団一枚剥げぬ朝
11月8日 秋茄子を嫌と言うほど独り占め
11月9日 紅葉に見立てテーブル秋二つ
11月10日 霜月に師走の寒さ秋半ば
11月14日 秋と冬間に挟まる富士が見え
11月15日 よう蜜柑今年も会えた冬の友
11月16日 逃がせない晴れと言われて紅葉狩り
11月17日 新蕎麦にぬる燗一本口の秋
11月23日 紅葉山天が絵の具で色を付け
11月24日 人込みをインフル避けて福求め
11月26日 ヌーボーが運びし赤い友と秋
11月30日 冬を乗せ灯油売りたる巡回車
12月1日 十二月世間が煽る気忙しさ
12月4日 紅葉が参る人見る深大寺
12月7日 紅色もモミジに代わりサンタが来
12月8日 この冬の一番の朝週初め
12月12日 紅葉が落葉となり冬始め
12月13日 玄関の灯りの中にシクラメン
12月15日 物置の寒さ溜りで灯油入れ
12月18日 熱き湯を雪で温める露天風呂
12月21日 調髪を終えた頭が冬を知り
12月22日 懐かしき名前入力冬至過ぎ
12月23日
寒さ増し炬燵に似合う蜜柑かな
12月29日 あと三日思う心の気忙しさ
12月31日 山の鐘海の霧笛の大晦日


写真協力はTakaさん

戻る