〜 合法なれど品格なし 〜

このところ騒がしかったライブドアとニッポン放送の攻防が東京高裁の抗告棄却により取り敢えずは一段落した。
(ニッポン放送のフジテレビへの新株予約権発行が地裁により差し止められ、高裁もこれを支持したもの)
 
筆者はこの手のマネーゲームや株取引などには全く無知なので、これらについて論評するつもりは更々ない。
ここで取り上げるのはマネーゲームを仕掛けた側のライブドア(堀江君)についてである。
 
事の起こりはライブドアの時間外株取引に端を発した。この時間外株取引は法律的には問題が無いとのこと。問題は無いがライブドアの遣り口は『合法』と言うより『非合法ではない』といった極めて異端の遣り口らしい。
 
しかし“異端”というのはいつの世にもあり、ましてや若者は異端を恐れない。それが端的に表れたのが今回のライブドア、堀江君なのであろう。
でもこの堀江君の態度は如何なものだろうか。
東大出の頭脳明晰な人物らしいのだが人を見下した物言いがとても気になる。
 
ITと放送メディア、新聞メディアとの融合を言いながら一方ではこれらのメディアを『殺す』と平気で口にする。
そして殺したいメディアに連日のように出演して抽象的なことを累々と述べて、痛いところを突かれるとノラリクラリとかわそうとするか強弁を張る。この辺は老獪な政治家と似ていなくもない。
 
堀江君は、或る年代には希望の星、見習うべき人物と映るらしいが、若さの異端と老獪さは似つかわしくないと思えるのだが・・・。それともこの辺も“想定内”なのだろうか。
 
『金が有れば何でも出来る』と言ったとか言わないとかも喧伝されている。本人へのインタビューでは、そんな事は言っていないと否定している。しかしである、そんな事を言っても可笑しくない人物と世間一般から思われているのも確かである。
要するに企業人としての計算はあるが人物としての品格が備わっていないのである。
何でもかんでもアメリカナイズされた論法、手法で日本企業の乗っ取りを図るように見えてしまうのである。
 
株の時間外取引や、その流れに乗った相手先企業への支配の欲求は経済行為としては何等の問題も無いのだろうが余りにも金、金、金のマネーゲームの様相が強く感じられ辟易してしまう。
 
企業経営というのは冷徹な現実の連続である。でも、その中にロマンを求めるのが人間味である。
金の力で他人の家に土足で上がり込み『仲良くしましょう』では世の中は上手く行かないのは自明の理ではないだろうか。
もちろん土足で上がり込まれたニッポン放送が全て被害者だとは思わないが聴取者はどのように感じててるのだろうか。
 
堀江君はラジオの聴取者の気持ちに耳を傾けるのが大株主としての第一歩なのではあるまいか。
本気でラジオをやるつもりならば、の話だが・・・。



 

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