〜 始めに結論ありき 〜

ついにアメリカのブッシュ大統領がイラクのフセイン大統領に対して最後通告を行った。
その内容はフセイン大統領一族の亡命か戦争突入かの何れかである。
この期に及んでフセイン一族の亡命は先ず考えられぬ選択肢であるから必然的に戦争突入になるのだろう。
 
今回のアメリカの最後通告はイラクが国連査察に非協力的であり、大量破壊兵器や化学兵器の温存が否定できない事、テロリストを支援している事を大凡の事由としている。
確かにこれらの事由が有ればアメリカにとっては立派な戦争開始の理由であり大儀となるだろう。
 
しかし、今回の最後通告は少し早過ぎるのではないだろうか。
その証拠に国連安保理は開催されることもなく、安保理の外で安保理各国が揉めに揉めた。
査察に対してイラクが非協力という側面は否めないにしても外交努力は怠るべきではない。
そのための国連であり安保理ではないか。
 
アメリカが結論を急ぐには主に軍事作戦面が大きいと識者は言う。
あと僅かでイラクなどの中近東は気象条件が著しく厳しくなり特に地上戦では兵士の体力消耗が酷くなるそうである。勿論、アメリカ側兵士にとってである。
そうなる前に空爆でイラクの主な軍事施設を叩き、地上戦は出来るだけ短期で終わらせたい思惑とのこと。
 
しかし、今回は国連の査察が始まる前からブッシュ大統領は戦争を仄めかしていた、と言うより確信的に戦争に向かって行くように見えていたのは私だけだろうか。
戦争という暴力を100%否定し得ないこの時代ではあるが、事の始まる前から『始めに戦争ありき』では大国アメリカの大儀が泣く。
大きなテロを受けた後遺症は激しいものだろうが、初めから戦争を見据えての演出に泣くのは何時も庶民である。
人の死に敵も味方もない。



 
 

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