〜 幹部が患部 

つい先頃、長野県知事に作家の田中康夫氏が当選した。
初登庁時の挨拶回りで県の幹部と名刺交換をした際に、幹部の一人が田中知事から渡された名刺を目の前で折り曲げてしまった。
この幹部の言い分は『県庁トップの知事が部下に名刺を渡すのはおかしい』と言うものだそうである。
果たしてこの言い分は正しいのだろうか。否であろう。
同じ県庁内のトップと部下と言えども公式には初対面である。
儀礼的にもエチケット、マナーとしても名刺交換はおかしくはない。
この“名刺折り事件”が新聞、テレビ等で報道されると幹部に対して県民などから抗議の電話やHPへの書き込みが2000件を超えてあったという。
そして件の幹部は『自分は知事に仕える身、名刺は結構ですとの意味での行動だったが非は私にある』と謝罪らしき言葉を述べたとのこと。
それはそうだろう、自分の主張が間違っていないと確信しているのであれば最初から名刺は受け取るぺきではないし、それを通せばそれなりに潔いとも言えるが、受け取った名刺を折り曲げるなどという無礼は幼稚に過ぎ、余りにも大人げない。
田中知事の行政手腕は未知数とはいえ県民が選んだ知事である。
反感、反発は胸に納め新知事をサポートして行くのが幹部の幹部たる立場である。
この幹部はどこでどうやって礼儀やエチケット、マナーを学んだのだろうか。
それにしても可哀相なのは、こんな礼儀知らずの幹部を上司に頂く部下達である。
自分達は何も悪くないのに残業や休日出勤を強いられ、県民などからの抗議の電話に平身低頭している様をニュースで見て只々気の毒の一語である。
そして、残業や休日出勤の手当は県の予算即ち県民の税金から支払われる。
たった一人の無礼者の振るまいが結局は無駄に税金を使うことになってしまった。
教育先進県として名高い長野県ではあるが、先ずは県庁内(特に幹部クラス)の再教育と、今までに溜まった悪しき膿は患部を切開して取り去ることが重要課題かも知れない。
「なんとなくクリスタル」転じて「とんでもなく苦労したる」、下手な駄洒落で済めばよいのだが・・・。


 

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