〜 金に踊った I T 長者 〜

あのホリエモン(堀江貴文社長)の会社「ライブドア」と関連会社などが東京地検と証券監視委員会から強制捜査を受けた。

容疑は『証券取引法違反』の“風説の流布”である。
そして調べが進む内に風説の流布だけでなく粉飾決算や投資事業組合を隠れ蓑に使った株交換益の環流による不当利得、企業買収情報発表の故意なる遅延などの容疑が次々と発覚した。

そしてホリエモンの側近や腹心と言われる取締役連中の任意の事情聴取が連日のように行われ、ついに堀江貴文ライブドア社長他3人の取締役や系列会社社長の逮捕に至った。

堀江容疑者らのやったことは彼らが唱える『株主至上主義』に真っ向から反抗するものになる。
彼らの論旨を一言で言えば『株主が全てであり、会社は株主の為にある』と言うものだった筈である。
要するに会社に投資をする株主(投資家)が最高最上の一番大事な人と言うことである。
(この彼らの論には企業の果たすべき社会への役割や責任などの哲学・論理が微塵もない)
今回の容疑はこの『一番大事な人々』を全面的に裏切った行為であり、堀江容疑者に種々の期待をした人達への背信行為である。
ライブドアなどに投資した株主の自己責任は勿論あるが、投資した人達の殆どは開示されている情報が正しいと信じての投資である。
その開示情報の根本的な部分で嘘を言い、情報を操作し自分たちだけが不正な利益を得るというのは『金さえ有れば何でも出来る』『金で人の心は買える』と言った拝金主義、儲け主義の堀江容疑者には当たり前のやり方だったのだろうか。

逮捕に至るまでの容疑事実については堀江容疑者やその他の容疑者らのメールなどで裏付けられると言う。
任意で聴取を受けていた取締役の申し立てでも金の流れなどの事実関係はほぼ全面的に認めているとのことである。

しかし、I T を武器に数多くの不正で会社を大きくし、株価を身の丈以上に高く見せてきた堀江容疑者も、メールで自らの容疑の裏付けをされるとは思ってもいなかったのかも知れない。

堀江容疑者は『金さえ有れば何でも出来る、金で人の心は買える』と言ったが、とどのつまりは“己の魂や心を金に売り渡して自分を見失ってしまった”のだろう。
昨今の日本は堀江容疑者に限らず『金さえ有れば』の風潮が顕著に成りつつある。
確かに金というものは有って困る物ではない。しかし、哲学の無い者、倫理観の無い者が大金を持つと碌なことにならない。
その顕著な例として象徴的なのがホリエモンであり今回一連のライブドア事件なのであろう。
I T を利用して大きくした楼閣がその I T により潰えるかも知れないという現象は如何にも象徴的である。

今回の事件の人物や現象を的確に捉え、十分に熟慮をし少しでもまともな社会に向けた軌道修正が為されるとしたらホリエモンも“他山の石”“反面教師”として日本と日本人に役立つ存在になれるかも知れない。

 

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