〜 貸し過ぎに注意しましょう 〜

最近のテレビを見ていて気が付いたのだが消費者金融連絡会とやらが『借り過ぎに注意しましょう』というキャンペーンを行っている。
簡単に書けば『まだ大丈夫と思って借りている内に借り過ぎになり破綻の危機に瀕することがないように』と言った趣旨のようだ。
 
しかし、このキャンペーンは少しと言うか大いに変なのではあるまいか。
先ず “借り過ぎ” をしてしまう人は種々の理由や状況(生活費、遊興費、借金の返済等々)はあるにせよそれなりに金銭を必用としている。
必用としているのだから “借り過ぎ” を分かっていても借りるし、一部の人を除いては『まだ大丈夫』とか『何とか成る』と思っている筈である。
そして まだ大丈夫ではなく、何とか成らない 状況に陥るのである。
 
第2に “借り過ぎ” という状況は貸し過ぎる業者が居るから発生するのである。
消費者金融連絡会を組織するのは大手の消費者金融業者とのことだが少なくともこれらの業者は借り手の信用情報を共有している筈だ。
そうであるならばこれらの信用情報を的確に審査すれば借り手の借り入れ状況や返済状況などもチェックが出来る理屈である。
そして的確な審査で融資の可否が判断されれば 貸し過ぎ = 借り過ぎ という事態はおこらないのであるまいか。
 
第3に『借り過ぎに注意しましょう』という文言は全ての責任を消費者(借り手)に押しつけてしまっている。
勿論、無節操な借金をする借り手が一義的に問題であるのは言うまでもないが前述のとおり “貸し過ぎ” が無ければ “借り過ぎ” は起こり得ない。
そして的確な判断が出来るのは “どうしても借りたい人” より 蓄積された信用情報を持つ 消費者金融サイド である。
 
こうして並べてくると消費者金融業者が “まとも” なら借り過ぎをする消費者は居なくなる。
言い方を変えれば『まともな消費者金融業者は借り過ぎの人を作らない』のではないだろうか。
(どうしても借りたい人は闇金へ行く、というような論もあるがそれは別の話である)
 
消費者金融を少し前まではサラ金(サラリーマン金融)と言った。
サラ金から消費者金融と言い方は変わっても高利貸しであることに違いはない。
 
高利を承知で短期間、少額の借り入れで済むなら審査の厳しい銀行よりも確かにお手軽かも知れない。
親や親戚、友人などに頭を下げて借金をするより “お客様” として遇してくれもする。
しかし、お手軽であるが故にのめり込むと大怪我をすることになるのも間違いのないことである。
お手軽な借金は人間性までもお手軽にしてしまう。 お手軽と言えば何となく剽軽な響きだが考えが浅く無思慮ということだ。
 
消費者金融の “お客様” で居られるのは当然ながら返済が滞っていない時だけである。
返済が滞れば “お客様” から一転して “債務者” という名称に変わる。
 
今の世の中、世間の人々は “身の丈にあった生活” を忘れつつある。
身の丈にあった生活をしていれば借金と言うものはそれ程までに膨らむも筈のものではない。
先ずは身の丈にあった生活で地歩を固め、そしてじっくりと着実に次の段階へのステップアップを期す。
ステップアップが出来れば金は後から付いてくるものである。
後から付いてくる物を先食いしてしまえば負債が残るのは当然の理である。
 
今の日本は明るい希望を見出しづらいが “先憂後楽” という言葉を思い出し、未来を展望しつつ現在を把握して安易な借金や無理な借金を重ねることなく 、一か八かではない地道な行き方をもう一度考えてみようではないか。
 
そして消費者金融業者に言いたい。 『 貸 し 過 ぎ に 注 意 し ま し ょ う 』



 

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