〜 軽視と経費 〜 |
1月26日、JR新大久保駅で酔って線路に落ちた人を助けようとした二人の男性が入線して来た電車に轢かれ三人とも死亡するという事故が起きたことは既にご承知だろう。 自らの危険を顧みず勇敢な行為の末とはいえ痛ましい限りであり、ご遺族には心から哀悼の意を表したい。 救助のために線路に降りた二人、一人は韓国人留学生 李秀賢氏、一人はカメラマン 関根史郎氏である。 人を救おうとして殉難した二人にあったのは主義、主張、思想、信条などではなく『落ちた人を助けよう』の人としての一心だったに違いない。 結果としては痛ましい事になったが我々に色々な問いかけを残してくれた。 それにしても不可思議なのはJR当局者の事故後の記者会見での発言である。 『安全確保の観点からホームに設置されている非常ブレーキボタンの存在を周知徹底する』ことが唯一の具体策、駅員の配置も『現在で適正』として見直しも行わないと言う。(実際にどうなるかは今後の世論の動向によるだろう) 或る人が新聞で言っていたが駅のホームは身障者にとって“欄干の無い川”なのだそうだ。 確かに身障者の方だけでなく健常者にとっても大きな危険地帯である。 一番の安全策はホームにドア付きの塀を造り電車のドアと連動する設備(正式名称不詳)である。 しかし、その設置には膨大な経費が掛かるから考えていないとのこと。 人命優先よりもコスト優先である。 確かに膨大な費用は掛かるだろうがチョッと待てよ、財源は本当に無いのか?いや、有るではないか。 政治家の利益誘導に使われている整備新幹線である。来年度の政府予算案にかなりの規模で復活している。 それを人命と安全の為に回して貰おうではないか。 民営化したと言ってもJRは国民の交通の基幹であり機関である。文句を言う者は居ない筈である。居るとすれば利権に群がる政治家と業者ぐらいだろう。 民営化してJR職員の接客態度やサービスは良くなったと言われるが公共交通の最大のサービスは正確さと安全性である。我が国の交通機関の概ねは正確さでは世界トップである。 しかし、安全性は今回の事故でも分かるとおりお寒いのが現状なのだ。 笑顔の接客は気持ち良いには違いないが、それも安全なればこそである。 本来のサービスと使命を履き違えては困るのだ。 |