〜 年金の不信と不振 〜

小泉首相の趣味と意地であった「郵政民営化法案」が先般の国会で可決、成立した。
その賛否は兎も角として次の命題は何であろうか。
それは山積であるが一番は「年金(社会保障)」ではないだろうか。
本来なら郵政民営化などよりずっと大事で国民の行く末を左右しかねない大問題である。
 
年金制度は若い世代が老後の世代を支えると共に若い世代の将来の為の必要最低限の社会保障制度である。
その社会保障制度がいまガタガタに揺らいできている。
これは小泉政権ばかりではなく歴代の政権が口先では色々と言ってはいたが実際に実効性のある政策を何もせず、問題を先送りしてきた結果である。
 
よく言われるのが若年層の年金掛け金未払いである。
新聞報道などに寄ればこの未払いは年金に対して無関心と言うだけではなく年金制度そのものを信頼していない表れでもあると言う。
確かにそうであろう。いま現在、年金制度を支えている世代が年金を受け取る年代になる頃には掛け金の半分程度しか支給されない事が分かっていては誰が喜んで掛け金を拠出するであろうか。
 
歴代の政権は年金支給額の減額と年金掛け金の納付率向上には汲々として来たが国民に対して説明をし、理解をしてもらう努力は殆どしていない。
最近は「議員年金」の廃止に照準を合わせ、与野党とも廃止の方向で議論が進められているが議員年金などは枝葉末節の問題である。
勿論、一般国民の年金に比べて極端に優遇されている議員年金が是正や廃止されることは当然のことてはあるが、それでお茶を濁されたのでは国民は堪ったものではない。
 
先ず小泉首相のやるべき事は政府税制調査会に増税ありきを匂わせるような姑息な手段は取らず、税金の無駄遣いの徹底的な洗い出しとその是正、責任の明確化である。
税金の無駄遣いの排除はいつの時代のどの政権も言ってきた事だが実際に本気で行われた事は一度たりとも無い。
 
いま小泉首相の権勢は自民大勝により絶大である。
前回の『 The Pen 』でも書いたことだが郵政民営化法案が成立したからと言って休憩をしていては困るのである。
いまある権勢を生かし、郵政民営化などより大きな問題の国民の将来を考えて欲しいのである。
リーダーシップを発揮する時期、発揮する場所は今であり、ここにあるのだ。
小泉チルドレンや小泉シスターズに媚び諂われてニヤけている時間は無いのだ。
 
国民に痛みばかりを押しつけてきた小泉首相のせめてもの国民への贈り物(税金の無駄遣いの排除等)を期待したい。



 

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