〜 死刑廃止論と無期懲役 〜

いま、国会や与野党間の一部でで死刑廃止論の是非が議論されている。
死刑廃止論者の凡その理由は『冤罪を否定しきれない』というものである。この理屈からすると『現行犯なら死刑は可』ということなのだろうか。
私も消極的ではあるが『死刑は無くした方がいいかな』とは思う。
しかし、犯罪によって家族を殺された遺族の心は癒えないだろう。ある殺人被害の遺族は記者会見で憤懣を爆発させ『国が死刑を科さないのなら自分が仇を討つ』とまで言っていた。
この国の人権は“加害者に甘く被害者を顧みない”のが特徴である。『更正の余地がある、反省している』からでは家族を殺された遺族は堪ったものではない。殺された人は生き返らず更正も出来ないのだから。
俗に『二人までなら死刑にならない』と言われる我が国の司法判断も不可解であるが、求刑の八掛けが当たり前の判決は何とかならないのだろうか。
例え無期懲役になっても十余年も経てば出獄の対象になり得ると聞けば遺族でなくとも首を傾げざるを得ない。
そこで無期懲役の代わりに議論されているのが“終身刑”である。犯罪者を一生、刑務所から出獄させない刑罰だ。
欧米の一部では今でも累積刑がある。犯罪者の罰状のそれぞれに対し刑期を加算していく方法である。
時として懲役150年とか200年の判決が出る。当初それを聞いた時に『いくら何でも200年は生きないのに』と思ったものだが、考えてみれば終身刑と同じ効果があり成る程ど感心したものである。
死刑廃止論と終身刑については開かれた場所で大いに議論をして欲しいものである。
少なくとも犯罪被害者や遺族そして国民が納得出来る結論を拙速でなく導き出して貰いたい。
以前にも「The Pen」で書いたが『シンナー吸引という小犯罪を犯してから殺人という大罪を犯せば心神耗弱で減刑』などという馬鹿げたことのない刑罰の設定を望む。
 
 
 

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