〜 死の商人 〜

家人が亡くなったことは「近辺事片 」でお話しました。
そして、葬儀が終わっての各種セールスの来宅、電話攻勢も。
 
香典のお返し物、法要の会場、墓地・霊園、墓石、仏壇仏具etc。
葬儀が終わって取り込んでいる最中に遠慮会釈なく電話は鳴り、人が訪ねてきます。
『どうせまた何かのセールスだろう』と思っても状況が状況ですから親戚、知人からの電話かも知れず無視する訳にはいきません。そして、電話に出ると案の定セールス電話です。最初は必ず『この度はご愁傷様で御座います。お取り込み中のところ失礼ですが〜』と続き後はセールス商品の話になります。
そんなセールスの中でも飛び抜けて多かったのは香典返しの商品です。
都内、県内の有名どころのデパートの八割からも電話、来宅がありました。普段、何等の付き合いもないにも関わらずです。引き出物専門店はデパート以上に電話、来宅が頻繁でした。電話は100本以上、来宅は30人以上でしょう。電話で断っても来宅したり、逆に来宅時に断っても電話をして来たりで気持の休まる間がありません。
置いていったり郵便受けに入れて行ったりのカタログ類が見る間に山になりました。
綺麗な紙に綺麗な写真が印刷されたものが結局は利用されることなくゴミの回収に出されます。勿体ないことです。
“死の商人”と言う言葉があります。戦争をしている国や、戦争準備、軍備増強の国々に武器やノウハウを売る商社やメーカーをさしますが、そんな大きな話でなくても人が一人亡くなるとどこからか有象無象の“死の商人”が現れます。“死の商人”と言う語感がきつ過ぎるとすれば“死を商売”と言い換えてもいいでしょう。
中にはそれらのセールスで助かった人も居るでしょうが、ご愁傷様の言葉の裏に商魂が見え見えでは遺族の反感を買うだけで商談が成り立つ訳はないと思うのですが・・・。
彼、彼女らも商売なので仕方がないのでしょうが葬儀を終え、自宅に帰って着替える間もなく『香典返しは如何・お墓は如何』では誰も相手にしないと思うのは私だけでしょうか。



 

戻る