〜 次々詐欺と亡国の兆し 〜

日本各地でお年寄りを狙った詐欺が横行している。
最も一般的な詐欺の手口は必要のないリフォームの契約を適正価格の数倍から数十倍で結び、お金を騙し取るというものである。
そしてその契約が上手く行くと、同じように不要なリフォームを持ちかけたり、不要な物品を次々に売り付けてお年寄りの全財産を巻き上げるという酷さである。
 
これらの悪徳業者の手口は、最初は親切な好青年や紳士を装い、如何にも親身なポーズで近付いて来てお年寄りの愚痴を聞いたり、話し相手になったりして心を開かせる。
そして親切ごかしに家の各所に修繕が必要だと持ちかけて必要もないリフォームの契約を取り、いい加減な工事をして多額の現金を奪い取る。
 
これらの被害に遭うお年寄り達の殆どが一人暮らしであり、心身も大なり小なりの疾患(認知症など)を抱えている。
始めからこのようなお年寄りをターゲットにするするのだから狙われたお年寄りは堪ったものではない。
老後の蓄えの一切合切が雲散霧消してしまう。
 
ここへ来て行政も重い腰を上げて対策に乗り出したが如何にも対応が遅いのである。
お年寄りを騙して不要不急のリフォーム工事契約をするような会社は碌なものではないことは決まり切っている。
『一部の不心得な社員がやったこと』などと言い訳をするが、そもそもそんな社員が居るような会社がおかしいのである。
 
このような犯罪被害に遭ったら搾取された金品は無条件に被害者に返却させるべきであり、法律が整備されていないのなら早急に整備すべきである。そして、そのようなインチキ業者は新聞、テレビ、ラジオ、広報媒体で広く周知させ、活動が出来なくなるまで徹底的に排除すべきである。
 
インターネットの一部では悪徳業者が公表されているようだが、お年寄りの全部が全部インターネットの環境に馴染んでいるとは到底思えない。
また、一々国民生活センターや消費者センター等の窓口に照会しなくても、やはり普段の生活にある新聞やテレビで悪徳業者を反復して公表するのが被害を未然に防ぐ一番の方法であろう。
 
お年寄りを大事にしない国は滅びると言う。お年寄りを騙して財産を奪った者どもにも父母はいるであろうし、年老いたお爺ちゃん、お婆ちゃんがいるかも知れない。その父母や祖父母に思いは至らなかったのだろうか。目先の金に心を奪われ、人間の尊厳を無視して何か得るものはあったのだろうか。
 
明日は我が身である。どんなに若い者でもいつかは年老いるのである。今の若さを老いた我が身に置き換えて考えてみるがよい。
とてもお年寄りを騙すなどという愚かで浅ましいことなど出来る筈はない。それが人間の人間としての理であると知るべきである。



 

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