〜 有権者の困惑 〜

総選挙から2週間余が経ち政界も取り敢えず落ち着いて来たようです。
 
それにしても今回の自民党の地滑り的圧勝と民主党の壊滅的敗退を誰が予想し得たでしょうか。
当の自民党や自民党支持者でさえもここまでの圧勝は思っていなかったでしょう。
もしかすると小泉自民党総裁だけは『想定の範囲内』だったのかも知れませんが・・・。
 
今回の選挙結果に一番驚いたのは自民党に票を入れたにせよ入れないにせよ有権者自身だったのではないでしょうか。
自民党に票を入れた有権者にしてもこれほどの圧勝になるとは考えてはおらず又これほどの圧勝は望んではいなかったと思えます。
特に『今回は自民党に入れた』有権者の驚きは如何ばかりでしょう。
 
今回の選挙の特徴は“都市の票が自民に流れたこと”と言われています。
本来なら都市部に強い筈の民主党への票が自民党へ怒濤のように流れ込んだ結果が今回の選挙結果の全てということです。
 
選挙上手の小泉さんの『郵政民営化は是か非か』の二者択一的な手法に自民党以外の殆どの党が敗れてしまった訳です。
この『郵政民営化は是か非か』は一見すると分かり易いようですが、郵政民営化法案の実体を本当に理解していた有権者はどれくらい居たのでしょうか。 私を含めて『十分に理解していた』と言う人は少ないのではないでしょうか。
小泉さん特有の右か左か、黒か白かの『一見分かり易い論理』に有権者が誘導され、そしてそれに対抗すべき民主党は為す術を持たず、有効な対案も提示できず、模索している内に選挙戦が終わってしまったと言ったところでしょう。
 
こう書いて来ると有権者が劇場型と言われた選挙戦に簡単に乗せられてしまったような感がありますが野次馬的に見て今回の選挙に限って言えば確かに“乗せられた”のではないでしょうか。
乗せられた結果が自民党の圧勝であり、有権者の戸惑いです。
 
多くの有権者の感覚は自民党を支持したのではなく、一見分かり易い小泉さんを支持したのです。
それがどう言う訳か気がついてみたら自民党の圧勝に繋がってしまったと言うのが正直な感慨なのではないでしょうか。
 
いずれにしても自民党は安定多数、絶対多数を獲得したことになりました。
小泉首相は当然のように郵政民営化法案の成立を図り、それは当然のように可決、成立します。
しかし、選挙の結果から言えば有権者は郵政民営化に賛成の意志を示したに過ぎません。
小泉さんの『郵政民営化』に賛意を示したものであり、小泉さんの全てに賛成した訳ではないのです。
郵政民営化よりも何倍も重要と考えられる年金や福祉、雇用や外交などはどうなってしまうのでしょう。
 
小泉さんは『何が何でも郵政民営化』で良いでしょうが国民はそうは行きません。
国民は今日を生き、明日を生き、将来も生きて行かなくてはならないのです。
そのためにも小泉さんには郵政民営化が一段落したら郵政民営化よりも重要な懸案に真剣にそして真摯に取り組んで欲しいものです。
 
有権者は小泉さんにフリーハンドを与えた訳ではありません。ましてや数の力に胡座をかくような傲慢さを望んでもいないのです。
“小泉さんの懸案”の郵政民営化法案が成立したからと言って『これで良し、後は宜しくね』では困るのです。
心ならずも自民党を肥大化させてしまったとは言え有権者の小泉首相への期待は大きいのです。
自民党をぶっ壊す勢いで国民の負託に応えて欲しいものです。
呉々も国をぶっ壊すことがない程度に・・・・・。



 

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