戦が終われば勝者と敗者が存在する。
それを鮮明に示しながら両者の睦み合いは果てしなく続いていた。
「胸だけで達するとは大したものだ。さすが英雄殿という所かな」
「だ、だれが、あのようなまねでっ……」
ルシウスが余裕を持って問い掛けると、その腕に絡めとられたローレライは頬は紅潮させはき捨てるように応える。
しかしそれ以上言葉をつむぐこともできず後は荒い息を吐くばかりである。
いかに気丈にふるまおうとも、その衣服は汗でじっとりと張り付いた上、胸の周囲を裂かれ、束縛を解かれた乳房はその質量を存分に示し、僅かな手の動きにも大きく震えている。
このすごぶる淫猥な姿と決して屈しない事を誓う意志のアンバランスさが、なまらなく淫猥な情景を創り出す。
「他のところはどのような反応をなされますかな?」
そう言うとルシウスは、ローレライが達した後もゆるゆると乳房を刺激していた手の一方を下方に降ろす。
腹部をなぞる指から刺激を受けながら、ローレライは瞬時にその行き着く先を悟る 。
それどころかそこで行われる行為の情景まで目に浮かべてしまう。
憎むべき男の手により身悶え嬌声を上げる自分。
そんな幻像を慌ててを打ち消そうとしても、自らの淫猥な姿は消え去らない。
(そんな、そんな風には絶対にならない……、で、でも、もしかしたら)
淫蕩な虚像を否定しつつもローレライはいざそのような行為をなされると自分がどのようになってしまうかは全く分からなかった 。
つい先程の胸への愛撫で与えられた刺激は、夫との行為で得られたものとは全く次元の違うものだった。
未知の領域へ誘われ自分がどうなるかは想像もつかない。
(指で弄られるだけでなく、たっぷりと嘗め回され、あまつさえ相手のモノを受け入れさせられる、そうなったら嬌声をあげるどころではない。私はどうなってしまうの)
自分の淫猥な想像は、次々にエスカレートし心のうちに克明に刻まれる。
それだけで身体の奥が熱くなる上に、腹部を這う指の微妙な圧力から生まれるむずかゆいような喜悦が身体中を巡る。
一方で力の抜けた身体を必死にくねらし、震える両手が下がっていく魔手を押しとどめようとする。
ルシウスにしてみれば力で妨害を排除するのは容易いが、それではいささか趣にかけるので、わざとスカートの上でもみ合わせる形にする。
「手をどけてくれませんか」
「ぜ、絶対にどけません」
冗談めかした問いにも、凛とした声で反論される。
しかし快楽に打ち震える様を隠し切れないのがたまらなくルシウスを喜ばせる。
「ではここから探ってみますか」
「えっ?……はっ、ああっ…」
ローレライが戸惑う間もなくスカート越しに肌をまさぐる。
幾枚かの布地越しにも熱っぽく湿ってるのを感じられる。
既に一度軽く達して小康状態に陥っていた秘所は新たな刺激に敏感に反応し、直にその花弁を押し開き新たな体液を分泌する。
「触れただけで凄い反応ですな」
「か、勝手なことを言わないで」
(ど、どうして、わたしはこのような男の手で、こんなになってしまうのですか?は、はしたない汁を滴らせるなんて)
身体が再び快楽の波に翻弄され始める中でも、頭の一部の理性と呼ばれる部分はまだ踏みとどまろうとする。
しかしかえって自らのいやらしく反応する身体を認識する事になり、その自覚が男から受ける刺激と重なり身も心も蝕まれ、慎ましげな唇から嬌声が漏れ、体奥からは一層の体液がこんこんと溢れ出る。
大量に溢れ出るそれはついに下着では押さえきれず、液体が太ももを伝い落ちる。
(あっ、と、とうとう)
ローレライの意識には大きな動揺が走る。
自分がそのように大量に液を滴らす事もそうだがこのままでは見られてしまうではないか。
何とかしようとしてもただ体奥から滴る様を一層自覚するのみで何もできない。
このままでは後少しで見られてしまうと、自分で自分を嬲るのみである。
濡らしている事の逃れ用の無い証拠を憎むべき男の眼前に示してしまう。
またそれはその男の手で喜ばされた証拠でもあるのだ。
(これでは、わ、私は、ただのはしたない女ではないか。淫乱で不貞をはたらく………。そんなはず無い……無いはずなのに……でもこれでは否定できない)
ただ痴態を見られるだけでなくそれを先程まで否定してた事が一層の羞恥をかきたてる。
(このままでは、み、見られてしまう。違うって、濡れてないって言ってたのに。それなのに、それなのに、滴るまで濡れているのを……。どうすればいいの)
無限とも思える葛藤を僅かな時間に詰め込むが、事態が変わるわけでもない。
ついに液体の筋がスカートの長い丈の下からむき出しの肌にしたたる。
どこまで滴っているかイヤというほど認識しているローレライは、まるで濡れそばる秘花を見られるかのような錯覚に陥る。
「ふふふ」
忍び笑いが鉄槌のように脳天に振り下ろされ、恥辱と羞恥の二重奏がが全身に響き渡る。
(こ、こんな様をさらすなんて……き、消えてしまいたい)
英雄と呼ばれようとも結局は一人の人間であるローレライは、当然消え去ることもできずただ身も世も無い様に体を縮めるのみである。
もっともルシウスにしてみれば、英雄であった佳人は今でもただの人間と言う訳ではない。
美しい身体を淫虐に供し悦楽に苛まされ、望まぬ痴態を晒しながらも哀しき抵抗を続ける艶獄の生贄と称する方が正しい。
「ちがいます、ちがいます」
意識せず小声でうわ言の様に否定の言葉を繰り返すローレライを満足げに眺めていたルシウスのもう片方の手が何気なくが背に廻る。
「ひっ」
背筋をなぞりその指先でローレライに旋律のような刺激を与えながら下方に滑る。
そのまま前後に分かれてるスカートの後ろ側を捲り上げ、さらに股間をくぐり後ろから前へ向かおうとする。
自身の最奥へ迫る感触にローレライは反射的に太ももを閉じて防ぐ。
そうすると侵攻は道半ばで止まるのだが、指の先端は両腿の間に挟み込む格好になる。
「ひっ、あっ」
指がそのまま左右の内ももを擦り上げ、遠慮無く柔らかい内腿の感触を味わう。
甘い波動がジンジンと響きわたり力が抜け、内腿が離れそうになる。
だが開けば陵辱の魔手が秘めたる場所まで達してしまう。
よって必死に擦りあわすしかなく、そうする事で挟み込む指に思う存分嬲られる。
淫蕩な責めから逃れる事もできず、なすがままに熱を持った柔肌を堪能される。
そしてローレライが必死に押し留めようとしても身体の力が抜け蕩けそうになる。
「は、あ、うわぁぁぁ」
「ここまでたっぷり出されるとはおもいませんでしたよ」
内腿を嬲る指には当然秘洞からの蜜がつたい、その律動と共に淫猥な音まで立てる。
その上そのものには触れられてないのに滴らせている事が、更なる羞恥を掻きたてる。
言葉に応える事も出来ず、ただ目を閉じ口を結び昂ぶりに耐えるのみである。
「ふ、くっ、ああっ」
内腿で蠢いていた指が責めの矛先を変え、上方の敏感な鼠頚部をすりあげる。
今までより秘所に近い場所を愛撫され、より鋭敏な刺激が襲ってくる。
閉じていた口は呆気なく開き嬌声が漏れ、身体の痺れが精神にまで波及する。
(ひっ、おかしくなっちゃう。どうして、こんなに、こんなに)
ローレライはもうイヤイヤするように首を振るだけである。
「ふふ、強情な人だ」
それでも戯れに未だ片方の乳房を刺激しつづけていた腕を離し上半身を自由にすると、身悶えし淫虐の拷問台から逃れようとする。
しかし内腿はそのまま嬲られているので、自然に前に倒れこむような形になる。
「おっと、危ない」
ルシウスは横たわるように倒れこむローレライの上体の下に腕を入れ支える。
その腕は当然のように身体の動きに合わせて弾む胸をしっかり掴む。
そして重心が移動するのに会わせて、半身の状態で横たわるような形になったローレライに覆い被さるように自身の身体を合わせる。
「は、はなれて」
「せっかく助けてあげたのにその言いぐさは無いでしょう」
「とにかく、離れて下さい!」
乳房の間近に顔があるのを想像し、ローレライは余裕も無くただ一刻も早くこの態勢から逃れたい一心で叫ぶ。
「お気に召さない、という事ですか。ではこんなの格好はどうですか?」
指で鼠頚部を責めたてられて全く力の入らない内腿も上腕部で抱えるように引き寄せる。
自然にスリットの隙間から剥き出しの腿が現れ、折り曲げられた肢が天頂へ向け立てられる。
「や、やだ、こんな格好……」
ローレライにしてみれば嫌悪する男に上から覆い被されて剥き出しの乳房を嬲られ股間に指を這わされるだけでも羞恥に身を焦がさざるを得ない。
その上に足を帆のように掲げさせられるなど、目が眩むほどの恥辱である。
せめて半身の身体をうつ伏せにしようとするが、両腕にしっかり捕らえられていては、ただ身体を震わせるだけである。
「ふふっ、間近で見ると本当に巨きいですな。それに色艶を増しとても美味しそうですよ」
「やっ、やめっ、あっ、ふあっ、あぁぁ」
ローレライの抵抗をあやすように押さえていたルシウスは、無理な姿勢でも形よく震える乳房に味わうようにゆっくりと舌を這わし、足跡を記すように唾液をまぶしていく。
舌での愛撫は今までの手でのそれとは全く感覚が違っていた。
嬲られてるというより、まさに陵辱、辱められるという感じがするのだ。
今までは強弱はあったものの、感覚に淫蕩な刺激を送りこまれてる感じだったが。
舌での責めはなにか得体の知れないものに侵食されるようで、気を抜けば身も心も蕩けそうになる。
「うっ、くっ、はっ、あ、あぁぁぁぁ」
自在に舌が這い回りぬらつく唾液で光る乳房は完全にローレライの制御を離れ、淫猥な衝動に身を躍らせる。
ローレライは抵抗することも忘れただ手をぐっと握り締める。
生暖かい舌先は豊かな果実全体を存分に嘗め回しながら徐々にきつく尖る頂点に迫る。
(そ、そこは…)
次なる陵辱を悟ったローレライが身をこわばらせると、陵辱の軌跡はその場所をかすめて離れる。
もっともそれは一瞬のことで外周まで離れたそれは再び円を描くように痛いほど起立した乳首に迫る。
恐怖と安堵が繰り返し訪れ、心の休まる暇も無い。
「こんなに痛いほど尖って、癒してあげます」
そう宣言しながらも、ルシウスは依然焦らすように傍目にも分かるくらい膨らんだ乳輪を丹念になめあげていく。
「やめて、それだけは、はっ、あうぁぁぁぁぁ」
ローレライの拒絶の声でその意識が確かなのを確認すると、それが合図であるかのようにルシウスは舌先で、突き出た突起をなめあげる。
その瞬間に頭まで突きぬける刺激がローレライを襲い目の前が真っ白になる。
「あった、はっ、や、やめ」
ローレライの意識が飛んでしまうギリギリを保つくらいの間で何度もなめ上げる。
桜色ほんのり染まるそれの尖り具合を確かめるように、そしてローレライに認識させるように舌先で蹂躙させつつ、根元から頂点の窪みまで何度も往復する。
「やはりここもお好きなようだ」
「い、いや、いやよぉぉぉ」
痛いほどしこる乳首に舌を絡めこすったかと思うと、乳が出るかのように音を立てて吸う。
突き出た突起の更に先端の窪みを探り当て舌を這わす。口の動きと連動して右手がもう片方の乳首を摘みしごきあげ、左手が鼠頚部を擦り押し、本来の入り口でないところからローレライの秘奥を刺激する。
嬲るようなルシウスの声も淫虐に打ち震えるローレライにはもはや聞こえない。
ただ悲鳴、嬌声、拒絶、そのどれともつかないような叫びを唇が紡ぐだけである。
乳房や股間といった場所からのみでなく、触れ合う肌の僅かな摩擦も確実に快楽を刻む。
全身から様様な波長の淫律が押し寄せ、ローレライの身体を舞台にたまらなく淫蕩な楽曲を奏でる。
ローレライには自身の身体がどのように弄ばれ反応してるのか、相手がどのような表情で愉しんでいるかなど考える余地も無く、ただ快楽に抗いつつも翻弄されるのみである。
(はっ、やっ、ダ、ダメ、こ、このままだと、このままだと……)
霞む意識の中で唯一確かに認識するのは、このままでは先程以上の高みまで押しやられ、凄惨な痴態を晒し感を極めてしまう恐怖のみであった。
そのどうすることもできない残酷な未来像に諦めに似た感情が浮かび始めた頃合を頂点に淫虐の責めが徐々に緩められる。
「正直思った以上ですよ」
ルシウスはローレライの息が整うのを待って問いかける。
それによりローレライは快楽に翻弄され意識が切れ切れになっていた間は、認識せずにすんだ自らの浅ましい痴態を認識させられる。
元来の生真面目な性格が災いし、その虚像は自分自身でも信じられないほどの淫らになりこそすれ、意識のうちから消し去ることはできない。
度重なる陵辱の中で自虐の念が自らの存在の足場をぼろぼろにする。
だがその頼りない足場の上でもローレライの意識は背筋を伸ばし真っ直ぐ前を向こうとしている。
それだからこそ恥辱を感じるわけで、それこそがルシウスの最も好む嗜好であった。
「ふふ、そろそろいいですか?」
「えっ?あっ……、は、はぁぁぁぁ」
無言で身体の反応を押さえようとしているローレライを愉しげに眺めていたルシウスは、わざとらしく呟くと再び陵辱を始める。
今度は乳首のみでなく、乳房全体を咥えようとする。
当然ローレライの巨きな乳房の全てを含む事はできないが、吸い尽くすように柔らかい肉を貪欲に口内に取り込み、舌、歯、顎、あらゆる方法で責め嬲る。
(あっ、はあっ、こ、こんな責め、わ、私、胸を、胸を食べられるの)
ルシウスの意のままに身体がまた燃え上がるのを感じながら、自分の無様に責められる様に猛獣に捕らえられて捕食される獲物が思い浮かぶ。
屈服しないと思いつつも、その未来には嬲られつづける自己のはしたない痴態があるのみである。
股間では後から後から堰を切ったように蜜が湧き出し、地面に水溜まりをつくる。
(こんな暴虐、い、いつまで耐えれば良いの。このままだといつかおもうがままにされてしまう)
それでも、それでもなおローレライは堕ちきることを拒み続け、陵辱の俎上で身をくねらせるのだ。
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