ヴァレリア

「速く、鋭く、全く持って見事な斬撃ですな」

(くっ、強いっ……、だが、このような男に負けるわけには)

当初見込んでいたルシウスの力量が過少であった事が、僅かに手合わせしただけで思い知らされる。
体裁きは名を謳われた若き頃と変わっていない様に思わせ、その上に先読みに長けた円熟の駆け引きの妙が加わり、自身も技量に長ける故にヴァレリアは格の違いを感じ取る事が出来る。
自身の見通し甘さを痛切に思い知らされ、予想を越える敵の実力に理性は退くべきだと叫ぶ。
だが、騎士たらん事に固執する意識が易々と退く事を拒み、女としての意識もこの男に負ける事への本能的な嫌悪が力を込めさせる。
しかし、繰り出す技の全てが受けられ、焦れば焦るほど大きく体勢を崩した無様な姿を晒す。
そして、追い討ちの変わりに浴びせられる白々しい賞賛がヴァレリアを奮い立たせ、冷静に相手の意図を推し計る余地の無いままに泥沼に嵌り込んで行く。
相手に打ち勝つ為に求められる一層の速さ強さは、剣の振りを自然と大きくさせ、それでいて隙を無くす為には全身の肉が限界までしならせなければならない。

「このぉぉっ、はっ、やぁぁぁっ……っ、くぅっ」

「ふふっ、これ程の打ち込みでは受けるのが手一杯ですよ」

しかし、それですらルシウスの守りを崩す事は出来ず、勢いを増して続けられる連撃の反動はヴァレリア自身に襲いかかる。
元より訓練で生じていた熱はユフィールとの競り合いでむず痒く変調し、無理な動きの負荷とおどける台詞に煽られる心の焦りがそれを更に息苦しく喘がせる。
俊敏な身体の動きは意図せずとも巨乳巨尻を揺らし、火照りきった肉が元々限界近い布地に容赦無く擦られる。
武芸で鍛え性に不慣れなまま熟れたヴァレリアの感覚は鋭敏極まりなく、時間の経過と共に高まる熱は意識の外で心身を蕩けさせる。

「せめて一太刀返さねば武人の沽券に係わりますな」

「なっ、やっ、あ……熱いっ、ふぁぁっ」

身体を覆う熱に捕われたヴァレリアの動きが鈍ると、受け手に回っていたルシウスの太刀が妖しく閃きだす。
呆けかけたヴァレリアもその剣気には反応するが、その肉は運動の命令の一部を甘い刺激に変えてしまい、軽い牽制の打ち込みですら剣先がその身を掠める。
当然に身体的な切り傷など残さぬ一撃であるのだが、擦られた箇所からはむず痒い熱が生じ、今までの火照りと合わせてヴァレリアの心身を淫猥に乱す。

(このように昂ぶり濡れるなど……私は何を感じているのだ)

切っ先が肌をかすめるのは手合わせの中で当然にありうる事であり、それにはしたない昂ぶりを示す自己の姿はあまりにはしたないものとして映る。
ルシウスの淫猥な意図と巧妙な手管に気付かぬままヴァレリアは喜悦と自責の罠に嵌りこみ、その認識の内では足裁きに合わせて踊る胸や股間が手足に比して大きく映る。
身を躍らせる反動が胸に実る釣鐘を揺らし、明らかに尖る突端まで浮かび上がる様が嫌でも目に入る。
足の運びもその付け根の滑りを付随させ、太腿にまで滴る様が否応無く感じられる。

(ああっ、胸が……腰が……、どうしてこのように……)

意識は剣に集中しようとしても、無意識の内に手足は眼下の痴態を取り繕う様に動き、手合わせの劣勢のみならず更なる責めを誘発する。
逆手が胸に被さる様に動けばその上から打たれ、後ずさる動きは閉じ合わされる太腿を擦らせる。
意思のみで振るわれる剣が容易に弾かれ、両の手が力無く崩れ落ちる。
それでいて胸に実る過大な質量が勢いを継続し、衣服に浮かび上がるほどに張り詰め明らかに先端を尖らせた淫猥な肉が視界に踊り出る。
その無防備な様は自虐に溺れた瞳には刺激を誘っているように映り、剣の先に平に打たれて喜悦を響かせて喜悦と恥辱を奏で上げる。

「攻勢が弱まりましたが、誘いですかな」

「くうっ、このようなこと……誘ってなど……ふあっ、あぁっ」

騎士たるヴァレリアにとっては通常の悦楽ですら避けるべきものであり、それを剣を振るう内に感じる現実は決して許されぬ大罪である。
ヴァレリアの動揺はルシウスの剣の動きが当初より徐々に鋭さを増している事を認識できず、結果として強要される乳腰を突き出す姿勢を自らの行いとして認識してしまう。
更に追い討ちをかけるルシウスの台詞に自らの願望を捏造されれば、脳裏には剣戟で以って自慰を為す最悪の痴態が映し出される。

「ああっ、ヴァレリア様、気を確かにっ」

「ユ、ユフィール様っ、み、見ないでっ……はぁぁっ」

縦横無尽に走らされる喜悦に肉という肉が張り詰めて喘ぎ、体裁を意識する脳裏も蕩ける様に呆けては恥辱のみで満たされる。
そのあまりに儚い有り様は剣の勝敗を超えた絶対的な力の差を思わせ、その先に自らと同じ様に堕とされる未来を見たユフィールの唇から心底の嘆きが発せられる。
その真意はヴァレリアを案ずるものであるのだが、淫虐に喘ぐ才女にそれは届かず、逆に痴態を見据える視線として恥辱を煽り、はしたない自身への譴責として自虐を強めさせる。
そして、呆けながらも本能的に白刃から逃れていた身体が縮こまってしまい、万全な状況に気負う事無く放たれるルシウスの一太刀がヴァレリアの足腰を崩れさせる。

「これにて終わりですな」

「はっ、ああっ……、ま、参りました」

尻餅をついた無様な姿勢、久しく味わった事の無い完全な敗北は、もたらされた相手により未だかつて無い恥辱となるが、騎士としてそれを認めぬわけにはいかない。
その上に剣を交える最中に淫猥に濡れた罪の意識が加わり、今までの敵意を解いて身を正させる。

(くっ、何、この感覚は……、囚われるっ、いや、堕とされるっっっ)

そして、力を抜き騎士としての衣を解くと、長らく露にされぬヴァレリアの女としての部分が覚束なく晒され……眼前のルシウスの雄に対して過敏に反応してしまう。
先程までの剣戟が玩弄であった事は認識出来ずとも、むず痒い熱に無力であった事は言い知れぬ不安に繋がり、果し合いとは比べ物にならぬ劣勢が感じられれば、自然と身体が震え始める。

「ル、ルシウス様、勝負がつきましたのなら早くに参りましょう」

その俎上の贄を思わせる情景が傍らにあるユフィールを突き動かす。
自身の言葉でヴァレリアが崩れる様を見せつけられたユフィールにとって、その身に降りかかる更なる陵辱は何としても防がねばならないものである。
しかし、公私共に自在に弄ばれる身にルシウスの行動を阻む力は無く、唯一の選択肢はその極上の肉を代替に陵辱に供することのみである。
手合わせより逢瀬を優先する言動が恋仲の噂を認めるが如きものであることは分かっているが、他に道の無き才女は恥辱に塗れながら虚心を紡ぐ。

「そのように急がずとも、ヴァレリア殿もまだ語りたい事が……」

「剣を交える予定は無かったはずですし、夜は短うございます」

生真面目な性は僅かにルシウスに焦らされただけで懇願を強めざるをえず、その手を抱き自らの股間に導くという行為まで為してしまう。
自己を犠牲とする道であっても見た目は陵辱の懇願に他ならず、そのはしたなさには心底の涙が滲み出る。
しかし、その悲嘆を嘲笑うかのようにユフィールの秘花は既に濡れそぼっており、指に触れられ一層熱く蠢く淫肉が牝の業を知らしめる。

「ふふっ、そこまで言われては後はユフィールの為に」

「ああっ、有難う……ございます……」

ルシウスの指はすぐに肉珠秘花を捕え、恥辱喜悦に彩られる美貌は意に沿わぬ謝意に泣き濡れる。
その取引は一夜の陵辱に止まらず、生真面目な性に服従の枷が嵌められた事をも意味する。
恋慕の体裁で為し得た懇願が受け入れられれば、対価以前としてその体裁を遵守する義務が生じる。
性の玩具に止まらず親密に寄り添う公の姿を拒む事ができず、貴婦人を陵辱を導く会談にすら名分が整えば応じないわけにはいかなくなるのだ。

(ああっ、何と言う……はしたない……牝の姿……)

(ああっ、ユフィール様が……私の代わりに……)

ともあれ、この場においてその身体はルシウスに寄り添う様に完全に預けられ、胸の突き出された釣鐘は内からの滴りに濡れ、その太腿にも潤沢な蜜が滴る。
ゆるりとしか歩まぬルシウスを完全にヴァレリアから引き離さねばならぬ使命は、その手を取ったまま自ら先に歩を進めさせる義務をユフィールに課し、先に懇願したルシウスの指で自ら秘洞を掻くあまりに淫らな戯れが行われる。
更には完全に所有された牝の姿がもたらすのは恥辱のみでなく、先の淫猥な懇願が本心か否かを混同させられる。
その惑い呆ける姿は先の剣戟の終幕に勝るほどに覚束無く、自身の代替となったユフィールの姿がヴァレリアの瞳にも焼き付けられる。
そして、ユフィールに救われた形になった事が、ヴァレリアを更なる淫獄の泥沼へ引き寄せる事になる。

(女の身で騎士という事に奢っていたのだろうか……何と無様な体たらく……)

ルシウスがユフィールを抱いて悠然とその場を離れると、後に残されるヴァレリアの心中は敗北感で満たされる。
女性を弄ぶ男という最も嫌悪する相手に歯が立たぬ所か、剣を交える最中に淫欲に悶え……敗れた果てに救おうと思った人に救われては自身の騎士としての資格が激しく疑われる。
鍛錬の場にいる事が恐ろしく不相応な事のように思えてしまい、重く引きずるような足取りは何処に向うと分からぬままにさ迷い始める。

(そして……捨てたつもりでいた女の性は……何というはしたない有り様……)

身体中の汗は鍛錬の無力を思う事で無様なものとなり、自虐に沈む心に応じて不快感を高める。
そして、騎士として誇りが打ち砕かれる事でヴァレリアの意識に間隙が生まれ、打ち消す事の出来ない淫らな熱が身体感覚の主導権を握り始める。
灯された不愉快なむず痒さは時間が経過しても癒される事は無く、更に悩ましさを増して心身に響き渡る。
それに感化された肉のうねりが愉悦の波に加わり乗じ、廊下を進む一歩一歩に合わせて痺れるような喜悦がヴァレリアを掻き乱す。

(頭も身体も呆けて……このままでは駄目だ……、とにかくこの熱を払わねば……)

胸の張りや股間の熱さは剣戟の熱の残滓と無理に思いこむ事も出来ず、淫熱に浸る様は自虐の意識に騎士の資格を失った自分に相応しいとすら思わせる。
一方で、玩弄を離れた事で落ち着きを増す脳裏には生来の気丈さが頭をもたげ、淫猥な罪を何とか跳ね除け様と模索する。
脳裏には訓練の汗を拭う冷水を思い浮かび、それを浴びれば身体を覆う熱が減ずると念じてふらつきながらも歩を進める。

「あっ、ふぁっ、まだ……なの……、このままでは……、あっ……」

しかし、普通ならば語るべきところの無い道のりも、今日に限れば恐ろしく長く恐ろしく淫猥である。
心身を駆け巡る愉悦のうねりは視界を意識を呆けさせるまでに深まり、身体の奥底から理性では決して認められぬ甘い吐息が漏れる。
何とか保たれる理性が必死に唇を噤むが、内に飲み込む事の叶わぬ嬌声がヴァレリアの内に積み重なり、苦しい胸中を更にむず痒く掻き乱す。

(ああっ、はしたない声が……溢れる……、駄目なのに……堪えきれない……かも……)

脳裏にははしたなく喘ぐ自分の姿が思い浮かび、そこに流れようとする心身を僅かに残る理性が必死に押し止める。
この勝負に勝ちは無く、ただ負けを引き伸ばしているだけな事は戦う者の本能が察しているのだが、屈従を好まぬ気丈な性が必死に抗いを続けさせる。
全ての意志の力が唇を噤む事に向けられ、残余の感覚はひどく疎かになる。
目は霞み、肌は寒暖を捉えず、耳には自身の廊下の歩む音すら響かない。

「ひあぁぁぁぁぁっ」

(えっ、わ、私では……ない?)

しかし、不意に響き渡る悲痛な嬌声がその茫洋たる状態を引き裂いてヴァレリアの内までに達する。
紛れも無い淫らな響きは今正に自分が発する事を欲していたものであり、当然に呆ける内に漏れ出た自己のものかと錯覚するが、篭められた喜悦悲嘆の深さは自己の状態の比では無い。
また、耳にすると同時に口を噤む力を強めてもその響きは止む事は無く、一方で胸に混み合う淫熱は僅かたりとも開放されていないとなれば、ようやく嬌声が自分の唇から発せられたもので無い事が認識できる。

(では、ど、どこから……このように艶やかな声が……)

いやらしく喘いでいるのは自分で無いという事実が自虐を繰り返す生真面目な心に僅かな安堵をもたらすが、僅かでも気を抜けばその嬌声に侵蝕される錯覚が緊張の持続を強いる。
そして、漏れ出ようとする嬌声と堪えようとする理性の攻防は激しさを増し、胸に満ちる息苦しさが思いのままに声を発する様を羨む感情を呼び起こし、主の意に沿わぬその身は操られる様に嬌声の元に引き寄せられる。

「くっっ、ああっ……ふぁぁぁぁっ」

(それに……この声は……まさか……)

嬌声は堪える素振りを感じさせながら結局は止められぬ悲嘆を上乗せして零れ出ており、近くによるほどにその艶も濃厚になる。
その響きはこのような感情を込めたものこそ覚えは無いものの、声音そのものは確かに聞き覚えがあった。
少なからぬ面識友誼がある事もあるが、最も大きな事由は直近にその人物と言葉を交わしたからである。
嬌声は自らも向かおうとした浴水の区画から発されており、そこに達したヴァレリアは誘う様に灯りを漏らす扉の隙間から内を覗く。

「す、少しはっ……緩め……てっ……、ああっ、またっ、またぁぁぁぁっ」

(このような場所で……、こ、このようなふしだらな事を……)

先ず眼に入るのは汗に塗れ上気した背中であり、艶かしさが過ぎれど鍛錬の汗を流すこの場に相応しいものである。
しかし、その背中が忙しなく上下に揺れ踊り、美しい髪が舞い散りに合わせて豊満な尻肉が弾めば、当然に眉が潜められる。
そして、潤沢な蜜を絡ませて打ちつけられる肉の音が先の悲痛な嬌声に重なっては、このような場で決して許されぬ行為が行われている事が如実に示される。

(まさか、ユフィール様と……あの男が……)

魅惑的な後背と流麗な声の響きが視界に映る裸体にユフィールの名を付与し、その身を捕え蠢く手は当然に先程寄り添っていたルシウスの名を思い浮かばせる。
一時は二人の仲を恋慕かと誤解したヴァレリアであるが、悲嘆恥辱に溢れる嬌声にその真実の姿を認識し、今までの判断のつかなかった全てがユフィールの本意で無い淫虐であった事が自身の不明と共に認識される。

(こ、このような行いを許すわけには……いかない……いかないのにっ……、何故っ……私は動けないっっ……)

陵辱を防げぬ所か自らの失態の代替とさえ思えば、当然に騎士たるヴァレリアの意識に阻み守る義務が生じる。
しかし、諌止の声を上げるべき喉は意思の通りには動かず、いつのまにか乾ききった唇が虚しく開閉する。
押し入り二人を引き離すべきその手も動かず、その足も内に踏み入るどころか力無くよろめいては自らの身を支えるだけで精一杯である。
意識は陵辱を妨げねばならぬと焦るのだが、渦巻く熱のもたらす全身の痺れが感覚の全てを呆けさせる。
そして、ユフィールが犯し辱められている真実に達したヴァレリアであるが、謹厳な性は自分の身が同じ様に狙われている事には気付かず、この場に誘い込まれている事実も察する事は出来ない。

「また随分と激しく達せられて……これにて満足されましたか?」

「……あっ、いえ、まだ……です……、もっと激しいのを……お願いします……」

そして、その狙いを察しているユフィールもこの場に引き込む手管までは気付かず、陵辱が自身の身に振りかかる限りはヴァレリアは無事と信じて、恥辱に塗れながらも懇願の台詞を口にする。
ルシウスを邸宅に引き戻そうという試みは、その途上で胸の布地を引き裂く自らの巨乳の失態を見咎められる事で頓挫し、先の懇願の言質と合わせて大して場所を動かぬままに陵辱が始まってしまった。

「ユフィール様におかれましては、私の剛直を味わうのが随分とお好きのようですな」

「はい、私は……ユフィールは普段は外面を取り繕っておりますが、本性は淫猥な牝なのです」

既に屋敷で道中で散々に犯された身であるが、同格の媚肉と押し合い焦燥を強めた牝の心身は一段上の牝の反応を示す。
入念に搾られる巨乳は止まる事無く母乳を噴き零し、突き上げの度に絶頂の潮が高らかに飛び散る。
ユフィールの懇願する様を愉しむ様にルシウスは全力では突き上げず、十分な高みに達せぬ身体は絶頂に飢えるような感覚がさらに増して、本当に淫虐の中で絶頂を望んでいる錯覚に貶められる。

「それでしたら、同じ様に謹厳なヴァレリア様も内にこのような情念を溜め込まれているのかもしれませんね」

「ああっ、私はどのようにお嬲りしても構いませんからっ……どうか、ヴァレリア様には手を伸ばされませぬよう……」

そして、自己を犠牲にしたはずの行いすら痴態を理由に再び陵辱の契機に仕立て上げられ、重ねてしまう哀願は所有物としても牝としてもどこまでも堕ちて行く感覚をもたらす。
あまりの悲嘆自虐に凛とした美貌が弱々しく歪み、一方で使命感に促されて懸命に腰を振り立てる。
艶やかしさを極める才女の哀願であるが、それを受けるルシウスの手中には対価のみを手に入れる術が潜んでいる。

「しかし……自ら参られてはお持て成しせぬわけには参りますまい」

「えっ……まさか……、ああっ、なぜこちらに参られているのですか……」

最初は何を言われたのか分からないが、自身の後ろに向けられるルシウスの視線にその存在を示唆され、自身の痴態を恥じる意識はその視線を鋭敏に感じ取る。
我が身を用いて遠ざけ、よもや後を追われるなど考えもしておらなかったのに、非情にも現実はユフィールの望まぬ事態が生じてしまう。
そして、ユフィールの意思を受け入れつつも、ヴァレリアの意思も尊重する口振りは、懇願の対価である自身と罠に嵌められた知人を共に賞味する情景として脳裏に映し出される。

「あれだけ大きな声で喘がれれば……やはり気になられるのでは」

「ああっ、そのようであるなら……私は……」

呆けるような呟きに捏造された理由が返され、自らのはしたない性がヴァレリアを淫獄に引き込んで行く認識がユフィールの罪の意識を掻き立てる。

「お、お願いです……、ユフィールは一生をルシウス様の牝妻としてお仕えいたします……ですから……」

自責に震える生真面目な意思は更なる懇願の台詞を連ね、添えられる対価も前の取引に増してその心身を献じてしまう。
しかし、当然に求められるのはユフィールの想定を上回る痴態である。

「ふふっ、それではその証明をヴァレリア様に示していただきましょうか」

「そ、そんなっ……証明などっ……示すなどっっっ、やらねば……ならぬのですか……」

犯され淫猥に喘ぐ姿は何時何処であれ心底の恥辱であるが、やはり信頼できる者の前で行われるそれが淫虐の極みである。
その上、望み悦んでいる事を自ら表明させられ、一生の番いとする事すら口にさせられるなど、牝に堕ちる道も奈落と思えた場所から更なる闇に転げ落ちてしまう。
しかし、ルシウスの忠実な牝である事を表明せねば直ぐにヴァレリアが犯されかねない現状に拒絶の術は封じられ……抗いの台詞を止め悲痛な決意を強めるその美貌はたまらなく艶やかであった。