■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
    神和のメルマガ・もっと知りたい不動産     20号    2004/11/05作成
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

「東京ルール」って、何?

 平成16年10月1日付施行された東京都条例「東京における住宅の賃貸借に係
 る紛争の防止に関する条例」の通称です。
 大きく分けて、A.解約退去時の室内修復費用の負担割合 B.入居中の修繕費
 用の負担区分 の 2通りについて条例として制定されたものです。
 近年、貸室退去時の敷金清算トラブル、入居中の修繕負担のトラブルが増加して
 おり、それらの紛争の防止を目的として制定された条例というわけです。
 具体的には、ガイドラインとして「費用負担の一般原則」および「貸主・借主の
 負担区分の一覧表(一般的例示)」を定めており、かなり細かい部分まで踏み込
 んだ内容となっています。
 但し、特約が有効とされている点は今まで通りであり、また国土交通省のガイド
 ラインと比較して内容的に大きな変化があるわけでもありません。
 なにより、トラブルになったときの都の対応が条例の制定以降変化するというわ
 けではなさそうで、トラブルの最終的解決は結局、司法手続きによるしかないと
 いうことも同じなのです。
 しかしながら、今回、条例の制定という明文化がやはり一番大きなポイントで、
 現場で受ける手ごたえとして、家主さん一般への心理的効果は、かなり相当なも
 ののように思われます。
 そうした意味で、従来、業者や貸主によって対応がまちまちだったこの問題につ
 いて、まがりなりにも「条例」という誰の目にも明白な指針が出来たことは歓迎
 すべきことだと思います。
 むろん、問題が無いわけではありません。ひとつには、実際の運用において条例
 の解釈がどのようにも可能である部分が、かなり多いということです。
 例えばクロスの負担区分にしても、タバコのヤニ汚れで、クリーニングで除去で
 きない程度(通常損耗とはいえない)は、借主負担とする等、これは、条例制定
 云々以前からその「程度」の解釈が争いの元となっていた部分であり、今回の条
 例によって何ら解決されたわけではないということなのです。
 つまりこの条例は、全体としては明白な基準をかなり設けておきながら、「これ
 らの負担区分は一般的な例示であり、損耗等の程度によっては異なる」という例
 外規定を設けることによって、貸主、借主どちらにも都合の良い解釈が可能な余
 地をかなり残した、結局は玉虫色の表現になっているのです。
 この辺が官僚的作文の限界ということなのでしょうか。
 しかしながら、この条例の制定を良しとしたいのは、実際に解約明渡しに立ち会
 う立場の者として、間違いなく横暴な貸主への確実な牽制となること、そして貸
 室を酷い状態にしておきながら、自分の責任を一切認めない借主に対して相応の
 法的根拠を提示できるようになったこと、によります。
 つまりこの条例は、貸主、借主のどちらにとっても、自分に都合の良い魔法の杖
 というわけではない。
 かなりの部分、貸主さんのわがままがきかなくなったということではあるが、借
 主さんの責任区分もそれなりに明確になったという点で、画期的というよりは、
 従来の貸室解約に伴う室内修復修繕時の公正且つ現実的な運用を明文化したとい
 うのが、実際のところだと思います。

  詳細については、ここでは紙幅に余ることもあり、「賃貸住宅トラブル防止ガ
  イドライン」という小冊子が東京都より発行されていますので、こちらでご確
  認ください。
   問合せ先 東京都都市整備局住宅政策推進部不動産業課 TEL03-5320-4954

        http://www.toshiseibi2.metoro.tokyo.jp 

 なお、こうした問題で、お困りの方、ご質問等のおありの方、メールあるいは電
 話にてお答えいたしますので、ご連絡ください。
 

□────────────────────────────────────□
神和不動産メールマガジン(ID:0000114821)20号  (2004/11/05作成)
発行者:株式会社 神和不動産
お問い合わせメールアドレス:sinwa@mx1.ttcn.ne.jp
バックナンバー : http://www2.ttcn.ne.jp/~sinwa/
登録解除はこちら: http://www.mag2.com/m/0000114821.htm
ウェブサイト  : http://www2.ttcn.ne.jp/~sinwa/
□────────────────────────────────────□