■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ 神和のメルマガ・もっと知りたい不動産 21号 2004/12/19作成 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ 年の瀬といえば、「夜逃げ」? 不動産屋にとっての年の瀬の風物詩といえば、「夜逃げ」が定番、と言うのは、 今は昔の話で、私自身の狭い経験や見聞の中に、あいにく「夜逃げ」は含まれて いない。 昭和の中ごろまではそれなりにあったようなのだか、平成のこの時代、一部の例 外を別として「夜逃げ」をする人間などいないのではないだろうか。 映画になった「夜逃げ屋本舗」など、そもそも闇商売の事柄を善意のオブラート にくるむような語り口が鼻持ちならない、文字通り絵空事の世界で、実際のとこ ろ、僕ら不動産屋が経験する「夜逃げ?」は、もっと白昼堂々としたものなので ある。 多くの真っ当な神経を持った、しかしながら家賃の払えなくなった人は、金がな いゆえに夜逃げすら出来ない。こうした人は、多くの人に迷惑をかけながらも、 自らを律して最後は万全ではないまでも、問題を解決して部屋を出て行く。 つらい仲裁となる場合がほとんどであるが、どうも世の中というものはそういう もののようである。 さて、ごく少数の真っ当な神経を持たない、しかも家賃を支払わない人間につい てである。 彼らは、まず家賃の督促に居留守を使う。次に「あっ、忘れていた、すぐ振り込 むから」といってそのままにしておく。そうして次には、部屋の設備の不備、隣 の騒音の問題、こちらの対応の仕方がどうのと、言いがかりをつけ始める。 つまり、だから支払わないのだ、と強弁する。 彼らとの会話は成立しない。何故といって、彼らの目的はここに至れば如何に家 賃を払わず居坐り続けるかに変わっているからである。 彼らの多くは、遊びに使う金はあるのだが、既に彼らにしてみれば過去のことに 過ぎない家賃の支払いなどに、その金を使うことは耐えられないのだ。 むろん、こちらはプロであるから、そのような無法を長く赦しはしないが、それ でも家主さんにかなりの迷惑をかけてしまう事に変わりない。 どのような立ち退き交渉を行なうかは企業秘密、っていうか行き当たりばったり、 で、それらの一々もとても開示出来るようなものではない。 但し、彼らがどんなにがんばっても、業者の対応が適切ならば、おおよそ6ヶ月 (これが長いか短いかはまた別の話である)が、彼らの居座りの限界であること は言っておきたい。 いずれにせよ、家主さんには問題解決のため、実に多くの場合、金銭面のみなら ず、この「やりようのない怒り」を、泥水を飲み込むように受け入れてもらわざ るを得ない。 そうして、彼らは白昼堂々、数か月分の滞納家賃を残したまま、何一つ悪びれる 様子もなく「転居」していくのである。 思うに、彼らの収支決算は、金銭面以外の、社会的信頼の喪失も含めれば間違い なく赤字となるはずである。にも係わらず・・・、なのだろう。 これをして「夜逃げ」というなら、逃げ去る者の悲哀など微塵もない、この風景 は一体何なのだろう。 これが、僕ら不動産屋が経験する、殺伐とした、平成の「夜逃げ」なのです。 なんだか、年の瀬だというのに暗い話になってしまいましたね。少数例外のタガ がどんどん外れていくのは、どうも最近全ての傾向のようです。 さて、来年は一体どんな年なのかしら。 □────────────────────────────────────□ 神和不動産メールマガジン(ID:0000114821)21号 (2004/12/19作成) 発行者:株式会社 神和不動産 お問い合わせメールアドレス:sinwa@mx1.ttcn.ne.jp バックナンバー : http://www2.ttcn.ne.jp/~sinwa/ 登録解除はこちら: http://www.mag2.com/m/0000114821.htm ウェブサイト : http://www2.ttcn.ne.jp/~sinwa/ □────────────────────────────────────□ |