【蚶満寺(かんまんじ)】
松林の中に立つ曹洞宗の古刹で、かっては象潟(キサカタ)の海に浮かぶ島々のひとつだった所である。文化元年(1804)の大地震で海が隆起し現在の様になった。
境内には往時を忍ばせる舟つなぎ石が残っている他、「象潟や雨に西施がねぶの花」の芭蕉句碑が立っている。芭蕉の『奥の細道』では、“松島は笑うが如く、象潟はうらむが如し”と描いた所で、当時は遠浅の海に九十九島と呼ばれる無数の島々が浮かぶ景勝地であった。
寺は仁寿3年( 853)、慈覚大師が東北巡錫の折りに創建し、干満寺と名づけ、後の正嘉元年(1257)に北条時頼が寄進再興して蚶満寺と改めた。境内には、山門・本堂・鐘楼・庫裏などがある。
「惜しまれぬ命も今は惜しきかな また象潟を見んと思へば」時頼
「蚶方の桜は波にうづもれて 花の上漕ぐ海士のつり舟」西行
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