錦木塚


【錦木塚(にしきぎづか)
 小公園にある比翼塚。“錦木”とは、昔男女の恋文の役目を果たした当地方の風習で京にまで知られていた。錦木は五色に彩った一尺ばかりの木枝を束ねたもので、これを恋する人の家の門口に立て、相手がこれを受取れば、その愛を受入れることになり、受取らなければ愛に応じないことを意味し、千束まで重ねることが許されていた。
 昔、この辺りを治める豪族の娘に、錦木売りの若者が一目ぼれして錦木をそっと置いた。しかし身分の違いから、娘は親に反対されこれに応えられず、錦木が空しく重ねられて若者は嘆きのうちにこの世を去った。これを聞いた娘も自らの命を絶ったため、哀れんだ親が塚を造って二人を葬ったという。
 これが錦木塚で、歌枕として多くの歌に詠まれるほか、世阿弥によって謡曲“錦木”になった。
「人しれぬ心にたてつる錦木の 朽ぬる色や袖にみゆらん」大納言隆房

乞う写真提供


所在地:秋田県鹿角市十和田錦木


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