各誌CDレポート・録音評



月刊『Stereo』誌より


月刊『CDジャーナル』誌より


月刊『レコード芸術』誌より

  月刊『Stereo』誌のCD録音評から・・・
 豊かな肉付きの両音像を真近に定位させているが、柔らかいフォーカスとマイルドな間接音で包み込んでムーディに聴かせる。雰囲気派に勧めたい。(総合点9.4)

  月刊『CDジャーナル』誌のレポートから・・・
ほのぼのとした木のぬくもり感じられるクラリネットの音色。2本のクラリネットだけで演奏されたこのアルバムには心なごむような優しい響きがいっぱいだ。鍵盤楽器とは違った味わいが面白い。(浩)

  月刊『レコード芸術』誌の解説より・・・
 ニ本の旋律楽器によれば、旋律それぞれに真の自在さが宿ることになる。そうした意味から、加えてクラリネット独特の柔軟でニュアンスに富んだ音の性格から、この演奏は楽しんで聴ける。低音部にバス・クラリネットを用いれば・・・とも思うが、演奏家兼編曲者の白川は「変ロ管同士の音の融け合いをそこないたくないために」あえて普通の管で通したのだという。
 J.S.バッハのあとには長男W.F.バッハによる、もとはフルート二重奏曲である六篇のソナタ風作品より四篇がクラリネット・デュオで聴かれる。第一番のホ短調はとりわけ、W・Fらしいセンチメンタルな美しさを湛(たた)えて捨てがたく、他の曲も聴きごたえがある。クラリネット・ファンにとっては大いに注目の一枚。とくにそうでない人びとにとっても、しばしば惹かれるところのあるアルバムと思う。(濱田 滋)
【録音評】 木管アンサンブルらしい温かい音とハーモニーとが、眼前の空気を埋め尽くすおもむきの、音場感豊かな録音だ。この限りなく広がるような音場感は、おそらくシンプルな収録手法を感じさせるもの。音場も音像も実に自然な佇まい。〈91〜93点〉

 月刊『音楽現代』で辛口のコンサートレビューでお馴染みの音楽評論家、中村 靖 さんからのこのアルバムのコメントです。(ライナーノートより)
 このCDの最初のハ長調の《インヴェンション》を聴き始めたその瞬間、どのような感想をもたれるだろうか。おそらく「エッ?!」というのが正直なところだろう。慣れ親しみ、むしろ魅力も失せてしまっているはずの曲から、柔らかでみずみずしい響きが聴かれるからである。そして、ある音楽作品に対してわれわれがどれだけ偏狭かつ限定されたイメージで捕らえていたかに気ずき愕然とするかもしれない。
 一方、同じ「エッ?!」でもこのような「新しい」響きに対して、奇を衒ったものとみなすような否定的驚愕も当然予想されるところである。それもごもっともではある。しかし、学問ならいざ知らず、演奏では響きを創意工夫するところに面白さがあるものだ。演奏というものをここでは難しく考えず、むしろ2本のクラリネットが織りなす純粋な響きに耳を傾けていただきたいと思う。
 ピアノもしくはチェンバロで親しんだ『インヴェンション』、そしてフルートの音色で耳慣れている『二重奏曲』。
 しかし、このCDとの出逢いがこれらの作品に対する、いや音楽に対するあなたの認識を変えるかもしれない。

NHK交響楽団首席クラリネット奏者 磯部周平さんからのこのアルバムのコメントです。
  …2本のクラリネットで『音楽』になるのかな…って?
 それが凄いんだなあ。
 砂漠と森林、エベレストと日本海溝、
 たった2本で地球全体を表現しちゃう。ウソだと思ったら聴いてごらん!

ウーン少し大げさな感もありますが、先日の7回目のリサイタル(2000年3月4日、東京文化会館)で磯部さんと、私の自作曲を共演させていただきましたが、
たった2本のアンサンブルでも共鳴し合って、宇宙の壮大さをイメージさせるような、ホールを包み込むような何ともいえない音響を体感しました。

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