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ラジオ

ラジオを持って行ったのは、ある程度正解だった、けどこれが逆に大失敗のもとであった。若い人の中には、なぜ海外旅行にラジオを持って行くのか、知らない人がいるみたいで説明がいる。海外では、日本からの日本語の放送が放送されていて受信可能なのです。インターネットで日本の情報を入手するのは可能なのですが、インターネットは遅く15分5ドルと高い。反面ラジオだと電池代だけでほぼタダである。

らの子供のころは、テレビがなかった。(;_;)なかったという表現は大げさだが、テレビが入ったのは、東京オリンピックの年で隠岐まで電波が届いていない問題とあの頃はそうテレビなんか必要としなかった。家でテレビを買ったのは、良かったのですが、隠岐で電波を受信するには本土からの電波だけで実際屋根にアンテナを取り付けても映らない。(電波が弱すぎるのです。)それで、裏山の家から150mくらい離れた場所にアンテナを立ててようやく映る。まっ、「おはなはん」や「クイズグランプリ」なんかを見た記憶があります。白黒ですけどね。まっ、そういう時代に育ったものだからラジオなんかは皆さんと違ってよく利用した方なんです。

ラジオは、ソニーの短波ラジオ(ICF-SW11)を買って持っていきました。本当は高校生の頃、使っていたソニーの赤いラジオを持って行きたかったのですが、実家に問い合わせたところすでになくて、仕方なく新しいラジオを買いました。金額は1万円くらいだと思います。一般のお店で売られているラジオはAM,FM,TVが周波数帯で外国で日本語の放送を聞くには短波放送の周波数になるのでダメです。電波が弱いので受信感度がいいのが、いいですが、ちょっと奈良から来られた武藤さんよりかなり感度は落ちましたけど、それでも受信可能でした。短波ラジオは船のお店でも売ってました。

船で短波放送を聴くにはデッキに出る必要があって、ロビー等の船内は電波が船でさえぎられるのでダメです。デッキでも船の前の方はレーダーが定期的に電波を出しているので雑音がレーダーの回転周期で入るので影響を受けにくい後方デッキをお薦めします。デッキは天候が悪くなると安全の為、出る事が禁じられますのでそのときはあきらめるしかありません。どの地域でも短波放送を受信可能かと言うとそうではなくて、寄港地に入港したときは妨害電波が出ている場合があってダメでした。例えば、南アフリカのケープタウンはダメでした。また、シンガポールは中継局があるのでバッチリなのですが、ここを出てインド洋のセイシェルに至るところは受信周波数が見つからなくてダメでした。日本から香港に至る付近は日本からの電波が届いているはずですが、海が大シケでデッキが禁止されてましたので、確認してません。また、日本近郊は短波放送が受信できないみたいです。ただ、これは通常のAM放送が入るので問題ないですが、硫黄島付近は短波もAMもダメという地域がありました。日本本土は、ラジオジャパンはダメのようです。その代わり、株式ニュースは受信可能なようです。それ以外の地域は南極も含めてちゃんと聞けます。

日本語の短波放送は、NHKのラジオジャパンや株式ニュースや宗教団体の放送、外国の日本語放送なんかがあります。例えば、南米のチリで株式情報なんかも聴いてましたが、株は持ってないのでほとんど聴きませんでした。(こんなとこまで、放送しなくてもいいのに)。外国の日本語放送は、なかなか面白いものがあります。例えば各国とも北京オリンピックをチベット問題で批判してるのに、中国だけは絶賛してるとか、北朝鮮の日本語放送は北朝鮮の立場で放送してるとか、まっいろいろあります。

日本語放送は、24時間放送してるかと言うとそうではなくて、放送時間帯はかなり限られてます。周波数もコロコロ変わるのである程度調べて行く必要があります。だいたいラジオジャパンで1日数時間程度のような気がしました。周波数、放送時間帯はNHKのホームページで入手可能なのでそちらから入手しておけば良かったのですが、それをやらなかった為に周波数全体をなめる作業をする必要があって苦労しました。ただ、周波数、放送時間帯がわかったからと言って船が1日500キロくらい移動してますので受信可能な周波数がコロコロ変わるので、ある程度詳しい情報を入手が好ましいです。らの場合は、ラジオに付属していた放送時間帯表を持って行ったのですが、これがUTCで記述されているのと、短波放送の放送時間帯は条約で3ヶ月程度で切り換わりますので参考程度にしかなりませんでした。UTCという言葉の意味を知らなかったですが、これはどうもロンドン時間みたいです。

ラジオジャパンの放送内容は、NHKニュースやのど自慢や海外安全情報なんかがあります。頭にきたのは、大相撲で「こっちは日本語のニュースを聞きたいのに、ここまで来て大相撲とは何事か」と頭に血をのぼらせました。NHKニュースはNHK第一の東京からのニュースをそのまま流している場合もありますが、海外向けに海外ニュースの割合が多くなっている部分もありました。

持って行った短波ラジオが最初に活躍したのは、南アフリカのリチャーズベイでここで夕方ラジオを聞いていると、一番最初に入ったニュースが「外務省に入った連絡に寄りますと、南アフリカのダーバン・・・」と流れてきました。なんと、日本のトップニュースが自分が乗っている船の話だったのです。(゚o゚)つまり、船の乗客がバス事故にあったです。このニュースを近くにいた人に話しますと、それがまたたく間に船中に流れて、パニックになりました。6時間以上前に起こったバス事故が乗客に知らされてなく、ジャパングレースの社員だけが知っているというとんでもない事だったのです。それで乗客がジャパングレースをつきあげ、あげくの果てに説明会まで開きました。天候が悪く、高速道路で事故があって車が停止していた。そこにこのバスが気づいて避けようとして15mくらい崖を落ちて停止して乗客が十人くらい重傷で旅行を断念されたと思います。ちょうど、NHK子供ニュースのお父さん役をされていた方(NHK松江勤務経験があって奥さんは隠岐高校野球部の敵浜田高校出身)が水先案内人として乗っていたので、ここへNHKが問い合わせてニュースが流れたそうです。日本では家族が心配してるし、同室の方もいるので突き上げはすさまじかったです。リチャーズベイはもともと立ち寄る寄港地ではなくて、ケニアが暴動でダメで変更した場所がここで、ここは観光地では本当はなくて、このような観光船が来たのは初めてだそうです。なぜこの場所を選んだかと言うと、南アフリカの駐日南アフリカ大使に相談したら、彼の出身地のここを紹介されたそうです。ところが、観光地でないので、サファリ等はあるのですが、観光バス等は急造で観光バスは雨漏りするくらいひどく、実際、らも乗ってみたのですが、高速道路に入ると凄いスピードを出すので怖かったです。ただ、人はいい人が多かったです。

次に短波ラジオが大活躍したのは、日本でプロ野球が始まった頃です。短波放送を聴いてましたので、日本のプロ野球の結果とか、米国大リーグの日本人選手の活躍は知っていたのです。日本からの新聞等も船では入手可能なのですが、特定の寄港地に立ち寄ったときだけでしかも1週間遅れの新聞が最新でした。だから、乗客のほとんどは日本のニュースにうえてる状態で、そこに約1名日本のニュースを知っているのがなぜかいるので問い合わせが多かったです。最初は、知っている人だけに情報を流していましたが、それを聴いていた他の乗客(特に阪神ファンなのですが)、問い合わせが異常に増えました。ロビーで、らを見つけるとプロ野球の詳細を聞き出そうとするのです。例えば、阪神がまた勝ったとか、福留が米国で大活躍してるとか、巨人がまた負けたとか、会う人に全て最初から情報を説明しなくてはいけなくなったのです。だから、下手にロビーに上がる事が出来なくなって船室に隠れるような状態でした。そのくらい、乗客は日本からの情報にうえているんです。そこで対策として、短波放送で聴いた情報をメモにまとめて船内にあった掲示板に表示するようにしたんです。これだと朝から晩まで日本のニュースを説明する必要はありませんし、こっちも船内でゆっくりすごせます。まっ、短波ラジオを持って行ったのは、大正解であり、自由な時間が奪われたのは大失敗だったんです。掲示板は、A5サイズ以下の大きさなら掲示可能です。内容はチェックを受けますが常識的範囲ならほとんど問題ありません。A4サイズじゃなくて、その半分のA5ですから注意してください。掲示板には、ピースボートからも日本のニュースが紹介されます。けど、これはインターネットからの情報で週2回程度しかありません。らは、これを毎日くらいやってくれると乗客から喜ばれると思うんですけどね。彼らは、インターネットアクセスはタダですから。

この短波放送の情報は、お年寄りに喜ばれました。「毎日やれ!」って感じで、多分南米から日本まで毎日くらい情報を流しました。日本のニュース、プロ野球ニュース、大相撲ニュース、株の上下、円相場等です。株は株でもうけてこの船に乗っているお年寄りが多いらしくて、この種の情報は重要みたいです。円はモロ関係しますからね。ただ、株も円もあまり良い状態ではなかったですが。掲示板は、毎日掲示する事は出来ません。寄港地に立ち寄ったときは、ピースボートスタッフが留守になるのと、天気が悪くなるとラジオ自体が受信不能になるからです。

短波ラジオを持って行った人は、10人くらいはいたと思うのですが、毎日のように聞いていたのは、らだけじゃないかな?放送時間帯が決まっていて、朝、太陽の昇る前に聴いたりしなくてはならないので大変だったです。まっ、持って行きたい人は、持って行って日本の情報を聞くのもいいと思います。

短波ラジオは、時計の設定にも役に立ちます。電波のスピードは地球を1秒間に約7周半するくらいありますからかなり正確です。ただ、日本から直接電波を受信してる場合はそうなのですが、中継局を経由している場合は、若干のロスがあるみたいです。中継局というのは、カナダとかアフリカに放送局がある場合です。これだと10秒くらい遅く放送されてる感じがありました。船の時間というのは、ルーズで約3〜4分くらい違ってました。これは別に正確な時間に合わせる必要がなく、合わせようともしないからです。ただ、寄港地に立ち寄って公共の電車なんかを利用しようとしたときに、このロスはモロ影響します。だから、正確な時刻を知るには短波放送は有効です。操舵室は時間は正確に知っていますが、ロビーは適当です。

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