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新しい隆盛のための礎石ー土地は所有から利用へー

年頭のご挨拶

2008年暮れには、派遣労働者が世界不況で大量に解雇され、日比谷公園にテント村が出来たが,2009年の暮れはどうなるのか? 3万人以上の自殺者が11年も続き、殺人や傷害なども増えている。日本の世相は、ここ2-3年の間に大きく変わってしまった。 日本では、明治以降続いてきた土地所有権制度が経済と財政を破壊し続けている。もう20年近くもデフレ経済が,日本と日本国民を苦しめている。

海の向こうのアメリカでは、将来値が上がるといわれて無理して買った住宅の価格は、上昇はしたものの直ぐに急落してしまい、売るに売れなくなってしまった。住宅の抵当権を証券化した金融商品をめぐって、欧米の銀行と証券会社は、相互に疑心暗鬼となり市場に不信感が増幅して、資金市場が機能不全となり、麻痺してしまった。これが、今回の金融危機の発端であった。日本と同じように、アメリカでも、土地不動産投機のすさまじさと金融のエリートが従事する資本市場の取り引きが、実際には信用の出来ない、デッチアゲの部分がかなり あったことが初めて明るみにさらされた。投機が常習化し、金融のモラルも崩れてしまっている。

翻って考えると、日本のバブルは,土地,不動産投機とそれへの金融機関の便乗が原因であった。世界の先進国のうち、日本と米国だけが、土地不動産投機というバブルの罪を犯した。
両国とも、フランスが19世紀に考え出した絶対的土地所有権制度を採用し、今や時代に全く適合しない古ぼけた制度をいたずらに墨守しているからである。この土地制度が土地投機を容認し、マクロ経済を激動させているのである。投機取り引きは、自由主義市場経済の下では、許してはならない。投機取引は、極めて利己的で、他の全ての存在を犠牲にしても、自己の利益のみをあくまでも追求する、反社会的、反公益的な行為だからである。
現在、土地所有権の発祥国のフランスでは、この絶対的土地所有権制度は時代に合わなくなったとして、とうの昔に事実上放棄してしまった。

アジアでは、土地は国有財産(中国)、ないし強い公共財(韓国、台湾)として扱われている。現在日本の国家財政は数百兆円という膨大な債務を抱えているが、この大半が土地投機によるバブルの処理と景気刺激のために使ったもので、地方を含め、日本の財政全体が破綻寸前にあり、国民がいくら困っても、歳出増加は増税無しには殆ど不可能となっている。

第二次世界大戦後、投機によってバブルを起こした国は、日本とアメリカの二カ国のみであった。其の他の先進国では、いまや土地は私有財産というよりは、公共財として扱われ、公の厳しい規制を受けている。日本と米国は、早急に土地改革を断行しなければならない。国境を越えてグローバル経済に突入した現在、投機によって景気を不必要に激動させる土地制度の改革は、国際協調のリーダー的な国である米国と日本の国際社会に対する義務である。

日本の経済に成長と隆盛をもたらし、壊れてしまった財政を健全化するためには、130年も続き、老朽化した土地所有権制度を根本的に改革し、土地を公共財として扱うことによって、土地の所有ではなく、土地の利用を中心とした土地制度に転換しなければならない。これが緊急に実行できなければ、日本の経済と財政にとって明るい未来はないだろう。

世界経済土地研究所  山口 健治(2009年 師走)

今回出版した『新しい隆盛のための礎石」は、東京リーガルマインド社から出されましたが、其の内容はおおよそ次のとおりです。

(まえがき)
第一章 日本経済において土地の果たしてきた役割
1 日本経済・岡目八目
2 戦後の高度経済成長
3 第二次石油危機からバブルの崩壊まで
4 バブルとは何だったのか
5 市街地価格のすさまじい上昇
6 日本の金融慣行と土地神話
7 明治以降の顕著な地価上昇と日本経済の変動(1)
8 明治以降の顕著な地価上昇と日本経済の変動(2)
9 商品取引における実需と仮儒
10 百年に一度の大改革の時期
11 江戸末期から明治維新まで
12 地租改正の特徴と問題点
13 地租改正のための土地制度がその後の日本経済に与えた影響
14 土地所有権制度の問題点
15 戦後の日本の土地改革

第二章 地価変動の深刻な影響と土地に関する国民経済計算(国連)の考え方
1 国民経済計算とは何か
2 地価と株価の変動の長期的な回顧
3 長期かつ大規模な地価下落による影響
4 投機的動機と不良債権の把握
5 土地投機による地価変動の有効需要への影響度について
6 土地投機が狂わせる日本経済のマクロバランス
7 財としての土地の性格をどう考えるか
8 地価をどのように考えるか
9 国際連合の考え方と日本の伝統的な考え方とをどのように調和させるか

第三章 フランスの土地制度改革
1 フランス革命による土地制度の創設
2 フランスの土地市場における地価の変動
3 20世紀末までのフランスにおける土地改革
4 先買い権の拡大と収用権の強化
5 フランスの経験から日本は何を学ぶか
6 人口密度と土地政策

第四章 台湾と韓国の土地政策
1 投機と不況に強い台湾の土地制度
2 韓国の土地政策とアジア金融危機
3 デフォールトの危機とその救済策
4 停止されてしまった土地公概念政策

第五章 中国の土地政策
1 土地所有権と土地使用権
2 耕地の保護政策と都市土地の国家管理
3 特別区制度と土地使用権の取り扱い
4 中国の土地制度小史
5 土地の所有権と使用権の分離
6 経済大躍進の起爆剤となった土地改革
7 目を見張る大発展の中国経済
8 中国から日本が学ぶべきこと
9 日本が解決しなければならない問題
以上は,上巻に収められている。

以下は下巻に収められている。

第六章 イギリスの土地制度
1 英国土地法の基本的な特徴
2 1925年立法と不動産の権利の登録
3 土地の公有化と開発利益の吸収
4 英連邦諸国(豪州等)への英国法の浸透

第七章 アメリカの土地制度と土地政策
1 英国法との関連と絶対的所有権制度
2 土地評価の手法と考え方
3 基本的な土地政策と公共領有地制度
4 世界主要都市の土地、住宅価格等
5 日本とアメリカの大きなギャップ
6 米国の模倣ではなく、日本の実情にあった政策転換が必要
7 年金問題や少子化問題と土地制度の関連

第八章 国際的な激流の中で日本の閉塞状況を突破する土地所有権制度の改革
1 明治以降の日本経済の発達と土地制度
2 土地政策の国際的な潮流(1)
3 土地政策の国際的な潮流(2)
4 我が国の土地所有権制度の矛盾と弊害
5 地価の変動と経済のマクロバランスとの関係
6 グローバルな経済と土地事情の変化
7 現行の土地所有権制度が21世紀の日本経済に閉塞をもたらしている

第九章 土地制度の歪みが引き起こした年金、少子化問題と発想の転換の必要性
1 高齢化と年金資産の運用
2 狂ったマクロバランスの犠牲となったゼロ金利と年金、そして財政赤字
3 経済のマクロバランスの回復に必要な発想の転換
4 少子化の提起する問題
5 旧式発想からの転換が必要

第十章 赤字財政を改善させる土地改革
1 土地市場の失敗と日本経済への連鎖
2 特殊な景気循環と財政赤字の背景
3 財政赤字の原因を作った土地所有権制度
4 地価とGDPと税収入との関係
5 地価とGDPと税収入との関係(続)
6 租税収入と歳出額、国債発行との関係
7 外部経済をつくる財政コストと地価上昇利益との調整
8 歪められてきた経済構造(四つの事例)
9 財政再建と企業の競争力強化のための土地改革

第十一章 土地公有化と土地利用権の創設
1 土地公有化を唱えられてきた大先輩
2 経済のパラダイムシフト
3 土地制度の新しいパラダイム
4 土地の公有化と土地利用権の創設は構造改革の最も重要な第一歩
5 土地所有権制度からの脱却と新しい土地制度への勇気ある決断
(あとがき)

(株)東京リーガルマインド社(出版社)への問い合わせは,次の通りです。
出版部 〒164−0001 東京都中野区中野4−11−10
アーバンネ中野ビル(電話)03−5913−6336

新しい隆盛のための礎石≪上≫-土地は所有から利用へー
http://online.lec-jp.com/shop/goods/98011/
新しい隆盛のための礎石{下」ー土地は所有から利用へー
http://online.lec-jp.com/shop/goods/98012/

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世界における経済と土地との関係について、もっと詳しくお知りになりたい方には、次の本をお勧めいたします。
ご購入に関しては、直接出版社にお問い合わせください。

(参考文献)
書名著者出版社発行年月価格
世界銀行山口健治近代文芸社1995年4月2,600円
土地は公共財同上同上1996年8月1,800円
土地は公のもの同上大蔵財務協会2000年1月2,800円
[注」近代文芸社 〒112−0015
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b   (財団法人) 大蔵財務協会 〒 102−8335
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