第5学年3組 算数科学習指導案

平成15年6月27日(金)第5校時
男子14名 女子14名 計28名
授業者 寳迫 芳人

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1.題材名

垂直や平行を探そう

2.題材について

〈児童の実態〉

 本学級の児童は、さまざまな活動に対して根気強く取り組み、最後まであきらめないでやりきろうとする姿勢を有している。これまでの学習の中で課題解決の場面を多く取り入れた授業を展開し、自分の力で課題を解決するような学習スタイルを経験させてきた。また、算数的活動を取り入れた授業を展開し、豊かな発想を導き出すような経験をさせてきている。これらに加えて、算数が日常生活から離れた特別なものなのではなく、自分の身の回りにも算数や算数的な考え方が生かされていることを指導し続けている。
 図形領域については、図形を部分(角、辺、頂点など)に着目してとらえたり、分割・統合・回転・反転などの思考操作をしたりする力を育てていきたいと考えている。

〈教材観〉

 垂直や平行の概念は、図形の学習をする上で基礎・基本にあたる部分である。垂直は、直角に交わる2直線の関係をいい、平行は、同一平面上にあってどこまで延長しても交わらない2直線の関係をいう。これは、この後学習する四角形の性質にも出てくるものでもあり、その弁別や作図をする際に必要不可欠な概念である。さらには、中学校で学習する、合同条件や相似条件などにもつながる重要な概念である。
 直角は、2直線がつくる角に着目した考え方であるのに対して、垂直は、2直線の関係を表すものである。この点の考え方の違いをしっかりと指導したいところである。また、平行については「どこまで延長しても交わらない2直線の関係」という考え方が一般的なのだが、子どもたちにとっては、その考え方を理解したり、作図や確かめをしたりすることは、やや難しいと考えられる。そこで、平行は「等幅である2直線の関係」であるという考え方と、「任意の1直線に対して同一角度で交わる2直線の関係」という考え方も同時に存在することを踏まえて、平行を定義する際には前者の考え方を、作図するときや確かめるときには後者の考え方を採用することにする。

〈指導観〉

 今回の学習を進めるに当たって、子どもたちが楽しく学習に取り組みながら、基礎・基本を定着させたいという考えのもと、「図形パズル」を使った授業を展開してきた。これは、一見ランダムに描かれた図形の中から垂直や平行な線を探し出し、その特徴について考えさせるとともに、自分で垂直や平行な線をかきたして「図形パズル」を完成させることによって、その考え方や作図方法を確実に身につけさせようというものである。
 この学習を踏まえて、今回は体育館という広い場所で垂直・平行を探す活動を行う。教室を出て体を動かしながら垂直や平行を探す活動は、それだけで子どもたちの興味を喚起すると思われる。また、「探し出す」という活動は、子どもたちにとって、ゲーム的な感覚を伴い、発見の楽しみを味わわせることができるものと考える。さらには、デジタルカメラを活用することによって、「探し集める」という楽しみも味わわせることができる上に、実際のものを持ってくることができないときの発表の仕方の工夫について学習させることができると考える。
 こうした活動を通して、普段の生活の一部となっているものの中に算数の概念がたくさん含まれているという視点を養うことで、今後の学習活動にも意欲的な取り組みが期待されるところである。

3.指導の目標

○直線の垂直、平行の位置関係や台形、平行四辺形、ひし形などの概念について理解し、その弁別力、作図力を高めるとともに、これらを用いて図形の性質をとらえることができる。

〔関心・意欲・態度〕 ●垂直、平行や台形、平行四辺形、ひし形の性質を、既習の図形の性質をもとにして調べようとする。
〔数学的な考え方〕 ●辺のならび方、辺の長さ、角の大きさに注目して、四角形の性質について考える。
〔表現・処理〕 ●垂直、平行や台形、平行四辺形、ひし形を弁別したり、かいたりすることができる。
〔知識・理解〕 ●垂直、平行や台形、平行四辺形、ひし形の概念とそのかき方を理解する。

4.指導計画

小単元 時数 学習内容
1.直線の交わり方 3 2 ・「垂直」の概念とその弁別
1 ・垂直な直線の作図
2.直線のならび方 4 1 ・「平行」の概念と弁別
1 ・平行な直線の性質
1 ・平行な特選の作図
1
本時
・身の回りから垂直や平行なものを探し、機能的な良さに気づくこと
3.いろいろな四角形 8 2 ・「台形」と「平行四辺形」の概念
1 ・平行四辺形の性質
・平行四辺形の作図
1 ・「ひし形」の概念と性質
1 ・ひし形の作図
1 ・「対角線」の意味、四角形の対角線に関する性質
1 ・身の回りから四角形の形を探し、有効に生かされていることに気づくこと
まとめ 2 1 ・練習およびたしかめ
1 ・まとめテスト

5.本時の学習

(1)目標

・垂直や平行について理解を深め、垂直や平行なものを探すことができる

(2)展開(7/17) ○主な発問、●予想される反応、☆評価項目、*支援

前時の学習 ・形合わせパズルを完成させて、友だち同士で遊び合う
・垂直と平行について理解を深める
学習活動 指導上の留意点 備考・準備・資料など 時間
1.前時までの学習をふり返る
○垂直や平行の学習を思い出してみましょう
●2本の直線が直角に交わっている
●2本の直線の幅が同じ
・本時の学習は、体育館で行う
・ノートを確認して、確実に押さえる
・垂直、平行のモデルを提示する
・垂直&平行な図
・垂直で平行でない図
・垂直でない平行な図
5
2.活動内容を知る
課題 体育館の中で、垂直や平行を探そう
○体育館の中で、垂直や平行なものを探します










3.垂直、平行を探し
○班ごとに、話し合いながら垂直や平行なものを見つけましょう
●班ごとに活動する



4.発表の準備
○撮影したものの中から、発表するものを選びましょう
5.見つけたものを発表する
○見つけたものを発表してください
●班ごとに発表する
・体育館を見回して、垂直や平行なところはないか見通しを持たせる
・デジカメの使い方や写真の撮り方について確認する
〈デジカメの使用方法〉
1.レンズカバー
2.シャッター
※余計なところにはさわらないように注意する
〈写真の撮り方〉
1.定規や三角定規を使って、垂直や平行を確かめてから撮影する
2.なるべく、アップで撮影する
・体育館にある道具は、担任にことわってから使うことを伝える
☆意欲的かつ見通しを持って説明を聞くことができたか
*具体的な方法を教示しながら、集中して説明を聞けるようにする・自分勝手な行動がないように注意をする(みんなの意見を採用すること)
・危険な行動がないように気を付けるとともに、危険な場所に登ったり、つかまったりさせないようにする
☆自分たちの考えを生かして、垂直や平行を見つけることができたか
*子どもたちといっしょに行動して、器具の使い方を支援する・撮影したものの中から発表するものを3つ選ばせる

・撮影したものについて、説明をさせる
☆自分たちが探した垂直や平行を発表することができたか
*機器の操作については授業者が支援し、発表に集中できるようにする
・板書(移動黒板)
「垂直や平行なものを探そう」
・デジカメを用意する
(各班に1台=7台)
・三角定規(各自)
・定規(各自)










・大型の定規と三角定規を用意する
・板書(移動黒板)
「垂直や平行の確かめ方」
※各班にもカードにして配布する







・スクリーン
・ビデオプロジェクター
・映像入力−デジカメ接続ケーブル
7
















15






5

8
6.まとめ
○今日の学習でどのようなことがわかったか、ノートに書きましょう
●各自自分の考えを言う
●ノートに書く
○発表してください
●自分の考えを発表する
・垂直、平行の学習をまとめる
・意図的に指名して発表させる
☆自分の考えを書いたり発表したりすることができたか
*まとめが難しい子には、机間指導で本時の学習を思い出させるように支援する
・次の小単元「いろいろな四角形」への見通しを持たせる
・まとめの書き方 5

(3)備考

〈会場見取り図〉

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