平成12年10月5日(木)第5校時
授業者:寳迫 芳人
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こんなに大きくなりました 〜ケナフのことを 伝えよう〜
本学級の児童は、これまで生活科を中心に、生き物を育てたり観察したりする活動を行ってきた。教室での「熱帯魚・観葉植物などの飼育・栽培」、校庭で見つけたものを育る「○○を育てよう」の活動、「ミニトマトを育てよう」、「ヤゴ救出作戦」などである。こうした活動の一つとして、「ケナフの栽培」も行ってきた。これらの活動を通して、児童一人一人が生き物を大切に育てることに喜びを感じ、その成長を見守り、意欲的に取り組む姿を見ることができた。特に「ケナフの栽培」では、同学年で同じ取り組みをしている小学生と手紙やウェブページ、ウェブ掲示板でお互いの生育状況を報告しあったり、学校内の情報掲示板へケナフが育っていく状況を掲示したりすることで、学習を進めてきた。子どもたちは、機器の活用のみに終始するのではなく、遠い地に実在する友だちとの交流・共同学習を楽しみながら活動を続けている。
また、情報教育の観点から、これまでに国語科や生活科において図書室にある「図鑑」や校内用の「Webページ」を使って調べる活動を行ってきた。自分で調べたことや体験したことを絵や文字に表し、友だちに伝えたり保護者の前で発表したりするといった活動も行ってきた。さらに、算数を中心に行っている「課題解決」の学習では、自分なりの解決方法を導くためにいろいろな方法を考えるような学習も行っている。こうしたことが基礎となり、子どもたちの探求・表現・交流の能力が育ってきていると考える。
本単元は、新学習指導要領・生活科の内容、「(7)動物を飼ったり植物を育てたりして、それらの育つ場所、変化や成長のようすに関心を持ち、また、それらは生命をもっていることや成長していることに気付き、生き物への親しみをもち、大切にすることができるようにする。」に関係するものである。
新学習指導要領には、生活科教科目標として「具体的な活動や体験を通して、自分と身近な人々、社会及び自然とのかかわりに関心をもち、自分自身や自分の生活について考えさせるとともに、その過程において生活上必要な習慣や技能を身に付けさせ、自立への基礎を養う」とある。この目標を達成するために、「具体的な視点」として10項目が示されている。本単元はその内の オ 情報と交流、カ 身近な自然との触れ合い、に関わるものである。こうした学習活動を通して、自然や生命を尊重しようとする態度や自然の仕組みや成り立ちに対する興味を育て、さらに深めようとする態度を培い、身近にある図鑑や資料、テレビなどからの情報や家族・友だちからの情報を活用していく態度を育て、そうしたものを別の友だちや交流相手と情報交換する中で、さらに深めていこうとする態度を培っていきたいと考えている。
今回の学習で栽培したケナフは、環境教育などで良く知られている植物である。「非木材紙」の原料として注目され、世界各国で栽培されている。日本の市場にも地球に優しい紙製品として、ケナフを使った製品が出回っていることからも、子どもたちの興味がわくものであると考える。また、成長すると人の背よりも大きくなる(場合によっては4m近くまで成長する)ということからも、子どもたちの驚きや、楽しみを増してくれるものである。栽培がおわり種ができると、種を収穫し、刈り取りを行い、ケナフの皮の繊維を使った紙漉ができるというのも子どもたちにとって魅力的であると考える。こうしてできあがった種やケナフ紙は、次の学習につながるものであり、学習をサイクルさせる上で、格好の教材であると考える。
本単元の学習は、遠く離れた同年代の友だちと情報交換・相互交流しながらケナフを育てるというものである。今回育てたケナフの種は、八丈島:三原中学校から分けていただき、同じような活動を計画していた富山県:宮野小学校、熊本県:上村小学校の同学年の子どもたちと交流しながら栽培を進めていくことになった。重要なことは、いっしょに学習を進められる相手を探したときに、今までは教室内・学校内・近くの学校と地理的な制限があったものが、インターネットを利用することでその制限がなくなったということである。こうした他校とのやりとりは、すべてインターネット上でのやりとりで、私を含めて学年の教員も、相手との面識はいっさいない。子どもたちは、未だ見ぬ遠くの友だちと、同じケナフを育てることで親近感を感じ、種や手紙が送られてくることに、感謝の思いや会いたいという思いを募らせている。
情報教育の視点から、今回の子どもたちの活動について探求・表現・交流がサイクルするように学習を進めていくようにした。子どもたちにとっては未知の植物であるケナフが、どのように成長し他の植物とどんなところが違うのか考え、そのことを自分の観察記録にまとめたり、みんなの前で発表したりして、学級内や交流相手と情報を交換してきた。本単元の学習は、今までに手紙やウェブ掲示板などで交流してきた経験を生かし、成長して自分たちの背よりも遙かに大きくなったケナフのようすを伝えるために、どのようにしたらよいか考え、自分なりに工夫をしてわかりやすく相手に伝えよぅとすることをねらっている。さらに、単元の最後には、新たな課題として「種やケナフ紙をどうするか」という問題が発生し、次の課題へとつながっていくことになる。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | ||
きょうから2年生 | ぼうけんはっけん町たんけん ・やさいをそだてよう |
・やさいをしゅうかくしよう | つくってあそうぼう | 見つけたよ楽しいあき | きたかぜとなかよし ・遠くの人に伝えよう ・ゆうびんきょくを開こう |
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生きものをそだてよう ・生きものをさがしにいこう ・生きものランドをつくろう ・ケナフを育てよう ・プールのヤゴをすくえ こんなに大きくなりました ・ケナフのことを伝えよう |
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ケナフで紙を作ろう ・ケナフの紙すき ・タネのしゅうかく |
活動計画 | 学習活動・内容 | 情報の扱いと生活科の評価 |
一次 つかむ (2時間) |
1.「生きものをそだてるよう」の学習をふり返る …1時間 ・いろいろな生きものをそだててきたことをふり返る ・ケナフの観察記録をふり返り、今のケナフがどれだけ大きくなったか比べる 2.ケナフのことを伝えよう…1時間 ・これだけ大きくなったケナフについて交流している学校に伝えよう ・今までの交流をふり返る ・情報を伝える方法をピックアップする |
・生活科ファイルの観察記録 ・友だちとの話し合い 【評価】 ケナフの栽培の経過を思い出し、ケナフの変化や成長に気付くことができたか(気) ・宮野小学校の友だちからの手紙 ・ウェブ掲示板の書き込み 【評価】 ケナフの交流学習の経過をふり返り、今のケナフについて工夫して伝えようとすることができたか(関) |
二次 調べる まとめる (4時間) 本時3/4 |
1.大きくなったケナフのことをどうやって伝えるか …2時間 ・大きくなったケナフのことを分かり易く伝える方法を考える ・どんなことを、どうやって伝えるか計画を立て、役割を分担する 2.伝えるものをつくる…2時間(本時1/2) ・計画を確認し、実際につたえるものをつくる ・おくることができるようにまとめる |
・友だちとの話し合い ・担任と相談 ・使えそうなものを探す、聞く 【評価】 今のケナフのことをわかりやすくつたえることを意識して、意欲的におくるものを作る計画を立てることができたか(関) ・コンピュータ ・デジカメ/カメラ(ポラロイド) ・ビデオカメラ/カセットデッキ ・手紙/画用紙/FAX原稿用紙 ・プリンター/コピー/FAX/スキャナー ・時刻表/地図 など 【評価】 今まで栽培・観察してきたケナフの変化や成長に気付き、交流相手にわかりやすく伝えることを意識して、おくるものをつくることができたか (気・思) |
三次 表す 伝える 交流する (2時間) |
1.交流相手にケナフのことを伝える …1時間 ・ウェブ掲示板、郵便、FAXなどで伝えたいこと(もの)をおくる 2.返事を見る …1時間 ・ウェブ掲示板、郵便、FAXなどで送られてきた返事(もの)を見る ・新たに取り組みたいことを考える →新しい交流相手に種やケナフ紙を送ろう |
・インターネット ・郵便 ・電話回線 【評価】 交流相手のことを考えて作ったものをおくる活動に意欲的に取り組むことができたか(関) 【評価】 自分たちがおくったものが届いたことを知り、返事を興味深く見るとともに、自分たちのケナフと比べてその違いに気付き、新しい学習課題を考えることができたか (気・関・思) |
学習の流れと児童の活動 | 教師の支援と評価項目 | ||
《校庭》 1.各班の計画を確認する ○お友だちに、どんなものをおくるか確認しましょう ○お友だちのことを考えて、ケナフのことをわかりやすく伝えるためにがんばりましょう 2.本時の活動についての約束を聞く ○【やくそく】 ・自分の役割を確かめて、しっかりやりきること ・観察したり、写真を撮ったりするときは、じゃまにならないように譲り合ってやること ・やることがおわったら、班でまとまって教室にかえり、作業を続けること |
・班の計画を掲示 →飼育小屋のフェンスに掲示 【評価】 本時の活動内容を思い出し、本時の活動の見通しを持つことができたか 【評価】 本時の活動についての約束を知り、おくるものを作る活動に意欲的に取り組もうとしたか |
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《校庭》→《教室》or《コンピュータ室》 3.各班でおくるものをつくる |
・機器の準備 →機器はあらかじめ班ごとに選択させて、かごにまとめておく(下表「道具」欄参照) ・機器の使い方の支援 【評価】 ケナフの変化や成長に気付き、わかりやすく伝えるために工夫して取り組むことができたか |
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班名 | 方 法 | 道 具 | |
1班 | ビデオでケナフをとっておくる。手紙を書いて、テープのことを伝える。 | ビデオ、手紙→郵便 | |
2班 | ビデオでケナフをとっておくる。手紙を書いて、テープのことを伝える。 | ビデオ、手紙→郵便 | |
3班 | パソコン、デジカメを使ってケナフのようすをけいじばんに書きこむ。ケナフの大きさをメジャーで測る。 | パソコン、デジカメ→Web掲示板 ※メジャー、脚立 |
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4班 | ビデオでケナフをとっておくる。ケナフの長さを測って、手紙に書く。 | ビデオ、手紙→郵便 ※メジャー、脚立 |
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5班 | ビデオとカメラでケナフをとる。ケナフのことを手紙に書いて、ビデオや写真といっしょにおくる。 | ビデオ、手紙、カメラ→郵便 | |
6班 | パソコンでケナフのことを手紙に書いて、印刷しておくる。ケナフの写真をとって手紙にはりつける。 | パソコン、プリンター、カメラ→郵便 | |
7班 | ビデオでケナフのようすをとる。手紙を書いてカメラで顔写真をとり、手紙に貼り付けておくる。 | ビデオ、カメラ、手紙→郵便 | |
8班 | デジカメでケナフをとって、ケナフのようすをけいじばんに書きこむ。 | パソコン、デジカメ→Web掲示板 | |
《教室》 4.進捗状況の確認 ○おくるものがどこまでできたか確認しましょう |
・機器の操作についての支援 ・できていないものは次時に時間を与える 【評価】 自分たちの作業の進み具合を確認し、次時の活動の見通しを持つことができたか |
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5.片づけ ○つくったものは、班でまとめておきましょう |
・班ごとに送るものをまとめて保管する 【評価】 班で協力し、片づけをすることができたか |
男子16名 女子17名 合計33名
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