第6学年4組 社会科学習指導案

平成11年11月15日(月)第5校時
指導者 寳迫 芳人

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1.小単元名

 日本と外国との戦争(二つの戦争と人々の暮らし、長く続いた戦争)
 〜Webページで学び合い学習をしよう〜

2.小単元について

〈児童観〉

 本学級では、社会科の学習に関して、これまで、調べ学習を中心に授業を展開してきた。こうした中で、子どもたちの学習にのぞむ態度などから、進んで課題に取り組み、意欲的に調べたり新聞などにまとめたりする姿勢が培われてきていると考える。また、5年生の時から調べ学習の発表の場として、学び合い学習を取り入れた授業を数回行っている。これは、各自が課題に沿って調べ、それについてノートなどにまとめ、模造紙やOHPなどに書いて発表し、互いに学び合うという形式のものである。この学習を通して、子どもたちは、友達が調べたことや考えたことに興味を持つと同時に、自分自身がみんなに教えるために、より深めようとする姿勢が見られるようになった。
 コンピュータについては、昨年度から導入されたコンピュータを使用し、これまでにWebページの情報を活用した調べ学習や、「歴史新聞記者」という歴史資料ソフトを使った学習や、htmlでつくられた教材を使っての学習を行ってきた。この中で、コンピュータの基本的な操作方法や使用についての決まりを身につけることができていると考える。さらに、今年度に入って簡単なホームページ作成ソフトを使って、調べたことをまとめる学習も行っている。そのため、文章を入力/削除したり、ファイルを呼び出し/保存をしたりするなどの、技術も身につけている。今回は、このような技術を応用し、コンピュータを使ってプレゼンテーションをする技能も身につけさせたいと考える

〈教材観〉

 歴史の中でもっとも暗い部分に当たる戦争。その記憶を後世に伝えるのは、先人のつとめであると感じる。その意味で、子どもたちにもっともインパクトのある形で学習をさせたいところである。これまでの歴史の学習の中で出てきた戦争(合戦、乱、一揆など)は、子どもたちにとっては身近なものとは感じられないものが多かった。しかし、近代日本における戦争は、文化的にも今の状況に近いものが多く、また、現在の平和な社会を築く歴史の流れとして、直接的なつながりがあり、子どもたちにとっては学ぶ価値の大きいものである。そこで今回は、教科書では2つに分かれている、「二つの戦争と人々の暮らし」と「長く続いた戦争(太平洋戦争の部分)」をいっしょにして学習させることにした。これは、この間の戦争が互いに関連性が深く、不可分の関係にあると考えるのと、度重なる戦争によって人々の暮らしがどうかわっていったのかを、時系列の中で全体的に把握させたいためである。
 富国強兵から諸外国を巻き込んだ泥沼の戦争へ。そして、本土決戦を決意させるほどの引くに引けない状況になり、最終的に原爆の投下を経て無条件降伏を受け入れるまでの歴史は、細かく調べていけばその資料は多く、期間的にも長いためとても全てを押さえることができない。今回の学習では、子どもたちにそれを求めているわけではなく、近代日本における戦争を概観し、いかにして戦争へと向かっていったのか、それが諸外国の国民に与えた影響や、日本における状況などを大まかに理解させたいと考える。その上で、必要な歴史的事項や人物については、適宜押さえるようにさせたい。

〈指導観〉

 今回の学習では、各班で調べた内容をWebにまとめ、ビデオプロジェクターを使って班ごとに発表しあい、学び合うという形で行うことにした。子どもたちは班ごとに、(1)日清・日露戦争、(2)日中戦争、(3)太平洋戦争の3つに分かれさせ、それぞれの中で、1.はじまり(いつから、どんな理由で)、2.期間(何年間)、3.活躍した人(人物とどんなことをしたのか)、4.人々の暮らし(日本で、外国で)、5.その他(起きた出来事)、6.勝敗(条件や条約、その後の変化)の6点について調べる。教科書・資料集を読ませた上で、歴史的事項や人物について拾い出させ、班で分担して調べ、まとめるようにする。ここまでの流れは、今まで本学級で行ってきた調べ学習とほぼ同じものである。今回は、これをコンピュータを使ってまとめ、クラスで発表する。この点は、今まで行っていた模造紙やOHPを使った学び合い学習から発展させ、見やすくプレゼンテーションに適したコンピュータを使うことで、より子どもたちの意欲を喚起し、あわせて汎用性の高いWebページの形にすることで、他の学級や他の学年との情報共有が可能になると考えて、この形で行うことにした。
 本時は、Webページづくりの第一時に当たり、事前に作成してある記事原稿をもとに、コンピュータに打ち込んでいく作業を行う。最後に、こうしてできあがったものをビデオプロジェクターを使って班ごとに発表しあい、学び合う。こうした学習は、本来一斉に同時に、同じ形でやることを理想としていない。子どもたちの進め方に応じて、また、表現したい方法に応じて、それぞれが思い思いの場所で、様々な機器や教材の中から自分の必要とするものを選びながら進めていくのが本来の形と考える。しかし今回は、はじめてWebページを使ったプレゼンテーションを行わせるため、全体で指導していくことにした。
 Webページ作成について、Webページの優れている点は、インターネットで公開できるというだけにとどまらない。それを大型のスクリーンに映し出し、プレゼンテーションすることも可能である。また、ハイパーテキストの考えを使ってリンクさせておけば、画面を切り替えることや関連情報を提示することも簡単である。こうした機能を活用するとともに、学び合い学習というスタイルを取り入れることで、子どもたちの言葉で戦争を語らせ、より身近なものとして学び合っていけるものと考える。

3.小単元のねらい

  1. 日清・日露の二つの戦争や条約改正の努力などを調べ、日本の国際的地位が高まったことを押さえるとともに、それが中国や朝鮮の人々に大きな苦痛をもたらしたことや、日本の労働者や農民にも苦痛を与えたことをとらえる。また、日中戦争・第二次世界大戦(太平洋戦争)と敗戦を、国民やアジアの人々の苦しみと併せて調べ、日本の侵略戦争の実態をとらえる。
  2. 各種の資料を活用して、日本の国力の充実、国際的地位の向上、外国との関係などを年表に整理し、二つの戦争の意味や国民生活、近隣諸国との関係について考える。また、各種の資料を相互に関連づけて、日中戦争・第二次世界大戦(太平洋戦争)への突入から敗戦までの経緯をとらえる。

4.評価基準

(1) 社会的事象への関心・意欲・態度

 外国との関係、国内の政治や社会の働きに関心を持ち、日清・日露の二つの戦争や国際関係の変化及び国内の暮らしなどを進んで調べようとする。また、戦争中の国内や、アジアの様子に関心を持ち、日中戦争や第二次世界大戦(太平洋戦争)の様子、人々の生活の様子を進んで調べようとする。

(2) 社会的な思考・判断

 日本の近代国家としての歩みを、朝鮮や中国の人々の苦しみや国内の諸問題と関連させて考えることができる。また、日中戦争・第二次世界大戦(太平洋戦争)の様子を国民やアジアの人々の苦しみと併せて考えるとともに、侵略戦争の実態について考えることができる。

(3) 観察・資料活用の技能・表現

 写真や絵画資料、文章資料などを収集・活用してWebページを作成し、学び合い学習を通して日本の近代化の様子や大陸の人々の苦しみや国内の社会問題、国民生活の苦しみの様子をとらえることができる。

(4) 社会的事象についての知識・理解

 日清・日露戦争や条約改正の努力などにより、日本の国際的な地位は向上したが、一方では、大陸への侵略による国際問題や国内の社会問題、労働問題などの課題を抱えていたことを理解する。また、日本の侵略戦争が、国民やアジアの人々に大きな被害と苦しみを与えたことを理解する。

5.指導計画(14時間扱い)

学習課程 学習のめあて 学習内容
学習計画 2 ◇近代日本の戦争の学習に関心を持ち、班の人たちと協力して学習計画を立てる
◇歴史的事項や人物について興味を持ち、調べようとする
◇学習内容を知る
◇学習の流れを見通し、学習計画を立てる
◇歴史的事項や人物についてのキーワードを拾い出し、調べる分担を決める
調べる
記事をつくる
4 ◇分担された課題について、自主的、意欲的に調べる
◇みんなに伝えることを考えて、わかりやすい記事にまとめる
◇教科書、資料集から必要な情報を探す
◇図書室、図書館、コンピュータで調べたことをさらに深める
◇Webページにするために、調べたことを記事にまとめる
Webページにまとめる 3
(本時7/14)
◇調べたことについて、班で協力してWebページにまとめる ◇調べた記事ごとに、Webページにまとめる
◇完成したものを班で見合い、修正を加える
発表準備

1

◇調べてきたことをわかりやすく伝えるために、発表のしかたを工夫する ◇学び合い学習の発表のために、発表原稿をつくり、役割分担をし、発表練習をする
学び合い学習(1)
日清・日露戦争
1 ◇調べてきたことが他の人にわかるように、発表する
◇友達が調べたことに興味を持ち、意欲的に学び、さらに深めようとする
◇調べたことを発表しあい、学び合う
学び合いカード
◇それぞれの発表について、疑問や意見を発表しあい、学習を深める
【押さえたいキーワード】 ノルマントン号事件
条約改正
下関・ポーツマス条約
朝鮮進出・韓国併合
工業の発達と社会問題
米騒動
水平社
普通選挙運動
陸奥宗光
小村寿太郎
田中正造
吉野作造
学び合い学習(2)
日中戦争
1 ◇調べてきたことが他の人にわかるように、発表する
◇友達が調べたことに興味を持ち、意欲的に学び、さらに深めようとする
◇調べたことを発表しあい、学び合う
学び合いカード
◇それぞれの発表について、疑問や意見を発表しあい、学習を深める
【押さえたいキーワード】
軍事教練
満州事変(満州国)
南京事件
中国・朝鮮への被害
第二次世界大戦のはじまり
切符制・配給制
学び合い学習(3)
太平洋戦争
1 ◇調べてきたことが他の人にわかるように、発表する
◇友達が調べたことに興味を持ち、意欲的に学び、さらに深めようとする
◇調べたことを発表しあい、学び合う
学び合いカード
◇それぞれの発表について、疑問や意見を発表しあい、学習を深める
【押さえたいキーワード】
アジアの国々への被害
真珠湾攻撃
軍事工場での労働
主要都市への空襲
学童疎開
沖縄占領
広島・長崎への原爆投下
無条件降伏
まとめ 1 ◇学習してきた内容をふりかえり、自分なりにまとめる ◇学習内容をもう一度ふりかえり、自分が調べたこと、友達が調べたこと、発表会で深めたことを元に自分なりにまとめる
ふりかえりカード

6.本時の学習

(1)めあて

 歴史的事項や人物についての調べたことを確認し、調べたことについて、班で協力してWebページにまとめる

(2)展開 ○主な教師の言葉、●予想される反応

前時の学習 調べたことを、記事にまとめる
時間 学習活動 指導上の留意点 備考・準備・資料など
5 1.学習計画を振り返る
○今日から、Webページづくりをはじめます





2.ファイルについての説明
・各自の学習計画表を確認し、今までの学習を振り返らせる
・歴史的事項や人物についてのキーワードを確認する
・班ごとに分担を確認させる

・フロッピーやファイルの絵を用意し、子どもの理解を助ける
・教師用コンピュータで実演する
【評価】自分の学習計画を振り返り、本時の学習の見通しを持てたか




・フロッピーディスク
・フロッピー&ファイル構成の絵
【評価】今回使用する用具について理解することができたか
30 3.Webページづくり
【めあて】調べたことについて、班で協力してWebページにまとめましょう
○班で協力し、コンピュータの決まりを守ってWebページづくりをはじめてください
●歴史的事項の順序に関する質問
●漢字の読みについての質問
●コンピュータに関する質問



・作業を把握していない子を中心に指導する
・不適切な操作に注意する

・操作については壁面資料を参照させ、最終的にわからなければ教師にいうようにさせる
・修正可能なことについては気にせずにやらせる
・修正不可能な場合には、元のファイルから再度作り直す
・めあて
【評価】調べた内容について、コンピュータを使って進んでまとめようとしたか
・壁面資料(常時掲示)
5 4.本時のまとめ
調べ学習カードに今日のまとめを書いてください
・数名にまとめを発表させる 【評価】一時間の授業を振り返り、次時の見通しがもてたか
次時の学習 Webページづくり(つづき)

(3)備考

男子19名、女子15名、合計34名

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