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「『めぐる輪』の中で生きる」(光村1年)は主張と例を分け,要約させる



長谷川博之(トークライン中学秩父JEサークル)

この文章は「問い」と「答え」が明示されている実証型の文章ではない。よって、向山型の説明文指導は使えない。ではどうするか。
文章構成の理解,主張と具体例の区別,主張の要約の3ステップで組み立てた。


「『めぐる輪』の中で生きる」は問いと答えの対応がない,構成も曖昧な文章である。つまり授業しにくい。
私は次の3点で授業した。

(1) 文章構成を理解させる
(2) 具体的な事例と筆者の考えとを区別して読ませる
(3) 主張を要約させる


(1) 文章構成を理解させる

十分音読させた後、問う。

発問1 文章全体のキーワードをひとつ選びます。それは何ですか。

全員正解。「めぐる輪」である。繰り返し繰り返し出てくる語である。題名にも着目することも確認しておく。

発問2 全体を二つに分けます。どこで分かれますか。

5段落と6段落の間である。全員正解。なぜか。本文がそこで一行あいているからである。
ここは軽く流す。(以下、段落を@Aと記す。)

(2) 具体的な事例と筆者の考えとを区別して読ませる


発問3 @〜Dで出されている具体例は何ですか。一語で答えなさい。

「ミニ地球」である。これも即答した。

発問4 @〜Dの中で、ミニ地球の実験をまとめ、意見を述べている段落がある。何段落ですか。

Dである。

発問5 E〜Lで出されている具体例は何ですか。すべて書きなさい。

宮崎県綾町、山形県長井市、東京都北区、である。
途中で、「三つあります」と告げる。これも全員正解である。
何段落で述べられているのかも口頭で確認する。

また、「なぜ東京都北区の例だけ離されているのか」も問うた。
生徒の半数が「大都会の例だから」と答えた。正解である。他には「給食の残飯をたい肥にしているから」「ごみの量を減らす例だから」が挙がった。

続いて、「筆者は地方の例と大都会の例のどちらに力点を置いているのか」を問うた。
これは「大都会の例」であろう。Iに、「大都会でこそ、そのこと(=自分たちの生活と土地や環境全体とのつながり)を真剣に考えていく必要がある。」と述べていることから分かる。
生徒は全員が「大都会」だと答えた。根拠を「二文字だ」と限定して問うた。「真剣」「ごみ」がほとんどであった。
ただひとり、「こそ」と答えた者がいた。日ごろ物静かな男子であった。「正解!」大いに褒めた。
そして生徒達に、「具体例が幾つか並んでいる場合、後になるほど重要で、力点の置かれた例であることが多い」と説明した。これは作文指導にもつながる事項である。

発問6 FGをまとめ、意見を述べている段落がある。何段落ですか。

Hである。

指示1 柱の一文に線を引きなさい。

「その根底には、自然の『めぐる輪』を生かしながら、住民一人一人が力を合わせ、自分たちの暮らしている町の土を守り、農業を守り、環境そのものを守っていこうとする思いがある。」である。
「なぜそれが柱なのか」などとはやらない。難解であり、説明すればするほど生徒は混乱するからだ。「はい、正解」と流すだけだ。

発問7 Jをまとめ、意見を述べている段落がある。何段落ですか。

Kである。接続詞「つまり」も根拠となる。

指示2 柱の一文に線を引きなさい。

「この取り組みは、自然の『めぐる輪』と自分たち自身のかかわりに気づいていくきっかけとして、大きな意味をもつものといえる。」である。

発問8 文章全体の結論は何段落に書かれていますか。

L、即答である。

(3) 主張を要約する


指示3 Lで述べられている筆者の主張を30字以内に要約しなさい。

まとめやすいよう段落を指定する。
時間が経っても書き出せない生徒を集めて次の指示を出す。文字を指定して書き易くする。

指示4 「食べ方、暮らし方、考え方」を「生活」とまとめ、最後に置きなさい。

Iに「自分たちの生活と土地や環境全体とのつながりを実感していくことは難しい」とある。ここの「生活」を利用したわけである。
字数以内に要約するための語句の言い換えを奨励している。生徒達は進んで辞書を引くようになっている。


【解答例】
◇地球との関連を考えながら、見つめ直していくべき私達の生活。
◇自然の「めぐる輪」を意識して改善すべき私たちの生活。


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