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「モアイは語る」(光村中2)

長い説明文も「問い」と「答え」を押えれば2時間で終了!



長谷川博之(トークライン中学秩父JEサークル)

国語が苦手な生徒に長文の読解指導をする。漢字を見ただけで抵抗を感じる子ども達である。だらだらとした授業では一気に崩れる。
だが、たとえ苦手であっても、すべきことが明確であって、テンポが良ければついてくる。
すべきことが明確であるということは発問・指示が明確であるいうことだ。苦手な子が躓きそうな発問では、いくつかの段階を設定して答えさせるのである。
これは生徒全員が成功体験を積んだ説明文の授業である。


【第一時】 すらすら読めるまで音読をさせる。

指示1 本文中の問いの文に赤線を引きなさい。

列指名で段落番号と文を確認し、通し番号を振っていった。

指示2 問いの文を2行空きで、ノートに視写しなさい。

ここまでは全員ができる。これで第一時が終わる。

【第二時】
問いの文と答えを対応させていくのが第二時の学習である。向山型説明文指導の応用である。ただし、答えの文を書き換えさせることはしない。苦手な子が答えやすいよう答えの文字数を指定するなどの工夫をしてテンポ良く進める。

指示3 一行空きで、@〜Gと書きなさい。下に答えを書いていきます。

発問1 「君たちはモアイを知っているだろうか。」知っている、知らないどちらか書きます。

「知っていると書いた人(挙手)、知らないと書いた人(挙手)、どちらも正解! 丸をつけます」と続ける。ここは速攻である。

発問2 「いったいこの膨大な数の巨像を、だれがなんのために作ったのであろうか。」問いが二つ含まれているから、分けなさい。

指名して答えさせる。あくまでテンポを崩さない。
だれが作ったのか。全員即答である。
なんのために作ったのか。これは、探すのに苦労する生徒がいる。
頃合いを見て、「答えは何段落に書いてあるのか」と問う。書かせる。列指名で答えさせる。八段落である。書かれている情報をまとめさせる。「守り神として、守ってもらうため」これでよい。
答え方の指導を入れる。「文末は『〜ため』となっていますね。なっていたら丸!」
昨年から継続しているが、時折間違える子がいる。

発問3 「モアイを作った文明は崩壊したのだろうか。」

生徒は即答である。

発問4 「そうだとしたら、それはなぜなのだろう。」

これは答えられない生徒がいる。そこで、答えの文字数を限定してやる。
まず、「根本的原因を4字で書きなさい」、と指示する。
ほとんどが「森の消滅」と書く。だが、「食料危機」と書く子もいる。近づいていって「根本的原因」を指差してやる。
次。「森の消滅によって生じた問題は何か。4字で書きなさい」と指示する。
「食料危機」である。「飢餓地獄」と書いた男子には、「これもいい! もう一箇所、同じような意味の言葉がある。探してごらん」と告げた。これで全員正解となった。 こうしておいて、「この二つの言葉をつなげて答えの一文にしなさい」と指示した。
「森の消滅によって、食料危機が生じたから。」おおざっぱだが、これで正解とした。
全員ができた。

発問5 「絶海の孤島の巨像を作ったのはだれか。」

Aとおなじ、と書かせる。

発問6 「それにしても、ラノ・ララクの石切り場から、数十トンもあるモアイをどのようにして海岸のアフまで運んだのだろうか。」

これも、思いの外良く出来た。
「ヤシの木のころを使って運んだ」が正解である。「ころ」が抜けているものは7点とした。

発問7 「人々はどのようにしてモアイを運んだのだろうか。」

Eと同じ、と書かせる。

発問8 いったい何があったのだろうか。

「これはもうやったね。どれと同じなのか」「問4です!」あくまでもテンポ良く。

発問9 題名に「モアイは語る」とある。モアイは何を語っているのか。

すぐさま「地球の未来」と書く生徒がいる。いわゆるできる子である。
「3点」とつける。「一文で答えてごらんなさい」と告げる。
ある程度時間が経ったところで言う。
「どこを見ればいいのか分からない人、前に来なさい」 13名が来た。
「『モアイが語る』と似ている意味の太字がある。探しなさい」と指示する。
196頁を見る。「モアイは明日の地球を予言している」とある。
「そのとおり! でもこれだけでは5点だ」
「明日の地球がどうなるといっているのか。それを書きなさい」と言って席に戻した。机間巡視をし,読んでいる部分が正しければ褒めていった。時間をかけても見つけられない3名の生徒には,指差して教えた。

□このまま森を破壊していくと、地球は、イースター島のように飢餓地獄に陥り、滅びてしまうということ。
□有限の資源を効率よく長期にわたって利用しないと、地球もイースター島と同じ運命をたどるということ。

生徒のノートに綴られた解である。
書き終えた生徒には「次回板書してもらいます。かっこいい文になるよう,推敲しなさい」と告げた。 

最も低位の男子2名が、休み時間になってもノートに綴り続けていた。辞書を引きつつ、真剣な顔で向かっていた。今までに見た事のない光景だった。
翌日の日記にはこうあった。

国語の時間、長谷川先生がヒントをくれたおかげでむずかしい問題を当てることができました。少し、自信がもてました。


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