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徒然草第52段をこう授業する



長谷川博之(トークライン中学秩父JEサークル)

小刻みなノート作業で文章中の語句を厳密に検討させ、作品の主題に迫らせた。


範読・追い読み・一文交代読み・個人読み・指名なし音読と変化をもたせて練習させた後の第二時。

本作品では「作者=話者」と考えてよいことは確認済みである。

発問1 この話の「季節」はいつですか。ノートに書きなさい。

生徒は、第11段とは異なり季節を表す語句のないことに戸惑っている。
列指名で答えさせた。

説明1 答えは、「わかりません」です。本文中に根拠がありません。国語の授業は文章に根拠を求めることが原則です。問いに答える時には根拠も言えるようになりましょう。


指示1 1文目、「仁和寺にある法師」に赤線を引きなさい。隣と確認し合いなさい。

発問2 この法師はどこに向かって旅立ったのですか。3字で抜き出しなさい。

書けない生徒が6名いた。1文目の「石清水を拝まざりければ」に赤線を引かせ、「石清水を拝まなかったからという意味だ」と助言した。

発問3 何人で旅立ったのですか。

「ただ一人」とある。全員正解。

発問4 交通手段は何ですか。

「徒歩より詣でけり」とある。全員正解。

テンポよく進める。

発問5 目的地で拝んだ場所が二箇所挙げられています。どことどこですか。

書き終えた生徒から持ってこさせる。正解した生徒を大いに褒め、間違えた生徒を励ます。
「極楽寺・高良などを拝みて」とある。二度目で全員正解。

発問6 「かばかりと心得て帰りにけり」とあります。極楽寺と高良神社以外に何かあるのですか。「ある」、または「ない」で答えなさい。

挙手で人数を確認した。「ない」と答えた者が2名いた。文をいい加減に読んでいる証拠である。
根拠は脚注にある。「これだけのものと思い込んで」と書いてある。すなわち、他にもあるということだ。

発問7 何があるのですか。

石清水八幡宮を拝むために旅立ったのである。

指示2 最後の一文に赤線を引きなさい。

指示3 脚注を参考にして現代語訳しなさい。  

早く書き終えた3名を指名し板書させた。「少しのことにも案内してくれる人がいてほしいものである。」

発問8 話者がそのように考えたのは仁和寺の法師がある失敗をしたからです。どんな失敗ですか。法師自身の会話の中から6字で抜き出しなさい。

「山までは見ず」である。

発問9 石清水八幡宮と極楽寺・高良神社の地理関係はどうなっていますか。絵で描いて持ってきなさい。

発問5〜8の理解度を確認するための問いである。
頃合いを見計らい絵を板書させ、評価する。

説明1 仁和寺の法師は石清水八幡宮を拝みに行ったにもかかわらず、現地のことを何も知らなかったため、肝心の石清水を拝むことなく帰ってきてしまったのですね。



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