ブッシュ・オブ・ザ・デッド
邦題:死霊の森 (死霊じゃダサすぎて売れねぇよオイ)
210X年夏、地球はオゾンホールが大量に発生し環境異常をきたしていた。
(ありきたり しかも世紀末救世主伝説っぽい)
ニュー・ワシントンAM12:40
店のウインドウに映っているTVでは連日のように専門家がオゾン対策の討論会をしている。
カウンター越しに客達もその話で持ち切り。気温は連日36℃を指していた。
冷えたビン入りビールも飛ぶように注文が出る。
昼のメニューはイタリアン・ビーフサンド、チリドッグ、ハム・エッグと作りやすい軽食中心。
麦の生産コストが厳しいためどの店もバドワイザーばかり入荷する。
小さいレストランでカウンターとテーブルが2席だけ。
「効果も無い温暖化対策に協力なんぞしてられるかってんだ」
まったくだ。自分らを冷やすので精一杯だけに客もTV番組を横目に愚痴る。
「臨時ニュースです、国内にある○○の原子力発電所が爆破されました」
「尚、テロとの見方が強いですが犯人による犯行声明はまだ確認がとれてません」
「ペンタゴンでは事態を憂慮し会議を開く予定」
「今回の事故による放射能漏れによる影響は無いとのことです」
BUSH OF THE DEAD
(意表をついて何か起きない内にタイトルさっさと出す)
カランコロン
頬のこけた男の客が1人入ってきた。
「そこの席が空いてるよ、決まったら呼んで」
老けたウエイトレスがそっけなく言ってTV番組の続きをを見る。
「ミルクとランチを」
間髪いれずにウエイトレスは体を揺さぶりながら
「生憎だけどランチは終わってるよビーフサンドならあるよサンドにしときな」
「・・・それで頼む」
「ミルクとサンド入ったよっ」
「あいよ、ミルクねぇ・・・」
ウエイトレスは”でしょ?”と無粋な表情を浮かべたアクションをしてみせる。
店のマスターは男の年齢から判断して首を捻って奥に消えた。
(冷房が効いてるのに毎日くそ熱い料理なんか作ったら電気料金が大変だからこの店 笑)
店には客も不精な顔の若い男に中年とさっき来た男の3人くらい
(女性客には人気無し!でサンドの肉は・・・普通の安いスライスビーフを詰めてチンだけ)
ウエイトレスは注文されてメニューを持ってきたが男は前にうなだれていた。
「ちょっと寝るんなら他所行ってくんない?」
(回転率を気にしているが客はまばら)
料理を出したウエイトレスの腕が男の前から離れる瞬間 ガブリッ
(お肉の皮と筋肉が伸び〜る)
腕の肉を食いちぎられたウエイトレスを見たマスターは一瞬目を疑う。
ウエイトレスは悲鳴上げっぱなしで店にいた他の客は異常な光景に驚愕する。
(何年ものか知らないけどその肉って新鮮か?)
マスターはカウンターから出てきて男の肩を殴りつけるが腕をつかまれへし折られガブッ
(どん臭いです)
店は狂喜乱舞パニックに陥り客は逃げ出す。
(ほとんど客いません、シチュエーションつまらんなぁ)
逃げ出してきた様子に店内をのぞこうとした1人はいきなり喉元を引き千切られる。
(フルチ&ジャネット・デ・ロッシはネックミートがお好き)
(イケイケだと、ここらでタイトルなんだろうな)
一方ペンタゴンで会議を終えた大統領はホワイトハウスに戻り執務室の椅子に座る。
(主人公ってあの人?いやマイケル・ムーア監督でもボツでしょ)
秘書がレモネードのサイダー割りを持ってきて
「今日はご苦労様でした」と言い残して帰宅した。
そのころ街では猟奇事件が多発し各方面の警察署は毎晩のように慌しかった。
「おねぇさん今帰ったにょ〜?」
大統領秘書官を務めているミザリーの妹・ミランダ
ソファに座ってTVを見ながらチップスを食べながらそう言った。
ここらはほとんどが白い家で統一された高級住宅地である。
パトカーの巡回が通りがかり
「凶悪な事件が多発しております犯人を見かけたら最寄の警察署までご連絡ください」
(ピーポーピーポー)
「最近の世の中って物騒ね大丈夫?」とミザリー
「何が?」そっけなくミランダ
「私がいない間に近所で何かあった?」
「なんも無いねー」とTVにカジリついてるミランダ
あっそう、と表情して見せた後、玄関を激しく叩く音が聞こえた。
格子を開けて見たが玄関には誰もいないストッパーを外しノブを回し庭先を見渡した。
誰もいるわけがなくドアを閉めて家の中に振り返ってみると・・・
見たことも無い惨たらしい姿の男が襲ってきた。
そして朝を迎えた。あれは夢だった。留守録に伝言が入っていた。
(どこからが夢なんだか、ありきたり)
街では猟奇殺人事件で戒厳令が布かれていた。
金持ちは南国へ飛び一般人は交通もシャットアウトされ逃げ場がなかった。
TVでは大統領の演説があり国民を落ち着かせている。
街の不気味な雰囲気に呑まれたミザリーはホワイトハウスに向かう。
そこでは広報と記者達が慌しくしていた。
既に大統領や閣僚の家族はシェルターに避難するため乗換えで軍基地へ向かったという。
街では惨憺たる光景。人が人を襲う。
スラム街のアパートに警官隊が突入し掃討作戦を展開。
国家非常事態宣言をする間もなく灼熱の中に不気味なうめき声が鳴り響く。
「悪いが君達は入れない諦めてくれ」
連絡を取っていたミザリーはホワイトハウスに群がった死霊の群れに襲われてしまう。
(主人公誰?)
そこへ警備から通報を受けた警官隊が数人駆けつけるが死霊のえじきになってしまう。
(遅いし役に立たない定番!)
一方ミランダは途中出会った少女リンダを連れて核シェルターに避難したが・・・
食料も水も無く外では死霊が待ち構えている。
数人が食料と水を確保するために出ようと考えていた時
通気の配管から首だけのゾンビが襲いかかる!
(ここはボツだな)
教会に避難し神にすがりついた人々も全滅し軍は血みどろの戦いを続けている。
大統領が非難したシェルターではゾンビ化した者が出たために全滅。
死霊が肉をむさぼる保存庫となった。
一方のミランダとリンダ達
シェルター内に閉じこもって食料を毎回集めるのは危険で衛生も無理があると判断。
残る人は残ったが出て行く人がほとんどだった。
ミランダとリンダは街を抜け森や草木の茂みを進み彷徨った。
2人の衣服はボロボロでリンダはミランダから貰った上着しかない。
(死霊が群れてる街や家に寄れないから綺麗な服を着てる意味がないっしょ、シビア)
2人は滝の流れる湖畔にたどり着き小屋で夜を明かす。
その朝、湖の水面からヌーっと死霊の群れが現れ死霊に小屋は襲われる。
(ランド?)
今までの経験から動きの遅い死霊からなんとか無事に逃げ旅客機を見つけ島に来た。
(基地や飛行場経由なら燃料カラにならんわな基地は壊滅してるので)
ミランダは何かの小動物に噛まれた傷にふと気づいたが気にしなかった。
すっぱだかになって泳いだりヤシの実ブラと腰ミノをつけて踊ったり南国の島をエンジョイ
(やっぱホラーの若者はバカな一面がないとダメやな)
島には埋もれたような遺跡があり洞窟があり、そこをねぐらにしていた。
しかしそこは原住民も恐れて近づかない忘れ去られた場所だった。
(原住民を出す?安っぽいよ 笑)
仕掛けが作動して奈落に落とされた。
そこはドームくらい広大な石畳の空間がいくつもの部屋に仕切られていた。
眼前の足元には円盤型の石が蓋のように置かれその奥の壁に石が積み上げられていた。
奇妙な像や彫刻もあるが風化して何かは分からなかった。
「なんだろう、とにかくここから出ないと」
出る方法が思いつかず積み上げられた石を乗せるような場所に乗せたら重みで沈んだ。
円盤型の蓋が横へ移動しおえて溝にはまった。
水音が聞こえポッカリ空いた大きな穴の縁には石油のような漆黒の粘膜が垂れていた。
(さぁ方向性が違うかな)
穴から何万本もの触手が出てきてミランダを串刺しにした。
(ここはスクワーム風)
リンダはあっという間の光景になす術も無くミランダの傍らに立ち尽くしていた。
触手は壁全体を覆って壁に同化し壁が内臓のように生きているかのように動いていた。
赤黒い壁から穴の開いたような女性の輪郭を形成した。
それは死んだはずのミランダだろう。
体に開いた穴から気味の悪い触手が伸びていつの間にか気絶したリンダに近づいてくる。

目があったであろう所には深淵が広がり虚無を見つめている。
何かを引き千切って貪る音と骨をかじるような音が空間に響き続ける。
一体何がこの世界に出たのか・・・開けてはならない禁断の箱。
多くの災いが放たれたあとに残されたもの。それはたった1つの希望。
地上に群れた災いを”あれは”残らず平らげるだろう。
(クトゥルー神話大系かよっ)
|