SFやアドベンチャーでもない黴臭い包帯男

ミイラ再生 The Mummy (1932)
監督:カール・フルーンド
出演:ボリス・カーロフ、ジタ・ジョハーン
モノクロ映画(白黒映画)

3700年後、発掘された棺の中のミイラが歩き出し、それを目撃した1人が発狂する。
以降は、太陽の神に仕える高僧のお爺さんが生まれ変わりの女に付き纏う。
ラストは泥人形になって崩れる。
メイクは「ドラキュラ」「フランケンシュタイン」も担当したジャック・ピアース。箇所は顔・頭部・前腕。
ツタンカーメン王の墓が発掘され呪いの噂が広まった話はこの10年前の出来事。
包帯の怪物が手を伸ばしてくるイメージはこの作品には無い。
期待している方向性と違いデリケートでホラーとしては物足りない。

富士見書房の文庫「ホラー・コレクション−恐怖世界の怪物たち−」楳図かずお監修には、
俳優ボリス・カーロフがメイクしてる様子の写真が掲載されてる。
★★
DVD









宇宙からのツタンカーメン TIME WALKER (1982)
トム・ケネディ監督。

これは映画というより小説ものにありきたりな話に近い。
「日曜洋画劇場」で「宇宙から来たツタンカーメン」で放送されてたのが印象的。
発掘したミイラについてる苔に触れると体が腐り、
徘徊して人を殺しまくってたミイラが最後に宇宙人になって旅立つという・・・。
一緒に旅立つ人もそれでいいのかという感じ。
ホラーからSFで終焉してしまうのは奇抜すぎて批評の判れる所。
でもローランド・エメリッヒ監督の「スターゲイト」に、話の辻褄が合いそうなのでこういう話ももはや問題ないだろう。
元々タイトルが宇宙から・・・と銘打ってるので
ラストに怒る方が駄目。大人が見て感動はしない。
ちなみに感動したので当時「日曜洋画劇場」の映画部に問合せしたほどラストが奇抜。
特筆すべきは恐怖の苔の威力。リメイクして純粋なミイラ映画にすればこの映画は中々良いヒントがある。
発掘後の細菌による描写は光る緑色で強調されていて他の映画よりも怖い。
閉塞感たっぷりの工場で追ってくるミイラ男の視点。シャワー中に近づいてくる緊迫感もあり。
ホラーというよりSFの観点から見れば普通だろう。淀川氏もSFで解説してるのだし。(怖い怖い)
最初から苔問題で雰囲気がいい感じだが、ミイラが歩き回って殺戮が起きるシーンはほぼ手しか見えてない。
もしカットされてた部分があるなら見たいものだ。この邦題に惹かれて見たらラストに一杯食わされた人は多いはず。
退屈なシーンを続けてラストにどんでん返し。普通なら製作途中でどう見ても退屈だろと誰か気づくはずだが。
ラストのことを踏まえて当然のように撮影したんだろう。ミイラ映画にしてはダントツの奇抜さ。サイコをパクってないか?

宇宙から来たツタンカーメン/消えたミイラ!全裸美女に迫る古代エジプトの魔神(TV・旧)
タイム・ウォーカー/時空の聖櫃(TV)
TV用サブタイトルの「全裸美女」だが次回告知やテレビ番組表向け。
夜の普通のシャワーシーンである。
そこをミイラが1度立ち止まって襲い掛かるのかと期待させておいて通り過ぎるだけで何も無い。

「13日の金曜日」 Friday the 13th 1980年が、
この映画「宇宙からのツタンカーメン」 TIME WALKER (1982)より評価が高いと思われてるが差はないだろう。
☆☆☆☆
DVD







タロス・ザ・マミー呪いの封印 TALOS, THE MUMMY (1998)
監督:ラッセル・マルケイ
出演:クリストファー・リー、ジェイソン・スコット・リー

東京国際ファンタスティック映画祭に出品された。
タロスという王子がエジプトで発掘される。殺人事件とタロスの因果関係が交差し1人の刑事が追う。
洞窟内部の奥に吊り下げられた棺桶が1つ。その真下は足場が無く串刺しも同然のような落とし穴。
刑事役にジェイソン・スコット・リー(勘違いされやすいがブルース・リーとは縁戚ではない)
クリストファー・リーも出演してるがちょい役。スリーピーホロウ同様前半に。
後半はあるパターンのセオリーである。連続推理ドラマ化したほうが見やすいかもしれない。
霊媒師の突拍子な行動は頂けない。監督は「ハイランダー」のラッセル・マルケイ。
所長がなんかムカつくんだが、ラストにまた出てきたくせに大した意味がなかった。期待させすぎ。
ラストは主人公がライオンの顔に変化して吠える。

追記・飛んで蠢く包帯やら完全復活した怪物も出ます。
★★
DVD







アタック・ザ・マミー THE MUMMY THEME PARK (2001)
監督:アル・パッセリ
出演:アダム・オニール、ホリー・レニンガム、エラス・サイラス

アルバトロスの映画、1960年代以降のカラー映画みたいな画。イタリア合作となってるし予算上のこと。
THE MUMMY THEME PARK実にアホらしい話である。2001年作品とは思えない古い手法の映画。
スプラッターシーンはコメディだ。これが結構笑える。
災いの種を招いた女性は結局地割れを起して地割れを塞いでしまった。何がしたかったのだ。
☆☆☆
DVD







ファラオの首飾り THE MUMMY'S KISS (2003)
出演:アヴァ・ニッチ(またはミア・ゾットーリ)、サシャ・ピラルタ

古代エジプトの王女と禁断の関係にあった妖術師の女が罰せられミイラにされた。
そして現代、ミイラは復活し女性に近づいては生気を吸い取っていた。
アンナの前に不思議な女性が近づいてくる。

女性版ミイラ。物語の半分はヌードばっかしのエロティック。そういう専門分野のスタッフのようです。
モンスターとしての包帯ミイラは出てくる。
画質はTVM水準。まったくホラー要素は抜けているのでエロ好きな人だけしか見れないような作品。
おふざけ要素は3人がTシャツ捲って乳見せで1人を囲むくらいの意図的なもの。
笑える部分がないので真面目さは伺える。乾燥した肉体と水々しい肉体。
ミイラ映画は根本的にミステリーとホラー寄りのグロスプラッターテイストで攻めないと成功しない。
本格的に作ってほしかった。

「13日の金曜日」や「エクソシスト」を路線ベースにしないと迫力も無いだろうしミイラ映画も絶望的だろうか。
音楽もそれなりのイメージングが出来ないといけないし元からアメリカ流では無理だろう。
ルチオ・フルチの爪の垢でも煎じて飲まないと本物らしさのないミイラ映画は通用しないだろう。
本質的にここじゃなさそうなのでそのうち移動するかも。大昔がすっぽんぽんならほっとくけど(OV系)

ミステリードラマ60%、エロス25%、ミイラホラー15%、ポロリ度70%、モザイク0%、シリアス度80%
オープニングは壁画と裸女の踊り。その音楽も原点の「ミイラ再生」と同じ。ドラマのスピードは遅い。
テレビで昔のB級ミイラ映画が流れているシーンは太ったミイラが映る。配役はベテランもいる。
過去に発覚して罰せられるミイラ化シーンではマスクの裏面の目の位置が杭。脈打つ心臓。
ナイスガイ教授に迫るポロリの誘惑(汗)男との絡みシーンは無く古代の美女vs現代の美女で保っている。
セット・合成・B級テイスト音楽に安いSFXと丁寧な作りも見られる。価格が控えめなのが珍しい。
Frontline Entertainmentからパート2も発売されてるようです。
☆☆☆☆







リージョン・オブ・ザ・デッド〜ミイラ再生〜 Legion of the Dead (2005)
監督:ポール・ベイルズ

女帝ミイラ復活。仲間に命を与え死の神を復活させようとする。
女ミイラはアイアンクローで生気を吸い取れば顔が焼け爛れていき乾燥してしまう。
「スペースパンパイア」のように放電もある。
部下の攻撃は背後から背骨や内臓抜き取りと結構派手に数回やってる。また、すっぽんぽんはお約束。
教授が女帝の配下についてしまい、町の警官もやられてしまう。
復活には処女の血が必要だが仕方なく童貞の血?でも良いようだ(汗)
イシスのアンクが聖剣となっていて生と死を与えるアイテムとなっている。
ジッカルの頭を持つ神の復活は顔が出てきてもう少しという所であっさり阻止される。
モンスターパニックのテンションなのでミステリーとスリラーの強味はさほど無い。物語より画。
冒頭から床から串刺し、天井から石が落下でペシャンコ。
光源を上下に引き伸ばす効果を少し使っているが、あまり意図した出来栄えにはなっていないと思われる。
70〜80年代の少し古ぼけた作品であったなら少しは目玉になっただろうか。
近年のTVM−OV水準でのスタジオ系統のミイラ作品にしてはがんばっているほうかな。
エジプシャンな音楽も無いしピラミッドさえ無いのは予算の都合か。この水準から1つ上に出るまでが厳しい。
難点はアメリカに遺跡があるとどこだか分からない感じ。ミイラが活躍するのは夜のシーンと相場が決まっている様だ。
個人的にはオカルトミステリーのような雰囲気の作品を期待しているのでまたミイラ作品持ってきなさい。
近年の90分未満の作品は物語に乏しく時間が短く感じる。

最初から服に穴を開けておいて手を突っ込むミイラ君・・・わざと?。
☆☆☆
DVD







転送装置で逃げるのは反則です
幽霊も駄目

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