最近呑んだ吟醸酒について
   
      

2000年1−3月分 
                
             <2000年4−6月分に移動>  §酒のトップページに戻る§


 
   ◆月に一度の例会で飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。


2000年3月25日 

 

 

1.吉乃川(新潟県) 吟醸酒 原酒 生酒  「蔵出し一番」   原料米、精米歩合;不明  アルコール度数 19  720ml \3,000 (税・送料込)
A;味5、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+

E寸評;未着に付き当月の例会で飲用、年一回この時期に蔵元より搾りたての原酒を直送してもらう。到着後1週間以内に飲んで下さいの注意書きがありましたが、会の都合上3週間後の今日飲む。かえって、吟醸酒が安定して好結果になったようだ。
 炭酸ガスのピリピリ感が爽やかに口の中で溶けて消えて行った後に、甘口の芳醇でまろやかな味がベールを脱いで現れる。新酒のくせに(?)、完成されたグラマラスなボディが現れる、絶妙なバランスがたまらない。グラマラスなボディに合いたさに、もう一献重ねる。そしてまた一献。 去年から比べると、別物の様に素晴らしい。
    
2.本江酒造(富山県魚津市) 純米吟醸生 「花夕月」 原料米;山田錦 精米歩合;50%   1.8L  \3,200
 A;味4+、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;いつ飲んでも味香り共に安定しており安心して飲める佳酒である。
当会のハイレベルな吟醸酒の基準酒の感有り。
     

    

3.今井酒造店(群馬県太田市) 純米吟醸酒 黒松「新田山(にいたやま)」 明細不明 1.8L  \3,500
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;上記の「花夕月」に堂々と肩を並べる風格と力を持っている。ラベルデザインの古めかしさと反対に現代的な味と香りを持て居る。 妹分の「風まかせ」 のラベルからすると、馬子にも衣装と言うけれど、反対に3流地酒のようなラベルで損をしている。味は甘口のトロリとした舌触りと、嫌みの無い喉ごしの味わい。いつまでも口中に余韻が残らず、いつも飲み始めの感覚である。
     
4. 今井酒造店(群馬県太田市)  純米吟醸 「風まかせ」 原料米;山田錦・美山錦 精米歩合;55%   1.8L  \2,550
 A;味3+、B;香り3、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価3+
E寸評;色は薄く琥珀色に染まり、個性を感じさせない個性がある。純米独特のフワーとしたもたつき感と、旨味より酸味を感じる。しかし肴を選ばず、料理を楽しくさせる。上記「新田山」と同じ蔵元で姉妹関係にあるが、姉には格段の差を付けられているが、両姉妹とも独特の同じ酸味を感じる。仕込み水の影響か?
   
5.廣木酒造本店(福島県) 特別純米 無ろ過生原酒 「飛露喜(ひろき)」  明細不明  1.8L  \2,430
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;凝ったネーミングと造りで個性を出しているが、酒質も負けず五味一体になった深い味わいは抜群で、イイ優等生に仕上がっている。丸みのある味わいが、アルコール度数の高さから決してべとつかず、喉ごしの爽やかさはアルテン酒に勝る素晴らしさを持っている。香りは酒の中に埋もれていて、口中で初めて目覚める。戻り香も素晴らしい。また、飲み飽きないし、この値段でこの質、蔵元の頑張りが見える。酒販店の自慢もうなずける。値上げせず、次回もこの値段で供給されると本物。先月の銀盤吟醸 生貯蔵酒「しぼりたて」と並んで、懐を痛めず再度買いたいベストワンであろう。
    
6. 秋鹿酒造(大阪府) 西暦2000年記念 特別仕込 生「大吟醸」  原料米;山田錦 精米歩合;50%   1.8L  \5,000
 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価5
E寸評;前年11月に飲んだもの(火入れ酒)とは違う、今回は生吟醸酒である。
 味・香り共にバランスが取れ、戻り香と後味の素晴らしさは秀逸である。
生の方がまろやかで優しさがあり、王者の風格と素直で、媚びない品格の良さがある。食中酒とすると、これに勝つ肴がなかなか無いのではないか。食後にゆっくり雪見障子の格子を明けて雪景色でも眺めながら、今日一日の幸せをかみしめながらじっくり味わいたい。至福の時を味わう佳酒である。
   
7.緑川 酒造(新潟県)   緑川「北穣吟醸」            原料米;北陸12号、精米歩合;50%  【日本酒度】+4.5 【酸度】1.5  1.8L @4,790(税込)
 A;味3−、B;香り3、C;コストパフォーマンス3−、D;総合評価3−
E寸評;『北穣』は、地元新潟県小出町の農家と契約して「北陸12号」という品種を復活させて造ったお酒です。『北穣吟醸』は平成4年に登場以来、超人気商品に育って来ました。豊かさを秘めながらも、口あたりは非常に穏やかな珠玉の銘酒です。(メーカー談)
 さて・・・、一番の期待酒であったが、ひね香が出始め、残念ながらピークを過ぎた悲しすぎる様相を呈していた。残念。今度娘盛りの時に再挑戦。

 


号外2000年3月6日

    

 

 

 

 

 亀岡酒造(愛媛県) 純米大吟醸  長期熟成生酒 「銀河鉄道(=2001年 銀河の旅)」  原料米;みそぎ米 精米歩合;25〜50%  アルコール分:15〜16度 日本酒度:+7〜14 酸度:1.2〜1.6  720ml  \10,000 (1.8L  20,000)
 A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4
E寸評; 銀河鉄道(2001年イベント用ラベル=「2001年 銀河の旅」中身は同一酒)10年物古酒。私の掲示板に書き込みがあったお薦めの古酒を飲んでみた。愛媛県の亀岡酒造は古酒を主に造っている特殊な小さな蔵元で、色々実験的な試みをされている、進歩的(?)な蔵元である。
 さてその味は、私の一番嫌いな”ひね香”が無く、これが10年物かという位新鮮な味わいである。香りは奥ゆかしくわずかに感じ取れる程度であり、味は口に含んだ瞬間、もろみが炭酸を掃き出して居るかのような、まるで新酒をイメージするような辛口のピリピリ感がある。熟成酒独特の熟成感と芳醇さは無い。本醸造酒がベースかと思わせるほどで、新酒のような平坦さとバランスの無さが寂しい。熟成古酒ではなく、清楚な古酒である。その割りに1万円は高い。3000円クラスでも、もっと吟味された古酒が沢山ある。

 


 2000年2月26日

 

 

1. 神沢川酒造場(静岡県由比町) 活性生酒 「正雪 にごり酒」  原料米、精米歩合;不明  アルコール度数  18〜19  1.8L 2,150円 (税込)    
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+

E寸評; 先月飲んだ、吟醸うすにごり 「正雪(=しょうせつ)」とは違うものである。
活性生酒でまだ酵母が生きているので、底の方から炭酸ガスが浮き上がってくる、しっかり白濁したもので、蓋にガス抜きの穴が2個あいている。
 新酒絞りたてというか、まだ絞っていないと言うか、判断に困るが、白濁した口当たりの違和感はなく、炭酸のピリピリした味が口中刺して回る。炭酸の引いた後に甘味と酒の旨味がジワーと広がり、ふな口でテスト酒を飲んでいるような贅沢さを味わう。吟醸酒に負けない品性も高く、今しか味わえない、贅沢な酒である。

                                        

 

 

2. 府中酒造(茨城県石岡市)  無加圧あらばしり 本生「太平海(たいへいかい)」  原料米;五百万石 精米歩合;55% アルコール分:16.9 日本酒度:+2 酸度:1.5 1.8L \3,100 (税込)
A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;一回限りの360本限定の商品です。今回の会での人気が1番の酒であった。抑えめの香りと戻り香のすがすがしさ、品性豊かな味と、図太い感性と、その中に含まれる5味がざわざわとおしよせ、これでもかという風情があり、心配なしに付き合える、良き友である。生牡蠣が誠に良く合い、牡蠣がこんなに旨い物かと改めて感心する。

                                                       

 

3.加茂福(島根県石見町) 「死神」  詳細不明  1.8L \3,000 (税込) 
A;味2、B;香り1、C;コストパフォーマンス1、D;総合評価2−

E寸評;ある雑誌”特選街”の最近号で、評論家より大変評判が良かった吟醸酒で、ネーミングもさることながら、大変個性的な物であり、薦めたく無いと言う酒屋のふれこみの酒。
 ヨイショ記事の典型で、出荷時期の表示もなく、ひね香がぶんぶん、酒の色もベイジュ色から茶色に近い色に変質して、飲める状態ではない。”死神”ではなく死に酒である。騙されるのを承知で、購入したが、これほどとは思わなかった。蔵元の酒管理及び姿勢が問われる。またこれをヨシとした、評論家も同罪である。

                                       

 

4.小林酒造(栃木県小山市) しずく絞り純米吟醸 火入れ生詰「鳳凰 美田」  原料米;雄町 1.8L \2,800 (税込)
A;味4+、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;これは「太平海」にも負けない強い力を持っている。そしてこの値段、絶対お薦めの吟醸酒である。純米酒の欠点が何処にも見あたらず、アルテン吟醸酒が見劣りする程良くできた酒である。フルーティーで上品な吟醸香に包まれ、戻り香の素晴らしさと、喉ごしの爽やかさは絶品である。玉のような味とはこの事ではないか。味は、食後酒にしてもイイくらい、濃厚で力強いものを持っている。ゴクゴク飲むにはもったいなく、一口ずつ味わって飲んでほしいほど、良くできた吟醸酒である。

                                            

 

 

5.銀盤酒造(富山県黒部市 0765-54-1181) 銀盤吟醸 生貯蔵酒「しぼりたて」  原料米;山田錦 精米歩合;50%   720ml @1,020(税込)
A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;これも新酒で、この時期にしか飲めない”初物”である。と思い購入。
 新酒独特の荒れた味と不安定さが無く、栴檀は双葉より芳しいとか、秀才は若くとも秀才であるように、誠に素性も良く丁寧に造られた吟醸酒である。飲んでいても新酒の風情がない。もしかしたら、ラベルの「しぼりたて」はネーミングで本当は貯蔵熟成酒かも知れない。 どちらにしろ、これだけの原料米と精米歩合で\1,020(税込)は安い。 蔵元の意気込みと、酒に対する情熱が彷彿としてくる。
 後日特記:蔵元へ問い合わせたところ、まぎれもなくこの時期の新酒で、春先までの季節限定品とのこと。新酒でこれだけの味わい風情を持っていることに、改めて感動する。

                       


明治・大正


昭和・平成

 

おまけ; 〜111年の歴史を1度に味わう4つのラガー〜
      「明治」「大正」「昭和」「平成」の中びん(500ml)4本セット

 明治・大正・昭和の各時代の味を再現したラガービールをお届けする「復刻ラガーキャンペーン」を1998年、1999年と実施し、たいへんご好評をいただきました。(キリン談)「ラガー ザ セレクション」は、「復刻ラガーキャンペーン」の期間中、お客様から寄せられた「ぜひ販売してほしい」というご要望におこたえし、明治から平成にいたる各時代の味わいを4本セットで発売するものです。

「明治」は、麦芽とホップの香りが豊かで、苦みがきいた重厚な味わいが特長です。
「大正」は、副原料に米を使用し、コクの強い芳醇な味とワッペン型のラベルが特長です。
「昭和」は昭和初期の味を再現したもので、苦みとコク、芳醇さに切れ味が加わった味わいです。
「平成」は現在ご愛飲いただいているキリンラガービールで、メインラベルを特別デ
ザインの2000年記念ラベルとしました。
なお、今回の商品に関しては、環境対策の観点から、通常の中びんを使用しております。

寸評;面白い味の違いだが、吟醸酒ほど大きな違いは無い。パーティーでワイワイ言いながら飲むと、面白く座が沸いてくる。


6.前回好評だった、河野合名(会津若松市) 吟醸・熟成酒「春高楼」 をまた飲む。
いいとこの”熟女”に再会できたことを感謝する。



番外 2000年1月30日

◆こんにゃく焼酎 美峰酒類(高崎市) 「大地喝采」  こんにゃく10%以上20%未満、原材料名 米・こんにゃく芋・米麹、アルコール分25度、 700ml 800円 (物産展にて)
A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3+

E寸評;無色透明の液体からは米焼酎の旨味と香りがする。ストレートか水割が旨い。さっぱりした日本酒の趣があり、日本酒の好きな人は抵抗無く、楽しく飲める。ただし、日本で初めてというこんにゃく入の焼酎というものだが、当然と言えば当然だが、こんにゃくの味はしない。ラベルが無ければ、ごく普通の米焼酎である。日本のこんにゃく生産量1番の生産地・群馬ではの酒である。

 


 2000年1月22日

1.河野合名(会津若松市) 吟醸・熟成酒「春高楼」   原料米;八反錦 精米歩合;50%  1.8L @3,000
 A;味5、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;日本で一番小さな蔵元(また出てきた)と自称。ラベルも大奥様が手作り、一枚一枚墨痕鮮やかに和紙に手書で作られている。3年物と聞いているが、私の大嫌いな”ひね香”もなく、芳醇で、奥深い味わいと、造り手の品性がうかがえ、含み香の素晴しさはこれぞ吟醸酒と言うとこであろう。この値段で出荷される蔵元の良心がひかる。いいとこの”熟女”此処に有り。

2.いそのさわ(福岡市博多) 吟醸生酒 「駿(=しゅん)」   原料米;山田錦20%、レイホウ80% 精米歩合;55%    1.8L @2,650
 A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4
E寸評;味も香りもひつこく無くさわやか、食中酒としては大変イイ。晩酌にはもったいない位に良くできているし、この値段では上出来である。吟醸酒ぜんとしていなく、米の旨味も程良く出ている。

3.秋鹿酒造(大阪府) 純米大吟醸酒 「大海の一滴」   原料米;山田錦 精米歩合;50%   720ml @3,000
 A;味4+、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;フルーティーな吟醸香がたまらなく良く、これだけで吟醸酒の世界にはまり込んでいるという感覚になり、口中での旨味がまた押寄せてくる潮のごとく何遍も広がり、山田錦の貫禄と品の良さを感じさせる。

4.萩野酒造(岩手県遠野市) 純米吟醸酒 「遠野物語」   原料米;星あかり 精米歩合;50%   720ml @2,000
 A;味3、B;香り3、C;コストパフォーマンス3−、D;総合評価3−
E寸評;東北電力研究開発センターで地域産業活性化を目的として開発された、新品種酒造米『星あかり』の実用化に向けて、その成果を問うべく、最高の技を擁して試験仕込に取組み、平成11年・東北新酒鑑評会で見事に優等賞を受賞。この栄誉を分ち合い、また、『星あかり』の素晴しさを広く御理解頂くために、特別限定品として極めて少量ですが、出会いの場面を演出致しました。新たなる米、そして人と技が織りなす味の妙を、心ゆくまでお楽しみ下さい。(裏ラベルから)。
 そして飲んでみないと酒は、受賞も、技術も関係ないことが判る。味は平坦薄っぺら、香りも希薄。人には勧められない。今回の会で、飲手が付かず、一番残量の多かった(人気が無かった)もの。嗚呼。

5.神沢川酒造場 (静岡県由比町) 吟醸うすにごり 「正雪(=しょうせつ)」   原料米;兵庫山田錦 精米歩合;50% 酵母 静岡吟醸酵母 HD−1  1.8L @2,960 
 A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4
E寸評; 淡く白濁した液体の中から、酸味のきいた若々しさと、ふくいくとした旨味が口中に広がる。飲干した後爽やかさが残り、次への声「もう一杯」が聞えてくる。ゴッツイ料理にも良く合う味わいを持っている。


6.府中酒造(茨城県石岡市)  純醸ふなしぼり 生詰 「渡舟」   原料米;地元産・渡舟 精米歩合;50%  1.8L@4,100 
 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;この醸造米も日本でここだけの生産(農家に委託生産されたもの)、その全量を使って醸造されている物。この蔵元さんは過去にも自主生産米を使って、吟醸酒造に挑戦したり、大変進歩的な蔵元で、その代表的な吟醸酒を飲む。
 青リンゴにも似た吟醸香とほんのり酸味のきいた辛口タイプ。会では一番最初に飲干されてしまい(一番人気があった)、私も酔ってた勢もあり、細かいニアンスを感じる前に無くなってしまい、コメントがおおざっぱでスイマセン。

                


 

        <先頭に戻る>   §酒のトップページに戻る§    <<1999年版に移動>>