その後の、白鶴酒造さんからの返事

 6月24日に白鶴酒造お客様相談室 中井 進室長が自ら上京して来て、私を訪問して下さいました。

 当日雨の強く降る一日で、新幹線のお疲れの様子も見せず、快く応対していただき、日本酒のこれからについて熱い話合いが、空模様とは反対に気持ち良く持てたことを最初に報告しておきます。

二度目の私からのメールに答えるかたちで始まり、内容は要約すると次のようになります。
           
1.まず、全面的に対応の悪さ及び商品の悪さについて、改めてお詫びをいただく。

2.私の誤解から。
 白鶴さんでは出荷商品の全品に対し1年6ヶ月間のサンプル在庫をしていて、流通在庫の検品をせずに、自社内のサンプルからその酒の今の状態をつかむことが出来るそうです。最初のメールではそのことが出来ていませんでしたが、2度目のメール後にはその確認が取れたとのことです。食品を扱う大メーカーは違う事か判る。
 次に、” 貴お客様相談室は車で例えるとバンパーみたいで、社内を守るために有るようで、真の消費者の為の窓口とは思えないのです。いただけません。 フロントガラスのように外の本当の情報を変化させずに、社内の各責任者に伝えなければ、真の お客様相談室となり得ないでしょう。”との私の意見ですが、そのような事実も考えも無いとの事です。

3.改善の糸口として。
 日本酒の商品寿命は現在、社内では1年半と見ているが、これを「賞味期限」としてラベルに表示し、期間も詰めて、1年位で、実施したいとの意向が今社内では有るとのことです。良いことです、早く実施して下さい。(小売店側の反対が有るようです)

4.白鶴さんの現状の商品構成は普通酒が大部分で、吟醸酒は1%位の出荷量です。
生産石高の実数は失念しましたが、中小の蔵元から比べれば桁が数百から数千倍も違う事は事実です。それでも、全国規模の市場占有率から見れば1〜2%(謙遜もある数字だと思いますが)で、競争の激しい日本酒業界では、当社1社では解決のつかないことが多すぎるとのことです。
 ただ、私から、業界での取り組み、特に日本酒では生産量・ネーミング(知名度)がずば抜けて高い、灘の蔵元。灘の日本酒組合に加盟している蔵元さんが約40社有り、そこが本気になって日本酒の今後について検討・実施をしてくれたら、日本酒にも明るい光が見えてくると期待します。
 灘にある有名な蔵元を今年の鑑評会受賞蔵からいくつかピックアップしてみると。

沢の鶴 沢の鶴株式会社西蔵
松竹梅 寳酒造株式会社灘工場
白鶴 白鶴酒造株式会社本店三号工場
福壽 株式会社神戸酒心館福寿蔵
富久錦 富久錦株式会社

全国的な大手さんが並んでいるのが判ります。
近所には大関・白雪・日本盛・多聞・白鷹・富久娘・白鹿なども有ります。

5.出来ることと出来ないこと。
 蔵元としては、社内の整備、商品の開発研究、日本酒への前向きな取り組み、企業としての姿勢、などいろいろと取り組まれ、出来ることは速やかに取り入れ、新しいニーズに対応できる姿勢を確立できるように頑張っているとのことです。
 しかし、流通業界を通して、今も商品が当然流れ販売されているが、ここの改革は、いち蔵元の力では何ともしようがない。旧態依然の体質が有り、ここはここで、一つの業界であり、過去からのしがらみ、売れる(名の売れた)物、利益の上がる物には力を入れるが、そうではない物には、勉強不足が見られる。特に吟醸酒のような特殊品に対してはそれが顕著に現れる。今回のクレームの発端もここから来ている。メーカーにしてみれば当然問屋・小売店はお客様で、どうしてもわがままを聞かざるを得ないところがあるようだ。
 商品はメーカー・流通・消費者のルートで流れているが、いくら良い商品をメーカーが造っても、それを確実に消費者に提供できなければ、その業界は自滅の道を歩むのは歴史が証明している。全く新しい形態の流通が台頭し始めている現在、昔からの方法では限界があるのかも知れない。流通業界も改革、頭の切り替えをしないと、今の社会から取り残されるでしょうし、現にその兆候が見えてきています。
 例えば、自動車のホンダではレーシング用品・部品の供給は別会社の”無限”で供給販売されている。一般のデーラーを通さずに、それの良く判った部門が直接それを最終消費者に手渡している。 YAMAHAでもピアノはピアノ部門で、バイクはバイク部門で、オーディオは音響部門でと言うように、それが良く判った部門が取り扱っている。吟醸酒でも別部門で、または別販売会社で取り扱い、今までとはしがらみのない、新しい流通経路を開拓すればいいと思う。すでに銘酒を出している複数のうちのある蔵元では、小売店を吟味選別して直接卸している所もある。

6.しかし、業界全体から見れば、どこかの蔵元が最初にしなければならないので、やれるところはやりたい、との話。


 話し合いの中で判ってきたことは、生産者と流通業者とがばらばらで、生産者は流通業者に任せてしまえばその後は分からず、また流通業者は簡便で利益の高い物に偏向して、日本酒の置かれている大変な現実をまだ認識できていないようだ。または、見て見ぬ振りをしているのかも知れない。「だめならビールでも焼酎でもワインでも有るさ」とでも思っているように見える。両者とも目先のことで手一杯で、真の日本酒の有るべき姿がどうあるべきか、これからの日本酒の展望が見えていない。結果、ここ5年間で生産量言い換えれば消費量を約2割も落とすという、大変なことになって表れている。

白鶴酒造さんへの件はこれにて終わりにします。


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