最近呑んだ吟醸酒について
   
      

2002年1−3月分                     

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  これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
 

   ◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。


 2002年3月30日(土)

 

 

 

1.本田商店(兵庫県・姫路市) 純米吟醸しぼりたて 「龍力 神力」 
原料米;神力  精米歩合;−% 【アルコール分】18〜19度  1800ml @3,000 (税別)
A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4(燗時4+)
E寸評;  神力というのはお米の名前で、明治時代にお米の全生産量の20%を占めていたお米で、山田錦のルーツの一つです。 当 時としては、非常に優秀なお米で、この米は神の力によって出来た米として「神力」と名付けられたという事です。 龍力はその発祥の地のすぐそばの蔵元で、最近になって苦労の末復活に成功しました(酒販店説)
 酸味が強く重く華麗さが無い。手が伸びない。しかし当時の酒としては一級品であったのであろう。昔懐かしい(?)味わいなのであろうか。当時の飲み方として人肌に燗をしたら、優しく柔らかくなった。あれだけ飲みにくい酒が、完売となった。

 

 

 

 

2.酒田酒造(山形県)  上喜元 純米吟醸「亀の尾」 
原料米;亀の尾  精米歩合;% 【アルコール分】16〜17度  1800ml @3,000 (税別)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;  西の「神力」東の「亀の尾」と呼ばれ、西日本では「神力」東日本では「亀の尾」が栽培され、この対決はその子孫まで引き継がれ今では、「亀の尾」の子孫の「五百万石」、「神力」の子孫の「山田錦」が西と東、天下を二分する酒造好適米として君臨しています。(酒販店説)
 その「五百万石」の親父は丸く優しく好好爺のごとく穏やかで和ましてくれる。これも人肌に燗をしたら、なお優しく柔らかくなって完売となった。”ツッパリ”の「神力」と”好好爺”の「亀の尾」であった。

 

 

3.太陽酒造(兵庫県明石市)   純米吟醸 「赤石 たれくち」 酒槽しぼり
原料米;−  精米歩合;−% 【アルコール分】18〜19度  1800ml @2,286 (税別)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4
E寸評; カラメル(砂糖を煮詰めて出た焦げ味)  の味わいが甘みと香ばしさの基調になっている。濃い味の料理、焼き肉、中華料理にはピタリと合うでしょう。

 

 

4.本江酒造(富山県魚津市) 純米吟醸 「花夕月」  生酒
原料米;山田錦  精米歩合;50% 【アルコール分】16.8〜16.9度  【日本酒度】+2   【酸度】1.5   【使用酵母】 協会9号   1.8L \3,200(税別)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; 酒として充分美味いし香りも華やか、欠点もないが、花も実もない。華麗さと勢いがないのはどうしてであろう。

 

 

 

5.小島酒造店(栃木県塩谷町) 純米吟醸 「庵の梅 袋吊り」  生酒
原料米;山田錦+美山錦  精米歩合;55% 【アルコール分】17.3度  【日本酒度】+4   【酸度】1.5   【使用酵母】 協会9号   1.8L \3,600(税別)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; 小島酒造の今年度の酒としては秀逸。肩肘張らず、ごく自然に酒の旨さがほとばしる。雑味は無く品性正しく五味が見事にバランスし飲み飽きない。飲み手は正直、リピーターが多いので店頭で売り切れ寸前と言う。

 

 

6.酒六酒造(愛媛県内子町) 純米大吟醸 「思わず絶句」  
原料米;山田錦  精米歩合;40% 【アルコール分】15.0〜15.9度  【日本酒度】+5   【酸度】1.25   【使用酵母】 協会9号   1.8L \5,340(税別)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4
E寸評; これも、欠点もないが花も実もない。華麗さと勢いがない。過日の味わいを知っている者にとっては久しぶりの再会にガッカリ。今の生活が顔にでたのか、クラス会で過日のあこがれのマドンナが暗く、くすんでいるのには、回りの視線にこちらも心を痛める。

 


2002年3月14日

 

 

1.小堀醸造店(石川県鶴来町) 大吟醸古酒 「萬歳楽 白山」 
原料米;山田錦  精米歩合;40% 【アルコール分】16〜17度  720ml  @差し入れ
A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス差し入れ、D;総合評価4
E寸評;  古酒のひね香は出ていません。古さもありません。飲み後の酸味がきつく、五味がたっぷり詰まっていますが、その絡み合いが無くそれぞれの味がバラバラに主張して譲りません。味は丸くなっていますが、重くお代わりの手が伸びません。化粧箱入りで高かったでしょうに。   

 

 

 

 

2.雑賀豊太郎商店(和歌山市友田町) 純米大吟醸 「純大 雑賀(さいか)」 本生無濾過
原料米;山田錦  精米歩合;麹米45%、掛米50% 【アルコール分】16〜17度   【日本酒度】+2.0   【酸度】1.6         1.8L 会友 推薦酒
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス、D;総合評価 5
E寸評; 香りと味が真に渾然一体となってバランスし、どれも最上点でハモッテいる。大きな輪郭の中に甘く優しくそれでも、そこからはみ出すぐらいに存在感を醸している。当然山田のボリューム感、精米歩合から来る雑味の無い品性の良さ、造り手の品格の高さ、どれをとっても一級品です。この酒もマスコミに乗ったら、我々の手の届く範囲から飛び出してしまうでしょう。飲むなら今。3千円台からはみ出した、記憶すべき銘酒。一期一会、酒の神と杜氏さんと紹介してくれた仲人に感謝。

 


2002年3月3日(日)

 

1.初亀醸造(静岡県岡部町) 吟醸 「初亀」 
原料米;−  精米歩合;−% 【アルコール分】15〜16度  【日本酒度】+3.0   【酸度】1.2   【使用酵母】 協会14号+静岡酵母   1.8L \2,890(税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4
E寸評; 大変丁寧に造られた吟醸酒で、味もしっかり爽やか、香りは穏やか。五味がバランスして品性豊か、雑味が無く安心して料理と合わす事が出来る。

 

 

 

 

2.豊盃醸造所(青森県弘前市)  純米吟醸酒 「豊盃 山田錦」
原料米;山田錦 精米歩合;55% (自家精米)  【アルコール分】15−16度  【日本酒度】+3 【酸度】1.7  【使用酵母】協会9号 1.8L  贈り物
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス贈り物、D;総合評価5
E寸評;友人から勧められた吟醸酒。昨年6月に飲んでオール5を付けた佳酒。今年はいかに・・。
 美味い!言葉が見つからずただ黙って飲むのみ。端麗でありながら旨味が五味ともそろってぎゅうと詰まっていて品がある。上立ち香はあまり無いが、口中で弾け華やいだ味わいに変わる。のどごし爽やかで雑味が無く切れが良い。今年もやはり、今宵もこの美女を抱きつつ桃源郷に遊ぶことにしよう。
勧めてくれた友人の味わいの高さに敬服と感謝をする。彼からの情報によると、ある情報雑誌で★五つを付けたため、売り切れ直前にあるという。マスコミの力は偉大です。内緒話、3,000円では考えられない コストパフォーマンスを持っている。

 


  2002年2月23日(土)

 

1.濱川商店(高知県田野町) 純米大吟醸 「美丈夫(びじょうふ) いながら」 生源酒
原料米;松山三井  精米歩合;50% 【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+3.5   【酸度】1.45   【使用酵母】KA−1   1.8L \3,150(税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; 琥珀色の中から馥郁とした旨味が湧き上がってくる。純米の特徴で香りは少な目、アルコール度数が高い分切れがある。口中に何時までも高い酸味と渋みが残る。

 

 

2.瀧自慢酒造(三重県名張市) 純米吟醸 斗瓶取り 「瀧自慢」  備前雄町
原料米;備前雄町 精米歩合;50%   【アルコール分】16〜17度  【日本酒度】+3 【酸度】1.4  1.8L @4,095(税込)
 A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4
E寸評; 酒販店で約く2年寝かせた物(00年5月蔵出荷)。前に飲んだ素晴らしい感動を与えてくれた雄町の味わい品性がガンガンと伝わってくる。しかし残念ながら歳をくいすぎて、ひね香は無いもののだらけている。育ちも能力も有るのに、シェイプアップを忘れた奥様の様に活力を無くしている。

 

 

3.大澤酒造(長野県望月町) 純米無ろか生原酒  明鏡止水「垂氷(たるひ)袋吊り」  
原料米;ひとごこち 精米歩合;55%   【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+2 【酸度】1.5  1.8L @2,730(税込)
 A;味4+、B;香り3+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評; 琥珀色の日本酒らしい良い顔色をしている。吟醸酒らしい旨味がほとばしり、飲んだ後の戻り香も素直。また、酸味がきつく、アルコール度数が高い分切れがある。この値段では造り、味、品性はベストでしょう。

 

 

4.神戸酒心館発売(神戸市)  純米吟醸 「」 無ろ過生原酒
 原料米;山田錦 精米歩合;55%   【アルコール分】18〜19度  【日本酒度】+4 【酸度】1.7   1.8L  3,200円(税別)
 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; やる気のある酒販店が集まって、蔵元に作らせた吟醸酒。ラベルもシンプルで若さがあり、酒質もその通り元気です。香りは弱いながら酒質で挽回しています。山田錦の旨味がぎゅーっと詰まっています。アルコール度数が高いのを忘れさせます。美味しいと思って飲んでいると酔いますよ。



   

 

 

5.浜福鶴銘醸(神戸市東灘区)  純米吟醸 「空蔵 雄町」 無濾過生詰め 
原料米;雄町 精米歩合;50%   【アルコール分】17度  【日本酒度】+5 【酸度】1.6  1.8L @3,900(税別)
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5
E寸評; いつも安心して飲める数少ない佳酒の一つです。今回も堂々とした味わいと、品格の高さには脱帽です。このお酒についてはコメントがいらないほど完成された旨味は秀逸です。強いて欠点は3本買わないといけない事でしょう。1本目は今飲む分、2本目は半年から1年後に熟成感を見るために、3本目はその時良ければ、また開ければいいでしょうし、まだ堅い様でしたらまた寝かせて、その時飲むための3本目でしょう。
 

 

 

 

6.名手酒造店(和歌山県海南市) 純米酒 「黒牛(くろうし)」 本生無濾過原酒 
原料米・精米歩合;麹米・山田錦50%精白/掛米・五百万石60%精白55%   【アルコール分】18〜19度  【日本酒度】+ 1 【酸度】1.7  720ml @1,286(税別)
 A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4
E寸評; 柔らかい旨味が口中いっぱいに広がります。アルコール度数が高い分切れがあり、酒の強さが舌に感じ取れます。黒牛のネーミングからは鈍重なイメージを感じますが、そんなことはありません。(もっと、牛を食べよう。いえ、飲もう。)
 

 

 

7.喜多酒造(滋賀県八日市市) 喜楽長 「辛口 純米吟醸」 生酒 
原料米;− 精米歩合;−%   【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+ 14.0   720ml @差し入れ
 A;味3+、B;香り3、C;コストパフォーマンス差し入れ、D;総合評価3+
E寸評;日本酒度+ 14.0 を売り物にしている吟醸酒。異端児が居ても良いでしょうが、吟醸酒はバランスの物で、ただ辛ければ良いというのはどうでしょうか。


 

 

8.喜多酒造(滋賀県八日市市) 特別純米吟醸 喜楽長 「杜水(とすい)」 生酒 
原料米;− 精米歩合;−%   【アルコール分】16度   1.8L \2,730(税込)
 A;味5、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評; 今回意識してませんでしたが、すべて純米酒になっています。純米酒の切れの弱さをアルコール度数を上げることで補っていますが、この「杜水」は16度。いろいろ飲んできてテンションの上がってくる中、何故かホッとさせます。飲みやすい度数というものが有るのでしょう。決してシャバシャバ感はありません。旨さも充分感じさせます。旅から帰って、家でくつろいでいる様な感じで、良くできた古女房と言ったら、言い過ぎかな。

 


 2002年2月2日(土)

 

   

1.英君酒造(静岡県庵原郡由比町)  大吟醸生 「英君」 斗瓶囲い
原料米;兵庫県山田錦、精米歩合;40%    【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+7  【酸度】1.2  1.8L   贈答品
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス−、D;総合評価5
E寸評; 淡い琥珀色の中から旨さが湧き上がってきます。品性豊かで凛とした風情が伺えます。香りもじゃまにならず、酒質を引き立てます。何も言わずに唯ゝ黙って飲むのみ。甘露甘露。「鬼も十八、番茶もでばな」今が最高、酔いしれています。
 (下の記事にある様に、蔵元より送られた同級の吟醸酒です。蔵元が自信を持って嫁に出しただけの内容はあります。)

 

 

2.天界酒造(島根県安来市)  純米吟醸無濾過生原酒 「天界」 
原料米;神の舞、精米歩合;−%    【アルコール分】17〜17.9度 720ml  贈り物
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス−、D;総合評価4+
E寸評; わずかに酒の琥珀色を見せて、新酒なのでしょう、独特のフレッシュな酸味と旨味が口中を駆け回ります。香りは後からわずかに着いてきますし、独特の清涼感は季節を感じさせます。派手さは有りませんが後からジュワーッと旨味が湧いてきます。

 

 

 

3.月の輪酒造店・横沢大造(岩手県柴波町)  生酒 「滓酒(おりざけ)」 
原料米;−、精米歩合;−%    【アルコール分】18〜18.9度   900ml 贈り物
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス−、D;総合評価4
E寸評; 牛乳の様な純白に濁った活性生酒。酵母が生きているので王冠に小さな穴があいている。いろいろな吟醸酒の滓の部分を集めた滓酒。一口目、旨さと香りが口中に広がり、白濁した違和感はない。米の旨さと酒の旨さがぎゅーっと詰まった酒です。この時期にしか飲めません。ですから、爽やかな酸味が心地よく感じられます。家の冷蔵庫はラッシュアワー、立ててしまうのに陣取り合戦です。

 

■1月に飲んだ吟醸酒の内3本に時間がたちすぎ劣化し、酸味が出ているものがありました。実のところ喜んで飲める状態ではなかったのです。
 蔵元さんにその事で本名で電話をして出荷の状況、また姿勢について聞きました。1/28その時の状況は

1.英君酒造秘蔵おり酒」  社長さんが電話口に出られ、春先に全量出荷されたのですが、預かり分が未消化となりこの時期に地元の酒屋さんに改めて出荷されたものです。そのため全品封がされて商品状態になっていたうえ、少量だった為検品せずに出荷されたものです。私の 飲み残しのお酒を送り返しましたので、改めて味を確認するとのことです。どの様なことがあっても、そのような商品は売りに出すようなことはしないとのことです。

 2月1日この件について、専務様よりご返事がありました。良ければクリックして誠意ある内容をご覧ください。

2.弥彦酒造越乃白雪」  営業の担当者が電話口に出られました。 元の酒は評判がいいので大部分が早い時期に売り切れたそうです。しかし、酒販店の方から酒に個性がないので何とかしてとの依頼があり、一部を寝かせて古酒としたものです。酒販店からの評判はよかったのですが、一抹の不安はあったようで、 これが個性と、劣化した酸味は承知していたようです。古酒にするにはこのタイプの酒ではだめなのも、分かっていたそうです。これからは社内で話し合い、自分たちが良いものと判断した酒を出荷したいとのことです。(私見;わざわざ顔に傷を付けて、嫁に出さなくても、と思います)

 先月の「純米吟醸原酒”無濾過”」に付いては、蔵元説明ではラベル通りだそうです。
 また、何人かの読者からこの件についてご返事のメールをいただきました。励ましや業界の裏話や経験談などをいただきました。お礼申し上げます。

3.神沢川酒造場正雪」  担当者のお名前はお聞きしませんでしたが、責任ある回答をいただきました?。  最初、出荷時期は綺麗な酒であったがお客様(私吟醸)の手元に着くまでの1ヶ月の内に流通段階で変質したと言います。たった1ヶ月ぐらいで変質するものか再度伺いましたが、何とも言えないとの回答。酒販店に在庫があれば回収して検討してみたいとのことです。でも、他の酒では絶対この様な事は無いとのことです。またこの様な酒を出荷するようなことは無いとの事です。

 

◇ どの蔵元さんも素晴らしい吟醸酒を世に数多く送り出している、名門です。過去の吟醸酒の良さも私は分かっています。ですから、なおさら悲しいのです。一本のダメ酒によって今まで築いてきた信用が簡単に崩れてしまいます。その上、信用して購入している飲み手のお客はこんなものが日本酒かと思い、日本酒離れを加速するだけです。不味いものしか提供が出来ない蔵であれば次回から買わなければいいだけの話。これだけの優秀な蔵だからこそ、あえて厳しく苦言を言います。例えは正当ではないかと思いますが、消費者のことを忘れた雪印や三菱自動車の様にはなってほしく ないからです。


 2002年1月26日(土)

 

 


    

 

1.英君酒造(静岡県庵原郡由比町)  英君大吟醸 「秘蔵おり酒」 (綿袋吊し搾り雫酒)斗瓶囲い
原料米;兵庫県山田錦、精米歩合;40%    【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+7  【酸度】1.2  1.8L   7,350円(税込)
A;味3+、B;香り3、C;コストパフォーマンス3−、D;総合評価3+
E寸評;☆2001年、大吟醸鑑評会出品酒です(酒販店談)。しかし、入選したわけではなくエントリーしただけでしょう(酒名も違い酒質からすると想像できない)。
 おり酒ですから当然白濁していますが、瓶の色がでたのかと思うほどグレーに近い酒色をしています(初めて見る色です)。口に入れた瞬間はまろやかな旨味が パーッと広がりますが、すぐに品のない強い酸味が舌を刺し旨味の感覚を帳消しにしてしまいます。新酒の時のさわやかな酸味とは異なり、酒質が変化したのではないかと思われます。香りはわずかに吟醸酒を思わせる程度にしか付いていません。
 今飲む酒ではなく、エントリーした5月頃に飲むべき酒でしょう。英君の上質酒を知っていますが、出荷時期の間違いでは無いでしょうか。辛い評価をしたのは蔵元の何故この時期まで寝かせておいたのか問いたいからです。 秘蔵してはいけません。

 

 

2.弥彦酒造(新潟県西蒲原郡弥彦村)  純米吟醸原酒”無濾過” 「泉流 越乃白雪」 びん火入れ【11BY】
原料米;兵庫山田錦特A 精米歩合;50%   【アルコール分】16.5度   【日本酒度】+5  【酸度】1.3  1.8L  \3,990 (税込)
 A;味3、B;香り3+、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3+
E寸評;雑味が多く、純米酒なのにアルコール臭がする。  これもいやな酸味が立ちすぎて味のバランスを崩している。いつまでもこの酸味が口中から離れない。人肌に燗をしてみたが変わらなかった。ひね香はしないが、これも蔵で寝かせすぎでしょう。

 

 

3.府中酒造(茨城県石岡市) 吟醸 無加圧あらばしり 「太平海」   
原料米;五百万石 精米歩合;55%   【アルコール分】16.9度  【日本酒度】+4 【酸度】1.5    1.8L  \3,100 (税込)
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;堂々とした貫禄と風格。他を圧倒して寄せ付けない旨さ香りどれをとっても秀逸です。安心して付き合える暖かい友の一人でしょう。  
 会で空になったのはこの酒だけでした。
 

 

 

 

4.神沢川酒造場(静岡県由比町) 吟醸 「正雪」  吟醸うすにごり
原料米;兵庫山田錦  精米歩合;50% 【アルコール分】16.3度  【日本酒度】+7   【酸度】1.3     1.8L \2,960(税込)
A;味3、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3
E寸評;おりが瓶の下に沈んでいました。正雪独特の味わいと香りでしたが、瓶を振っておりを絡ませ再度飲むと、いけません。普通おりを絡ませると甘みと米の旨味が口中に広がるのですが、この白濁した正雪にはがっかりです。なお飲みにくくなったのです。人肌に燗をしても取れず、やはり寝かしすぎが原因ではないかと思われます。おりを絡ませる難しさが出たようです。

 

 

 

5.大澤酒造(長野県望月町) 純米吟醸  「明鏡止水」  
原料米;− 精米歩合;−%   【アルコール分】16〜17度  【日本酒度】+2 【酸度】1.6  1.8L @2,755(税込)
 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;「明鏡止水 」ネーミングが秀逸で期待をして飲んだのですが、裏切られず楽しく飲むことが出来ました。良い意味で、これといった特徴はありませんが、濃厚ふっくらで味も香りも一級品でアル添酒なみの華やかさがあります。
 この蔵元の吟醸酒にはこの価格帯の酒が集中しています。今度上級価格帯の吟醸酒にもお相手を願いたいと思います。


 

 

■ここで、会で話題になったことがあります。ラベルの「純米吟醸原酒”無濾過”」について

 純米吟醸は当然混ぜものがない事の証ですよね、ところがアルコール臭がするというのは何故でしょう。本当に純米?
 原酒とは加水もせずに出来たままを提供する酒のことですよね。通常原酒であればアルコール度数が20度前後まで行っているものです。その原酒に加水してバランスを整えて製品にします。それがこの吟醸酒では16.5度、一般的に飲みやすい度数で仕上がっています。こんな低い度数で仕込みを終わらせるものでしょうか。本当に原酒?
 無濾過、通常絞った後タンクに貯蔵すると、フィルターから浸み出たごくわずかなもろみ成分”おり”が沈殿します。タンクの上部から瓶詰めすれば清澄な酒が取れます。下から取れば当然おり酒になります。どちらも濾過していないので、無濾過になるのでしょう。だとすれば清澄な酒とフィルターを通した清澄な酒とはどう違うのでしょうか。蔵元からすれば1行程省けるしフィルター臭が付かないので良いでしょうが、消費者からすると”無濾過”に対する意味付けをどの様に考えればいいのでしょうか。
 この吟醸酒を振って猪口に注いでも全く清澄です。本当に無濾過?

 雪印○○のように表示に?が付くようではいかがなものでしょうか。私達消費者はラベルを信じて買うことしかできません。私の薄学が間違って指摘しているとすれば、どうぞ反論、ご教唆ください。
その時はここで訂正して謝罪します。


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