最近呑んだ吟醸酒について
2004年4−6月分
これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。
A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。
私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。>>ここで飲まれている吟醸酒の購入元をお知りになりたい方は、メールをいただければ、早い時期(忘れない内)なら、販売店をご紹介いたします。<<
吟醸酒の会へのお誘い ↑上のボタンを押すと、ご案内のコーナーに行けます。
◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇
7月例会予告 2004年 7月31日(土)
2004年 6月26日(土)
1.本江酒造(富山県魚津市) 吟醸酒 「かげろうの花」 生酒
原料米;山田錦60%+五百万石40% 精米歩合;50% 【アルコール分】15.5度 【日本酒度】+3 【酸度】1.2 【酵母】協会9号 1.8L 2,856円(税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4
E寸評; 数年前の「かげろうの花」とは中身が違います。名人と言われた丸山杜氏が醸していた時の絶品酒とはイメージが違います。杜氏が替わって早3代目、どうしても味わいが替わるのは仕方がない事かも知れません。淡麗爽やかです。
2.澄川酒造場(山口県田万川町) 純米吟醸 「東洋美人」
原料米;山田錦 精米歩合;50% 【アルコール分】16度 1.8L 3,465円(税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価4
E寸評; 可もなく不可もないお酒。甘口、味わい薄く、水っぽく感じる。これが料理に合うと言えば、それはそれです。発行部数15万部を誇る情報誌「ダンチュウ」2月号で取り上げられて、評判を取ったお酒。
3.酒田酒造(山形県酒田市) 純米吟醸 「酒田上喜元 雄町」 中取り
原料米;雄町 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \3,883 (税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価 4+
E寸評;品のいい酸味が口中を駆けめぐり、雄町らしい柔らかさと暖かみを感じます。
4.磯自慢酒造(静岡県焼津市) 純米吟醸 「磯自慢 山田錦」
原料米;山田錦 精米歩合;麹50%、掛米55% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+4〜+6 【酸度】1.3 【使用酵母】自社培養酵母 1.8L @4,200 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 嬉しすぎて何を語ればいいのか言葉が見つかりません。絶世の美女ゲット。五味のバランス、品性、芳醇さ、味わいどれを取ってもピカ一です。この吟醸酒の魔性にはまったら、抜けられない。そのままその美女と暮らす事にしましょう。それは幸せか、不幸の始まりか。
5.酒六酒造(愛媛県内子町) 純米大吟醸 「思わず絶句」 関谷オリジナル酒
原料米;山田錦 精米歩合;40% 【アルコール分】15.0〜15.9度 【日本酒度】+5 【酸度】1.25 【使用酵母】 協会9号 1.8L \5,607(税込)
A;味3、B;香り3+、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3+
E寸評; 初恋の女性には逢わない方が良いという諸先輩達の忠告を無視して、久しぶりのご対面です。期待充分、思わず握手。まではヨカッタのですが、昔のお前ではないので絶句!
「かげろうの花」生に負けているお前が悲しい。
6.八海醸造(新潟県六日町) 吟醸酒 「八海山」
原料米;− 精米歩合;50% 【アルコール分】15.0〜16度 1.8L \3,304(税込)
A;味4、B;香り3、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; 大手蔵のネームバリューが通った、誰でも知っている酒です。大手蔵の酒はなかなかこの会では取り上げる事がありませんが、今回あえて取り上げました。
流石、大手さんの造り、コンセプトが上手い。欠点部分を徹底的にそぎ落とし、造られています。どうしても個性が薄くなりますが、飲みやすさでは抜群です。昔の日本酒のイメージを踏襲しつつ、吟醸酒の世界に割り込んでいます。
2004年 5月29日(土)
1.富士高砂酒造(静岡県富士宮市) 純米吟醸 「備前雄町 高砂」 生酒
原料米;備前雄町、 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+6 【酸度】1.15 1.8L \3,360 (税込)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;雄町の柔らかさとまろやかさが上手く引き出されています。酸味がきつく後まで口中に残ります。
2.薄井商店(長野県大町市) 吟醸酒 「朋介(ともすけ)」 原酒生詰め
原料米;長野県産 安曇野契約栽培米・美山錦、 精米歩合;59% 【アルコール分】18〜19度 【日本酒度】+3 【酸度】1.5 1.8L \2,700 (税込)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;蔵元社長の実名からネーミングされた、銘酒市川オリジナル酒。2年古酒。
どこが古酒なのでしょうか、古酒の欠点は何処にも見当たらず、酸味のきつさから当年ものと勘違いするほどです。
3.薄井商店(長野県大町市) 大吟醸酒 「朋介(ともすけ)」 原酒生詰め
原料米;山田錦、 精米歩合;35% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+3 【酸度】1.4 1.8L \8,000 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;蔵元社長の実名からネーミングされた、銘酒市川オリジナル酒。2年古酒。
上記「朋介」に豊かなコク、深みのある味わいと、丸みを増した貫禄を加味したものが、この黒瓶「朋介」です。
4.丸本酒造(岡山県鴨方町) 吟醸 「かもみどり吟醸生原酒」 無濾過生原酒
原料米;−、 精米歩合;60% 【アルコール分】18〜19度 【日本酒度】+−0 720ml \1,500 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5
E寸評;2月26日に絞られたものです。キレ、コクがあり、旨味も充分に乗って飲み手を魅了しています。これなら1升瓶で買えばヨカッタ。
5.墨廼江酒造(宮城県石巻市) 純米吟醸 「墨廼江(すみのえ)」 中汲
原料米;山田錦+蔵の華 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 【使用酵母】宮城酵母 1.8L 3,150 円(税込)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; 2月に飲んだ時は味わい軽くて淡麗でしたが、味の乗りを期待してもう一度お相手を願ったものです。蔵元の管理がいいのか、期間が短すぎたのでしょうか、味わいの変化は認められませんでした。
6.神沢川酒造場(静岡県由比町) 純米大吟醸 「天満月(あまみつき)」 生貯蔵酒
原料米;酒母米・山田錦23%、掛米・吟ぎんが77%、 精米歩合;酒母米35% 、掛米50% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+2 【酸度】1. 2 1.8L \3,675 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 研ぎ澄まされた山田錦は取りつきにくさを出す事がありますが、吟ぎんがとの上手い取り合わせとバランスで、今までにはない飲みやすい吟醸酒に仕上がっています。仕上がったお酒をブレンドするのとは違い、計算の上、仕込み段階から異種酒米を使いこなし、いいバランスで仕上がった、特筆する吟醸酒です。五味がバランスし、柔らかく、香り味わい共に品性があり、飲み手を暖かく包んでくれます。
2004年4月24日(土)
1.丸本酒造(岡山県鴨方町) 純米酒 「農産酒造 竹林 ふかまつり」
原料米;山田錦、 精米歩合;−% 【アルコール分】15.5度 【日本酒度】+4 1.8L \2,233 (税別)
A;味3、B;香り3、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価3
E寸評; 雑誌「dancyu」3月号で取り上げられた酒。
裏ラベルなどを改めて見直したところ、何処にも吟醸酒の表示はありません。精米歩合の悪さから来る糠臭がします。重くよどんでいます。山田錦を使ったと言うだけの、レベルは一昔前の普通酒です。
2.南部美人(岩手県二戸市) 純米吟醸 「山田錦」 原酒
原料米;山田錦、 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+4 【酸度】 1.6 1.8L \3,000 (税別)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評; 純米吟醸の優等生です。バランスの良さと造りの上手さで、バランス良く仕上げられた吟醸酒です。
3.松瀬酒造(滋賀県竜王町) 純米吟醸 「松の司 2004あらばしり」 生酒
原料米;山田錦、 精米歩合;55% 【アルコール分】16.5度 【日本酒度】+4 【酸度】1.4 1.8L \3,300 (税別)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; 雑誌「dancyu」3月号で取り上げられた酒。
良く言えば淡麗、清楚、軽快。ズバリ言えば、旨味が薄口で物足りなく、水のようなコクの無さを感じます。
4.萬乗醸造(名古屋市緑区) 大吟醸 「醸し人九平次 山田錦」 無濾過割水無
原料米;山田錦、 精米歩合;40% 【アルコール分】17〜18度 1.8L \4,500 (税別)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4
E寸評; これは旨い!と感じた後に、口中の舌の回りにイヤな酸味と渋みをいつまでも感じます。時間の経過があっても、それはまとわりついて取れません。その為に次の一杯が遠のきます。
5.神沢川酒造場(静岡県由比町) 純米大吟醸 「正雪 備前雄町」 生
原料米;備前雄町、 精米歩合;45% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+2 【酸度】1.4 1.8L \4,000 (税別)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 先月飲んだのが『火入れ』です。今回の『生』とはどう違うでしょうか。
何故同じ雄町でこんなにも味が違うのでしょうか。神沢川酒造場の看板娘です。雄町の旨さと純米大吟醸の貫禄、品性、バランスは他の追従を許しません。 来月この蔵元を訪ねるツアーを組んでいますが、楽しみです。
§酒のトップページに戻る§ <2003年10−12月に移動> <200 4年 1−3月に移動>