最近呑んだ吟醸酒について
2003年10−12月分
これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。
A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。
私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。>>ここで飲まれている吟醸酒の購入元をお知りになりたい方は、メールをいただければ、早い時期(忘れない内)なら、販売店をご紹介いたします。<<
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◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇
1月例会予告 2004年1月31日(土)
2003年12月27日(土)
1.酒田酒造(山形県酒田市) 純米吟醸 上喜元 「出羽燦々 太古米」 無濾過」」
原料米;出羽燦々、 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \2,700(税別)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;新酒。太古米の”出羽燦々”を有機農法で栽培した物、約10年の実績を積んだ酒。
酒造米「出羽燦々」を使ってこれだけのレベルに持ってくる蔵元に敬意を感じます。山田錦や雄町を使えば誰でも(?)造れるものを、それを使わずここまでの味わいを醸すのは並大抵の事ではないでしょう。五味のバランス、味わいの深さ、香りのキレ、どれをとっても並のレベルを遥かに超えています。
2.中田酒造(岡山県倉敷市) 純米吟醸 「歓びの泉 雄町 袋吊り」 生原酒
原料米;倉敷産雄町、 精米歩合;55% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \3,700(税別)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評; 新酒。 口中ではじける吟醸香、既に貫禄を見せ始めている味わい。飲み下した後に残る酸味と吟醸香。今飲むのはもったいなく、暖かくなったらもっと味が落ち着いて、旨味を増すでしょう。期待と予感を持たせる佳酒です。
3.旭酒造(山口県周東町) 純米吟醸 遠心分離50 「獺祭(だつさい)」 おりがらみ本生
原料米;山田錦、 精米歩合;50% 【アルコール分】15〜16度 1.8L \3,150(税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; おちょこの底にある蛇の目が見えないほどの「おりがらみ」です。にごりは口中で邪魔しませんし、違和感もありません。新酒特有のはじけるような酸味とフレッシュ感はこの季節を楽しませます。
4.千代の光酒造(新潟県新井市) 吟撰 「真」 無濾過」」
原料米;五百万石、 精米歩合;45% 【アルコール分】15〜16度 1.8L \3,310(税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; 低肥料・低農薬・あえて収穫を減らす米作りをした自然農法で特別栽培された五百万石を45%精白した純米酒です。このお酒、精白度から見ればりっぱな”純米大吟醸酒”です。敢えてそれを出さないところが千代の光のスゴイところですね。 (酒販店談)
で、端麗、爽やか、さっぱりとしています。強い個性はありませんので、どの肴にも合うでしょう。
5.府中誉(茨城県 石岡市) 大吟醸 「渡舟」 平成14酒造年度 斗瓶取り 生原酒(本生)
原料米;茨城県新治郡八郷町産 渡舟、 精米歩合;40% 【アルコール分】18〜19度 【日本酒度】+4 【酸度】1.4 【使用酵母】自社培養酵母 1.8L @10,000 (税別)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5
E寸評;写真はスポーツ新聞にパッケージされたもので、これを取ると瓶にラベリングされたものが現れます。
山田錦や雄町に負けない、品性と強い力を持った名酒です。どこから切り刻んでも欠点は見受けられませんし、吟醸酒の王道を行っています。
一言だけ付け加えると、冷たい美女と申しましょうか、感動とか人間的な温もりがありません。
6.瀧自慢酒造(三重県名張市) 純米吟醸 「瀧自慢 備前雄町」
原料米;備前雄町 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+2 【酸度】1.5 【使用酵母】自社培養酵母 1.8L \3,000 (税別)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 濃厚、芳醇、完成された味わいです。雄町の長所、特徴を全て引き出し、吟醸酒の旨さを具現した名酒です。時間の神様にも感謝。完熟したイイとこの人妻です。人妻には手が出ませんが、このお酒は飲み手を優しく包んでくれます。
2003年11月29日(土)
1.瀧自慢酒造(三重県名張市) 特別本醸造 「瀧自慢 伊賀山田錦」
原料米;山田錦 精米歩合;60% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+3 【酸度】1.6 【使用酵母】自社培養酵母 1.8L @2,100 (税別)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5+、D;総合評価5
E寸評; この一本だけが本醸造です。で、あまり期待はしませんでしたが、他の吟醸酒を寄せ付けず最高の出来です。吟醸香と吟醸味をたっぷりとさせて、ラベルがなければ誰しも吟醸酒と認識するでしょう。この蔵元さんは何時も良い品質で、 コストパフォーマンス の高いお酒を市場に提供してくれていますが、今回のこれは秀逸です。晩酌にも勿体ないくらい。お買い得感、ピカイチ。
2.萬乗醸造(名古屋市緑区) 純米吟醸 「醸し人九平次(かもしびとくへいじ) 雄町」 無濾過原酒
原料米;雄町、 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \3,000 ( 税別)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評; 雄町にしては鈍重。人生と同じように、丸く柔らかくなってとげとげしさはどこにもありません。初老の紳士のように悠然と構えています。今が飲み頃。
3.大澤酒造(長野県望月町) 純米大吟醸 槽(ふね)しぼり 「勢起(せき)」
原料米;山田錦、 精米歩合;45% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+3 【酸度】1.6 1.8L \3,600 ( 税別)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; どのお酒も夏を越して春先のようなヤンチャさはありませんが、ほのぼのとしたぬくもりを感じます。この勢起も同じように、芳醇さはありませんがぬくもりを感じます。
4.酒田酒造(山形県酒田市) 純米吟醸 「酒田上喜元 雄町」 中取り
原料米;雄町 精米歩合;−% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \3,883 (税別)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価 4+
E寸評;この雄町もいつもの雄町とチョット違います。山田錦のようにすっきりと抜けています。爽やかさらりで、芳醇さはありません。
5.芳水酒造(徳島県井川町辻) 大吟醸 「芳水(ほうすい)」
原料米;山田錦、 精米歩合;40% 【アルコール分】16〜17度 1.8L \3,900(税別)
A;味5、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; やわらかくしっとりと口中にからみついてきます。飲みやすい酒です。
どのお酒にも言えますが、この時期のお酒は”力=勢い”がありません。
6.仙頭酒造場(高知県芸西村) 大吟醸 「土佐 しらぎく」 無濾過生
原料米;山田錦 精米歩合;40% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+6 【酸度】1.4 1.8L \4,000 (税別)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;さらりと爽やか。酸味がきつくバランスを崩し、雑味が何時までも口中に残る。
2003年10月25日(土)
1.川鶴酒造(香川県観音寺市) 純米 「川鶴」 無濾過
原料米;山田錦 精米歩合;65% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+3 【酸度】1.2 【使用酵母】協会9号 1.8L @2,400 (税別)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4
E寸評; さらりとして飲みやすく、飲み屋さん、料理屋さんでは肴を殺さず、飲み疲れしないのでベストでしょう。芳醇・濃厚の対極にあるお酒です。
2.清水酒造(埼玉県騎西町) 純米 「亀甲 花菱」 無濾過中取り 生原酒
原料米;− 精米歩合;−% 【アルコール分】17〜18度 1.8L @2,500 (税別)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;柔らかく素直でホッとさせます。旨味を充分濃縮し、トゲトゲしさは無い。巧く夏を乗り切り円熟の境地にいます。吟醸酒の中心にあるような酒です。
3.佐久の花酒造(長野県南佐久郡) 大吟醸 「佐久の花」 無濾過生原酒
原料米;山田錦 精米歩合;35% 【アルコール分】17〜18度 1.8L @4,200 (税別)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評; この銘柄は香り立ちが良いのが特徴です。しかし、この香りも過度になってくると問題です。カタクチに移し香りを飛ばし落ち着いたところで飲みましたら、迫力まで飛んでいきました。だったら2000円台の「佐久の花」で充分です。
4.喜久水酒造(秋田県能代市) 大吟醸 「能代」
原料米;華吹雪 精米歩合;40% 【アルコール分】16〜17度 1.8L @5,000 (税別)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 芳醇まろやか、五味がバランスし、見事に花開いています。香りも過不足無く、品良く備わっています。切れも良く、肩肘張った若者と違って、余裕と貫禄の備わった佳酒です。トンネル貯蔵で有名な蔵元です http://www.shirakami.or.jp/~kikusui/kata.htm
5.加茂福酒造(島根県石見町) 純米大吟醸 「極 悪乃代官(ごく わるのだいかん)」
原料米;山田錦 精米歩合;45% 【アルコール分】17〜18度 1.8L @5,000 (税別)
A;味4+、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; 充分に吟醸酒の醍醐味を味わえる酒です。極わずか、飲み後に渋みを感じます。インパクトのあるネーミングから来るイメージとはかけ離れています。ネーミングで騙されるお酒の多い中、逆に損をしている代表でしょう。でも、一度聞くと忘れられない!
読み方を蔵元さんに問い合わせると、「きわみ わるのだいかん」と言うコメント。ラベルには上記のようなふりがながあります。さ〜、どちらが正しいのでしょう。
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