最近呑んだ吟醸酒について
   
      

 

2005年10−12月分                     

    §酒のトップページに戻る§  <ホームページへ>


 
  これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
 

   ◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。

 >>ここで飲まれている吟醸酒の購入元をお知りになりたい方は、メールをいただければ、早い時期(忘れない内)なら、販売店 をご紹介できます。<<
 


 

 吟醸酒の会へのお誘い 

       ↑上のボタンを押すと、ご案内のコーナーに行けます。

 

◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇

次月例会予告 2006年1月28日(土)です


2005年12月24日(土)

1.吉野酒造(千葉県勝浦市)  吟辛  「腰古井(こしごい)ぎんから」  
原料米;−、 精米歩合;55%   【アルコール分】15〜16度    1.8L \2,340 (税込)
A;味3、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3
E寸評; 1年古酒、腰砕けして味わいなし。燗しても上がらず。

 

2.名手酒造店(和歌山県海南市)  純米吟醸  「黒牛(くろうし)」  
原料米;山田錦、 精米歩合;50%   【アルコール分】16.5度  【日本酒度】+3 【酸度】1.6   【酵母】協会9号系 1.8L   \3,570 (税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評; 甘くまろやか、1年経って丸みが出て若さは無いが、安心出来る。キレが悪く、いつまでも口中に残り重い。若い時に合いたかった。

 

3.八海醸造(新潟県魚沼市)   「八海山・しぼりたて原酒」 生酒  
原料米;−、 精米歩合;55%   【アルコール分】19〜20度   1.8L  \3,469 (税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評; 出来立て、きびきび、若さイッパイ、造りのうまさが際立つ。アル添されたぶん飲みやすく、さらりと喉元を通り過ぎていく。

 

4.大澤酒造(長野県佐久市)  純米大吟醸  「明鏡止水」  
原料米;山田錦、 精米歩合;40%   【アルコール分】16〜17度  【日本酒度】+3 【酸度】1.6   【酵母】協会9号系 1.8L  \6,300 (税込)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評; さらりと水のごとくキレイ。純米でこれだけ切れ味爽やかなのは希でしょう。淡麗な吟醸酒の典型ですが、やはり味わいに物足りなさが残る。

 

 今回、会友が持ち込んだ酒があります。2〜3年前まではその藏の吟醸酒を飛び越して、抜群に上手かったので、今回も複数本買ってしまいました。しかし残念な事に、その時のインパクトはありません、と彼はくやしがっています。みんなで飲んでみましたが、そんにレベルの低い酒では無いと意見が一致。しかし、前に飲んだ酒とはレベルが違うので、だまされたような無念さが残ると言っています。
 お酒のレベルが同じか上がってくるのは楽しみで、ワクワクさせるものがあります。下がったり、期待を裏切ったりされると、藏への不信感と、次回への購買意欲を無くします。


2005年11月26日(土)

1.勝山企業勝山酒造部(仙台市青葉区)  吟醸酒  「撰勝山(せんかつやま)」  氷温貯蔵
原料米;山田錦、 精米歩合;50%   【アルコール分】15〜16度    1.8L \3,150 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; バランス良く味わい深い、香り素晴らしく切れ味良い。飲み疲れせず、至福の時を楽しませる、吟醸酒のスタンダードのような佳酒です。

 

2.神亀酒造(埼玉県蓮田市)  純米酒  「神亀(しんかめ)」  
原料米;山田錦・五百万石・美山錦、 精米歩合;60%   【アルコール分】15〜16度   1.8L   \3,307 (税込)
A;味3+、B;香り2、C;コストパフォーマンス3−、D;総合評価3+
E寸評; この蔵元さんは1年以上寝かせたお酒が特徴ですが、この酒はヒネカ(老香)が立って、旨さのピークをとっくに過ぎてしまった惨状を呈しています。今年の6月に瓶詰めされたものですが、その時からの味なのか、流通段階で保存が悪く劣化したのかは分かりません。どちらにしても誉められた事ではありません。
 昔からの日本酒の味の典型なのでしょう。しかし、燗をすると化けました。当然旨い方にです。老香はなくなり、清楚な味わいを醸し、おでんや焼き鳥などにピッタリの酒に変身したのです。

 

3.水戸部酒造(山形県天童市)  純米吟醸  「山形 正宗 稲造」  
原料米;山田錦、 精米歩合;55%   【アルコール分】16〜17度   1.8L  \3,150 (税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; 色濃く時間の経過を感じさせるが、古さは感じさせない。飲み口はさらりと入るが、違和感が残る。その違和感は五味がそれぞれの主張をし、全体のバランスを崩している。名プレーヤーが集まったチームでもチームバランスが取れていないと勝てないような雰囲気をこの酒の中にみた。
燗をしても味わい変わらず。

 

4.玄葉本店(福島県田村市)  純米吟醸  「あぶくま」  
原料米;山田錦、 精米歩合;50%   【アルコール分】16〜17度  1.8L  \3,150 (税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評; きつい酸味が独特の酒質を醸しています。が、ところがところが、脂っこいものや薫製などにピタリと相性が合う。肴によって、なんと旨い酒に変身するのであろう。酒と肴が合った時の旨さは最高。パートナーによって百年の不作となるか、生まれ変わったらまた一緒になりたいかは、大きな違い。最初に完売。

 

5.渡辺酒造店(新潟県糸魚川市)  純米吟醸  「根知 男山」 原酒  
原料米;自家製五百万石、 精米歩合;55%   【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+1 【酸度】1.5   【酵母】新潟産G−9  1.8L  \3,675 (税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;平成15酒造年度醸造(1年半前に造られた)吟醸酒。 老香もなく重さを感じさせず、飲みやすい。時間を経過してる割には”おぼこ”です。喉ごし爽やか、アルコール度数が高い分ドライになり、ネーミングの「男山」のような男性的な味わいもある。

 

6.松瀬酒造(滋賀県竜王町)  大吟醸  「松の司 雄町」  
原料米;雄町、 精米歩合;50%   【アルコール分】16.4度  【日本酒度】+6 【酸度】1.4   【酵母】熊本酵母  1.8L  \3,780 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;清楚で切れ味鋭く旨さの凝縮された佳酒。雄町の馥郁とした濃厚な味わいよりも、山田錦に似た切れ味の良い、淡麗さが有り、華やかさが有る。

 

 


2005年10月29日(土)

 

1.美少年酒造(熊本県城南町)  純米吟醸  「神力(しんりき)」  
原料米;神力、 精米歩合;55%   【アルコール分】15度  【日本酒度】+1 【酸度】1.5   720ml  \1,890 (税込)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評; 平成8年わずか200粒の種籾から復活を果たした復古米「神力」。この酒米は、麹のつくりやすさともろみが溶けやすく酒に雑味を与えない事が特徴です。その神力を100%使用。(蔵元談)
 色づいて濃厚な味わいになっています。現代的な味に慣れた者には古き良き時代を楽しむ事が出来ます。

 

 

2.熊本県酒造研究所(熊本市島崎)  純米吟醸  「香露(こうろ)」  
原料米;−、 精米歩合;麹米45%:掛米55%   【アルコール分】16〜17度    720ml  \2,856 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;何と言っても「協会9号」の生みの親=蔵元です。
 相変わらず品の良い吟醸酒です。五味のバランス、旨味、爽やかさ、品性、どこを取っても天下一品。佳いものは良い!

 

3.井上(福岡県大刀洗町)  純米  「美田 ひやおろし」  
原料米;山田錦、 精米歩合;−%   【アルコール分】16〜17度    1.8L  \2,940 (税込)
A;味3+、B;香り3+、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3+
E寸評;山廃造り。 腰が砕けて一夏の暑さが乗り越えられなかったのか。山廃のキレの悪さ、重さから抜けられなかった。しかし、燗をすると酒の色まで薄くなり、軽快な旨味が出て、同じ酒とは思えないほど旨くなった。燗酒として、総合評価4+を献上。

 

4.大澤酒造(長野県佐久市)  純米吟醸  「明鏡止水 吟織」  おりざけ
原料米;−、 精米歩合;−%   【アルコール分】16〜17度  【日本酒度】+3 【酸度】1.6   1.8L  \2,940 (税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;おりの旨さが伝わってこない。それともトータルでこの味わいなのか。いま一歩の味わいが伝わってこない。旨いのに。

 

5.神沢川酒造場(静岡県由比町)  純米大吟醸  「天満月(あまみつき)」  
原料米;麹米:山田錦23/100・掛米:吟ぎんが77/100、 精米歩合;麹米35%・掛米50%   【アルコール分】15〜16度  【日本酒度】+ 1 【酸度】1.2   1.8L  \3,675 (税込)
A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;「正雪」で有名な蔵元の吟醸酒です。自分の味を持っていて、それを崩さず、神沢川の味を保っている。ざらついた酸味が独特の味わいを醸している。

 

6.森喜醸造(三重県上野市)  特別純米  「妙の華 英(はなぶさ)」 無濾過あらばしり生酒  
原料米;山田錦、 精米歩合;60%   【アルコール分】17.4度  【日本酒度】+5  【酸度】1.7 【酵母】協会601号  1.8L  \3,360 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 吟醸香の香り立ち良く、味わい深く、濃厚な酒質が飲み手を魅了する。精米歩合60%では考えられない旨さを引き出している。逆に60%でも佳い酒が造れる事を実証しています。

 

7.新澤醸造店(宮城県三本木町)  純米大吟醸  「愛宕の松 ひより」  
原料米;ひより、 精米歩合;40%   【アルコール分】16.4度  【日本酒度】+1  【酸度】1.6   1.8L  \5,250 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 旨さがじっくりと感じるタイプと、向こうから押し寄せてくるタイプがあるが、これは後者、旨さがぐいぐいと押し寄せて来る。押しつけがましさが好き嫌いを分けるでしょう。濃厚な味わいを持った熟年美女です。

 

 


§酒のトップページに戻る§        <2005年4−6月に移動>        <2005年 7−9月に移動>