最近呑んだ吟醸酒について
   
      

 

2006年1−3月分                     

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  これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
 

   ◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。

 >>ここで飲まれている吟醸酒の購入元をお知りになりたい方は、メールをいただければ、早い時期(忘れない内)なら、販売店 をご紹介できます。<<
 


 

 吟醸酒の会へのお誘い 

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◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇

次月例会 2006年4月29日(土)です


2006年3月25日(土)

1.土井酒造場(静岡県掛川市)  純米  「開運」  無濾過生
原料米;山田錦、 精米歩合;55%   【アルコール分】17〜18度   1.8L  \2,751 (税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;新酒のくせに熟成感たっぷり、おませな娘です。とろりとまとわりつくような旨味と、柔らかさと厚みがある。

 

2.三宅彦右衛門酒造(福井県美浜町)  純米滓酒 「早瀬浦・浦底(うらぞこ)」 
原料米;山田錦・五百万石  精米歩合;50〜55% 【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+7      1.8L 3,150円(税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; 早瀬浦の純米及び純米吟醸の滓(かす・)酒(オリ酒)を集め、これに純米上澄み酒にブレンドしたものです(蔵元説)。
オリの旨さで飲ませる、今の季節の酒。栓を抜くと「ポ〜〜ン」と気持ちの良い音を出し、薄いブルーの瓶に白濁した酒がグッドセンスで飲み手を誘惑します。上品で爽やか肴を選ばない。

 

3.磯自慢酒造(静岡県焼津市)  特別本醸造 「磯自慢」 生原酒
原料米;山田錦  精米歩合;麹55%・掛60% 【アルコール分】18〜19度  【日本酒度】+6  【酸度】1.2   【酵母】NEW-5(静岡)   1.8L 3,402円(税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 新酒で、新しすぎて五味の味わいがバラバラに個性を主張している。が、香り高く匂いすぎず、旨味が口中で広がり吟醸酒を圧倒している。この蔵元の酒で騙された酒がないのは嬉しい!

 

4.五町田酒造(佐賀県嬉野市)  純米吟醸  「東一・山田錦」  生酒 
原料米;山田錦、 精米歩合;49%   【アルコール分】16〜17度   1.8L  \3,570 (税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;肴を選ばず旨い酒です。新酒の若さがキビキビして、それが良いのか、落ち着きがないのか。

 
5.山本(秋田県八森町)  大吟醸  「白瀑(しらたき)木槽しぼり加圧前」   中取り生  
原料米;美山錦、 精米歩合;麹45%・掛47%   【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+4    【酵母】協会15号  1.8L  3,675 (税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評; 丸味のある香り豊かな吟醸酒。品性豊ですが少し引っ込み思案なおぼこ娘でしょうか。

 

6.豊盃醸造元(青森県弘前市)  純米吟醸  「豊盃」 生酒  
原料米;山田錦、 精米歩合;55%  【アルコール分】15〜16度   1.8L  会員差入れ
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス、D;総合評価5
E寸評; 熟成1年物。 ビロードのように、なめらかな肌触り。アルコール感が練れてオーケストラのようにバランス良く一体になって、品性豊になった。全てがバランスして渾然一体になった味わいは見事。

 

 


2006年2月25日(土)


 

 

1.来福酒造(茨城県筑西市)  純米吟醸  「来福」  凍結濃縮酒
原料米;雄町、 精米歩合;50%   【アルコール分】25〜26度   720ml  \2,940 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;純米吟醸酒を零度以下に冷却、水分だけを凍結し、お酒のエキスとアルコール分だけを濃縮した酒。(蔵元説明)
 琥珀色の液体から、日本酒の範疇を飛び出した旨味が渦巻いて、感動が味わえる。あまりにも旨味が突出しているため肴が付いて来れらないので食後酒として楽しんで欲しい。食事その物は勿論、今日一日を感謝と感動で締めくくれる、最高に味わい深い佳酒。ここで誉めすぎて買えなくなる事を心配する美酒の逸品。
 
2.豊盃醸造元(青森県弘前市)  純米  「豊盃 純米しぼりたて」 生酒  
原料米;−、 精米歩合;麹米55%・掛米60%   【アルコール分】17〜18度   1.8L  \2,650 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; この値段でこの旨さ、他に何を言えばいいのでしょうか。新酒の新鮮さ、若々しさ、素晴らしい酒の門出です。新酒のくせに味わい豊で、まろやかな味わいに充分堪能して酔う。

 

3.八戸酒造(青森県八戸市)  純米吟醸 「陸奥八仙」 中汲み無濾過原酒
原料米;華吹雪  精米歩合;55% 【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+1  【酸度】1.7    1.8L 3,000円(税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 新酒で酒の生命力を感じる。酒の強さ、造り手の強さが、旨さの中に骨格のように組み込まれているが、その素肌は絹ごしのなめらかさと優しさがある。感動と至福の絶頂にある。

 


 

 

4.川村酒造(岩手県石鳥谷町)  純米吟醸  「酉与右衛門(よえもん)」  生酒 
原料米;山田錦、 精米歩合;50%   【アルコール分】17〜18度  【日本酒度】+2  【酸度】 1.9 【酵母】協会7号 1.8L  \3,750 (税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;  「酉与右衛門」の「よ」の字は表記文字外で、有りません。二文字を足して一文字とご理解ください。ですから、”よえもん”は全部で 漢字4文字です。
 旨いウマイで人気者になった1本です。新酒で炭酸の風味が快く舌を刺し、その刺激が消えると旨味が口の中でほとばしり出る。五味のバランスと風合いがぎっちりとパックされ、夏過ぎの熟成された”君”に逢うのが今から楽しみな佳酒。しかし、その頃には嫁に行ってしまい、この手の中には居ないかも。
 
5.酒田酒造(山形県酒田市)  特別純米  「上喜元 にごり酒」    
原料米;−、 精米歩合;55%   【アルコール分】16〜17度   1.8L  会員差入れ
A;味5、B;香り4、C;コストパフォーマンス、D;総合評価4+
E寸評; 白濁した液の中から炭酸の細かい泡が立って、新酒の季節を感じます。ふくよかな酒の旨味が柔らかく伝わってきます。三千円以下の酒でありながら気立ての良い酒です。
 

 

6.出羽桜酒造(山形県天童市)  大吟醸 「雪漫々」 中汲み無濾過原酒
原料米;−  精米歩合;45% 【アルコール分】15〜16度      1.8L 5,470円(税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価4
E寸評;良く造られた酒だが、個性も旨味も感動もうすい。

 

 


2006年1月28日(土)

1.福光屋(金沢市石引)  純米  「風よ水よ人よ」  
原料米;−、 精米歩合;70%   【アルコール分】12.9度  【日本酒度】+3 【酸度】1.4 300ml  \357 (税込)
A;味3−、B;香り2、C;コストパフォーマンス2、D;総合評価3−
E寸評; 「グルメタイプ(*下記注)」。老香(ひねか=古くなった酒が出す匂い)がする。寸評する以前の酒質。
 
2.あさ開(岩手県盛岡市)  純米  「あさ開(あさびらき)」  
原料米;−、 精米歩合;65%   【アルコール分】15.4度  【日本酒度】+2 【酸度】1.4 300ml  \389 (税込)
A;味3−、B;香り2、C;コストパフォーマンス2、D;総合評価3−
E寸評; 「グルメタイプ」。上記に同じ。
 
3.大関(兵庫県西宮市)  大吟醸  「花笛(ka-fue)」  
原料米;−、 精米歩合;50%   【アルコール分】15度  【日本酒度】+4 【酸度】1.3  250ml  \525 (税込)
A;味3−、B;香り2、C;コストパフォーマンス2、D;総合評価3−
E寸評; 「グルメタイプ」。上記に同じ。
 
4.丸竹酒造店(青森県弘前市)  大吟醸  「白神ロマンの宴」  
原料米;華想い、 精米歩合;40%   【アルコール分】15〜16度  【日本酒度】+3〜4 【酸度】1.5〜1.6   720ml  \2,100 (税込)
A;味3、B;香り3−、C;コストパフォーマンス2、D;総合評価3
E寸評; 薄くシャバシャバ、味わい無し、腰が抜けていただけない。
 
5.新澤醸造店(宮城県三本木町) 純米大吟醸 「伯楽星(はくらくせい)」 生詰
原料米;雄町  精米歩合;−%  【アルコール分】16〜17度   1.8L @5,145 (税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4
E寸評; 前回(03年8月)の濃厚で味わい深く品性豊で感動した酒とは考えられない。さっぱり、薄味で残念。がっかり二乗で5000円台は高すぎる。

 

6.大和川酒造店(県喜多方市)  純米大吟醸  「すえながく」  火入れ
原料米;麹米・山田錦、掛米・雄町、 精米歩合;50%   【アルコール分】16〜17度  【日本酒度】+1 【酵母】1401系   1.8L  \3,000 (税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;杜氏、白澤芳秀氏(41歳)が酒質設計から造り、販売までの一切の責任を負うという条件の下、大和川酒造店様の機械設備をお借りし、仕込んだ入魂の作がこの「すえながく純米大吟醸」です。(酒販店談)
 春先(05.5月)に飲んだ生は素晴らしかったので、再度熟成されたであろう「君」と逢う事になった。
生との味わいの差が有ろうが、夏を越して限界になっている。夏やせして元気がない。
 
7.三和酒造(静岡県静岡市)  純米吟醸  「臥龍梅 袋吊り」   生原酒
原料米;五百万石、 精米歩合;55%   【アルコール分】16〜17度  【日本酒度】+5 【酸度】1.1  1.8L  \3,000 (税込)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; 酸味、えぐ味が強くて、いつまでも口中に残り飲みにくい。それを除けば素敵なお酒なのにな〜。燗をすると、欠点が希薄になる。
 
8.神沢川酒造場(静岡県由比町)  純米大吟醸  「正雪 備前雄町」  生 貯蔵酒
原料米;備前雄町、 精米歩合;45%   【アルコール分】15〜16度  【日本酒度】+1〜+3 【酸度】1.3   1.8L  \4,200 (税込)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;正雪らしからぬ、えぐ味が口中に残りそれが消えない。ピークを通り越して残念な出会いであった。
 

*注 「グルメタイプ」とは、日本酒業界では「Osake テラピー」キャンペーンの一環として、普段の生活気分に合わせて選びやすい3タイプ「のどごし」「ぐるめ」「いやし」を提案しています。

のどごしタイプ;食事の前や、お風呂上がりに、のどの渇きを癒す、さわやかな口当たりのお酒です。
ぐるめタイプ;いつもの食卓に、ホームバーに、食事が進む、味わいあるお酒です。
いやしタイプ;くつろぐ時や、一日の終わりに、まろやかな余韻がほっとした気分にさせるお酒です。

とのコンセプトで作られたお酒達です。全て小瓶に詰められ、一口で飲み干せて、若い人達に、特に女性に歓迎されるパッケージになっています。今回はぐるめタイプの一部を取り上げています。新橋・日本酒造組合中央会にて買い求めています。

 総評;「グルメタイプ」このタイプ3品とも普通酒以下のレベル。老香はするし、コメントする気力も失せる。パッケージは良いので、新しい顧客はデザインに釣られて買い求めるが、酒も当然中身が重要。大事な中身が台無しでは意味がない。意味が無いどころか、新しい顧客は一度は手にするが、日本酒ってこんな味だからと、二度と買わないだろう。最低な企画である。日本酒の衰退に輪を掛ける日本酒造組合中央会である。中央会は造られたものを本当に試飲してそのラベルを配っているのであろうか、最後まで面倒を見て企画を成功に導かなければ、中央会の本来の職務が達成されたとは言えない。蔵元を牽引する力もなければ、中央会の意義もないであろう。日本酒衰退の原点がここにあった事を発見する残念な夜であった。

 今月のお酒達の元気無さには正直がっかりします。春先や秋口にはあんなに元気だった酒達が丸一年して、次の新酒に役者交代がされるであろうこの時期、1年過ぎた酒達が息切れしてアップアップしているのは残念です。酒の端境期でやむを得ないのでしょうか。


 

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