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話31〜40
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<目次>
吟醸酒について <日本酒その裏話・表話>
◇話31. 酒粕料理レシピ ◇話32. 酒風呂 ◇話33. お酒を出す順番 ◇話34. 日本酒の出荷量の現状と推移 ◇話35. 酒造年度と日本酒の日 ◇話36. 鑑評会での味のテスト法について ◇話37. 色の表情について ◇話38. 賞味期限 ◇話39. 無農薬有機栽培の松下米について ◇話40. 本来の用途以外での使い道
吟醸酒について <日本酒その裏話・表話>
◇話31. 酒粕料理レシピ
最初にこんな事を書いてはいけませんが、最近の酒粕がまずくなったと思いませんか?
私が思うに、近代的な機械(絞り機)で絞るため、最後の一滴まで絞りきってしまうので、旨味も香りもみんな酒の方に行ってしまい、カスの方に残らないのでは、とは思い過しでしょうか。それとも、飽食の時代を過しているせいでしょうか。
酒粕も普通酒の物と吟醸酒の物とでは味香りが全然違います。吟醸酒の酒粕は顔先にもってくると吟醸香がプンプンとしてきて料理するのがもったいないくらい、イイ香りがします。しかし、香りが強すぎ料理するとその香りがほかの具をいじめてしまうかも知れません。甘酒にすると、吟醸酒の甘酒が出来ます!?
◆A.そのまま軽く焼く
落語の話で、酒が飲めない与太郎さんが顔を赤らめているのを見て、仲間が「どーした」。与太さん「酒粕を食べた」。「イイ若い者がそんなこと言うな。そーゆう時は、”1杯ひっかけて来た”と言うのだ」と。
次の友達に聞かれた与太さん、「1杯ひっかけて来た」と。その友人「何杯だい?」。与太さん「3枚」。「オイオイ、そーゆう時は”3杯飲んだ”と言うのだよ」と。
歩いて行くと長屋の女将さんが与太さんに「ど〜したの?」。「お酒飲んできたノ」。「飲めない与太さんが、大丈夫かイ。どれくらい飲んだんだイ」。与太さん「3杯」。「まあまあ、ところで燗をしてかイ、それとも冷やでかイ」。「イ〜ヤ、焼いて」。お粗末様。と言うように、原点はこの焼いて食べるです。
薄いお餅を焼く様に網の上で、軽くあぶってほんのり焦げめが出たころ、フーフー言いながら熱い内に食べると美味しいですよ。 また軽く、お醤油を付けると煎餅みたいで美味しいです。
◆B.甘酒 (以下材料はいずれも4〜5人分) B〜G・資料:日本の酒情報館より
●材 料:
酒粕100g 水5カップ グラニュウ糖80〜100g(好みで増減) 塩少々 日本酒小さじ2杯 ショウガ汁またはユズのすりおろし少々 ●作り方:
1.酒粕はちぎって分量の水にひたしておく。(柔らかくするため)
2.1を火にかけ40分位弱火で煮込む。(酒粕の独特のくせが取れる)
3.味がまろやかになったら、グラニュウ糖を加える。ほんの少々の塩を加えると味がしまる。
4.最後に(煮込んだ分)、エッセンスとして日本酒を加える。
5.飲む直前に、好みでショウガ汁か、ユズのすりおろしを落す。
◆C.鮭の粕汁
●材 料:
塩鮭の身100g 大根50g 人参50g こんにゃく50g 油あげ1枚 生椎茸4枚 せり2株 だし汁(塩鮭のあら300g 水5カップ 昆布10cm位)鍋に水、塩鮭のあら、昆布を入れ火にかける。途中アクを取りながら1/3位まで煮詰め、味が出たら布でこす。
味付け(酒粕100g 西京味噌25gまたは信州味噌12.5g 前記のだし汁)。●作り方:
1.酒粕はぬるま湯に浸し柔らかくしておく。
2.塩鮭の身は、サッと熱湯に通す。大根、人参、こんにゃくは、短冊に切りゆでておく。生椎茸はそぎ切り。油あげは網の上で焼き、短冊に切っておく。せりは3cm程度の長さに切りそろえておく。
3.鍋に塩鮭のあらから取っただし汁に1の酒粕、味噌を合わせ入れ、30分程度煮込む。
4.トロリとしてきて甘味が出てきたら、2の材料を加え、仕上げる。
5.好みで、七味・山椒などの薬味を添える。
アドバイス:味噌は種類によって塩分が違うので、味をみて加えて下さい。
◆D.かきあげ
●材 料:
むき海老60g しそ10枚 玉ねぎ150g 椎茸4枚 酒粕40g ころも(卵、水、小麦粉、) 揚油 ●作り方:
1.むき海老は背ワタを取り、しそ、椎茸は細切り、玉ねぎは薄切り、酒粕は5mm角に切り、混ぜておく。
2.卵と水を混ぜた中に小麦粉を加え、天ぷらのころもを作る。
3.1に下粉の小麦粉をからめて、2をつけ、適温の油でカラッと揚げる。
◆E.豚肉の酒粕煮
●材 料:
薄切り豚ロース300g わかめ30g しょうが20g わけぎ2本 練り芥子 酒粕120g 水1.5カップ 醤油大さじ2 砂糖大さじ2 塩少々 ●作り方:
1.酒粕はちぎり、すり鉢であたり滑らかにする。豚肉は4cmに切る。塩わかめは、塩を洗い流し3cmに切る。ショウガは皮をむき薄切り。わけぎは小口切りにする。
2.鍋に水を入れ煮立て、ショウガ、豚肉を入れ、浮いたアクを丁寧に取除く。 3.酒粕に2の煮汁を少し入れ、なめらかにのばし再び鍋に全量入れる。
4.弱火で20〜30分煮て、味を付ける。わかめを鍋に入れサッと煮る。
5.火を止めわけぎを振りかけ、器に盛り、柔らかめの芥子を乗せる。
◆F.酒粕酢味噌
●材 料:
西京味噌50g 酒粕40g カラシ小さじ1 酢大さじ4 旨味調味料 たこ アサリ 塩 ●作り方:
1.ボールに酒粕、味噌、カラシを混ぜ合せ、酢でのばす。塩、旨味調味料で味を整える。
2.ゆでたたこや酒蒸ししたアサリなどと1をあえる。
◆G.酒粕の変わり茶碗蒸し
●材 料:
卵3個 鶏スープ2.5カップ 塩小さじ1/2 こしょう 酒粕70g ラー油 豚挽肉120g 長ネギ1/2本 ショウガ15g 日本酒大さじ1.5 醤油大さじ1 ●作り方:
1.酒粕は細かくし、1/2カップのスープと一緒に鍋でなめらかになるまで煮る。
2.1に残りのスープを加え温め、塩、こしょうし人肌程度に冷ます。
3.卵は溶きほぐし2とあわせ裏ごしする。
4.ネギとショウガをみじん切りにし、挽肉と混ぜ調味料を入れ4個の小判型にする。
5.器に4を入れ、3を注ぎ表面の泡を取除く。
6.蒸器は蒸気を上げておく。5を蒸器に入れ強火で2分、あと弱火で15分蒸す。竹串で刺し、透明な液が出てきたら出来上り。
7.お好みで、ラー油をふりいただく。
◇話32. 酒風呂
大変気分的にリッチな方法を紹介します。
お風呂の湯船にお酒を入れて、楽しもうというものです。色々貰い物したりして、その中の今まで私が進めなかったような日本酒なども混じっていることでしょう。普通、この様な日本酒は料理酒などに使いますが(普通じゃない、普通はどんなものでも飲むものだ。マアマア)、これを、お湯を張った湯船に1升の半分(約5合)をドボドボと入れます。湯気は酒臭くなりますが、湯そのものは変化はありません(なめても、酒の味はしません)。 小さい湯船か、ケチって使えば1回分1升の1/3でも良いでしょう(1升で3回使えます)。
効能:その1. 湯冷めしません。冬の寒い日でもお風呂からあがて30分ぐらいは、まるで夏の日に長風呂した様に、いつまでも体が火照っています。心または芯から暖まります。風邪の引き初めの時などは特にいいと思います。
効能:その2. 身体がスベスベになります。肌が艶やかになり、シットリと潤いを感じさせます。まるで、肌が若返ったかと思うほどです。特に女性には人気です。
事実、湯がいつもより汚れ、湯船の底にアクが沈殿するのが見られます。これは毛穴等が開き肌の不要物がお湯に溶けだした物と、私は思っています。
効能:その3. 一家全員が入れて、その上安価である。 ディスカウント店で自分で安い日本酒を買ってきても高々800円位で求められるでしょう。高くても1000円止まりで買えるでしょうから、1回の使用料は4〜500円でこれだけのリッチさと、家族全員の健康に寄与することはないでしょう。へたな入浴剤など足元にも及びません。
効能:その4.入浴後でも、身体は当然酒臭くありません。私の家では、子供がこの風呂を作れと、せがみますが、適当な日本酒がないときは困ります。 自然志向の世の中、このごく素朴なお風呂は価値があります。いかがですか?
◇話33.お酒を出す順番
お酒を複数本出すときは、必ず出す順番があります。これを間違えると、その席は台無しになってしまいます。
それには、お酒のレベルを計り、ランクの低い物から順にテーブルへ出していくのです。本醸造を出したら、次に中吟醸酒、そして最後に大吟醸酒という順です。決して早く飲みたいからと言って、その逆の順には出してはいけません。 寄席でも最初は前座が出て、場をその雰囲気にして、次に中堅どころが出演し盛り上げ、最後のトリは大真打の登場となるのです。これは、お酒の世界でも同じで、最初に美味しい最上級の吟醸酒を飲んでしまうと、ランクの低い物は欠点ばかり目立ち、もう飲めなくなってしまうのです。 順番が正しければ、だんだんと毎回その酒の長所が見えてきて、その酒のレベルと旨さが楽しめるのです。長所を見て楽しむのと、欠点を見ながら飲むのとでは、大違いです。
過日、Sウイスキー白州蒸留所に見学に行ったときですが、ひとコース見終えた後、お待ちかね試飲会です。会場でまず出されたのがピアモルトの10(?)年物(\10,000クラス)だったと思いますが、これが旨かったのです。次に飲み比べで出されたのが、今売出し中のグレンモルトのチェリー酒樽仕上げの凝ったもの(\4-5,000クラス)ですが、TVコマーシャルではこの方がずっと美味しく感じられますが、案の定、案内のお嬢さんが数十人のお客さん相手に聞きました「どちらが好みで、美味しいですか?」、誰もが最初のピアモルトに手をあげましたが、「それではチェリー酒樽仕上げのはいかがですか?」、当り前ですが、居ました、好みですから、1人だけ。勇気のある人です。せっかく今売出そうとしているウイスキーがさんざんな、評価を受けてしまったのです。これでは逆宣伝になってしまいます。試飲会が終ってこの案内嬢になぜこの様な評価が大差になるのか聞いてみましたが「?」、当然判らないのです。これは出す順番が違うので、最初にチェリー酒樽仕上げのもの、次にピアモルトのもの、と言う順に出せば、それぞれの旨さが楽しめたのにと話しましたが「?」。半信半疑、残念でした。
◇話34.日本酒の出荷量の現状と推移
日本酒の蔵元出荷量(製造量)は平成9酒造年度で大吟醸酒、吟醸酒、純米吟醸酒合わせて11%。本醸造酒16%。普通酒73%。が製造販売されています。逆に言えば、普通酒が約7割以上飲まれている、と言うことです。簡単に言えば、4人に3人がこの普通酒を飲んでいることになります。この”特定名称の清酒”(吟醸酒・純米吟醸酒・本醸造酒等)の割合(%)が年々わずかずつ増えています。良い傾向だと思います。わずかずつですが。
しかし統計をよく見ると大変なことが判ってきます。
実数(=出荷量)で見ると、吟醸酒は微増、本醸造酒は微減、両者合わせて横這い。普通酒は年々減少傾向にあります。当然日本酒全体で見れば減少傾向にあります。それは数字から見れば明らかで、全量で平成5年142万klが平成9年では117万klになっています。普通酒の落込みがひどいのです。たった5年位で18%も出荷量を減らしています。これに比べ、上質酒(吟醸酒)が頑張っているのが良く判ります。飲手(消費者)はやはり賢いのです。
◇話35.酒造年度と日本酒の日
役所の会計年度は4月から始り翌年の3月で終りますが、同じように酒造の世界では、7月1日から始り翌年の6月30日で終ります(BY=brewing yearと略記します)。 ですから、平成12年2月の今は酒の世界では平成11酒造年度と言うことになります。”話34.日本酒の出荷量の現状と推移”の中での年号はみな、この酒造年度の年号です。
ですから、新酒が出てくるこの時期の酒は、酒造年度で言えば前年の年号が付いています。なんだか去年の新酒を飲んでいるような、判ったような判らないような、変な気分です。また酒造りの最初の日が蔵元では元旦のようなもので、お祝をする所もあると聞いています。その為この日、10月1日は”日本酒の日”と日本酒業界では制定しています。その業界ではその起源を、酒の古字から”酉(とり)”は酒壺を表す象形文字であり、本来月の記号である十二支の十番目が酉の月(東京では”お酉さん”が有名で熊手を買ってきます)、つまり酒の月で、中国でも新穀が穫れ酒造が始るこの月を酒の月としたのです。と言うことです。
◇話36.鑑評会での味のテスト法について
鑑評会で酔っぱらっていては、公正な品評が出来ないのが当然です。ですから試飲の時は色を見て香りを感じ、口に入れて味を見るのですが、決してこのお酒を飲み込みません。当たり前の事です。
しかし考えて下さい。この”当たり前の事です”が、実際我々がお酒を飲酒するときは”当たり前の事”では無いのです。
鑑評の時に欠落している動作に、喉ごしの味と、含み香(戻り香)の出来不出来があります。私は常々飲み込んだ後に初めてその旨味の全てが判ると言ってきました。鑑評のランク付けが正しく出来ない理由のひとつが、これらから来るのが原因のひとつだと思っています。
しかし、最初に書いたように、酔っぱらっては出来ない作業ですので、鑑評するにはおのずと限界があります。そこを見抜いて(計算して)訓練と経験をつんだ鑑定士が複数で鑑評しているのでしょうが、やはり充分ではないでしょう。では全部飲み込んでとも行かないでしょう。ですから、そこの所を割り引いて、消費者側が感じ取らなくては成らないと、思っています。例えば、ヘルメットの安全基準が満たされているかどうかを、検査するときは、何個かおきにピックアップして破壊検査をして壊れ具合を見るのですが、それがOKならばその前後の製品は規格を満たしているとするのです。しかし100%規格の中に収まっているという保証はありません。だからといって、全品破壊検査するわけにっは行かないのです。当たり前の事ですが、テストした製品は商品とは成りません。壊しているのか商品を造っているのか、分からなくなります。工業製品では、確率の世界でそれをヨシとするのです。自動車でもパソコンでも皆同じです。
この鑑評会でも同じように、少ないデータから全てを判断するしかないのです。出来ないものをしろといっても、それは無いものねだりでしょう.
話を戻して、”テスト法と我々の飲酒とはおのずと違う”という事です。
◇話37. 色の表情について
おりがらみの濁り酒や、もろみ成分がしっかり入った活性生酒などの白濁した清酒は”白い色”をしています。
”赤い色”をした、赤酒も有ります。
吟醸酒の色については、透明な色から黄金色とか琥珀色までの間の色をしています。
新酒では”透明”か”それに近い色”をしています。
熟成酒、または古酒になるにしたがい、色が付いてきます。薄い肌色から古酒になると”烏龍茶(麦茶)の様な濃い色”に変わってきます。老酒(=紹興酒)の色がまさしくこの色です。老酒でも出来立ては透明な色をしています。時間が色を付けている事が多いのです。ウイスキーの琥珀色も時間がその様に色ズケしているのです。
一般的にはそうですが、しかし、透明だから新しく、色づいているから時間が経て居る酒、とは一概には言えません。新酒でもうっすらと色づいている物(結構、この方がイイ出来の物が多い)も有れば、熟成酒でも透明な物もあります。頭の中を混乱させるような言い回しになっていますが、整理して言えば、大きな流れの中で、新酒の時は透明かそれに近い琥珀色、古酒になればなるほ烏龍茶のような色になってきます。安い普通酒などでは、数ヶ月で色付いて来るのがわかります。当然、ひね香が付いてきますし、味の保証はありません。
造りの中で完全に透明にすることは今の技術では容易に出来ることです。それは、活性炭を通して色を抜くことが出来ますが、色だけではなく、もろもろの旨味や味わい香りまで抜いてしまいます。先にも言いましたように、ごくわずかほんのりと色づいているのが自然ですし、またこの酒の方が旨いことが多いのです。酒が出来上がってから色々いじくり回しても、素性の悪い物は良くなることは少ないのですが、少しでも良くしようと蔵元では、ついいじくり回してしまうのでしょう。イイ米でイイ酵母と高精米で丁寧に造られた物には、手を加えなくても当然優れているのです。話がそれそうなので、元に戻して、烏龍茶の様な色に成っては論外ですが、色も味わいの中の一要素ですので、透明なグラス又は白色の酒器で、目で見て楽しみながら飲まれることをお薦めします。
日本酒には厳然として賞味期限が有ります。
常温での保存状態では、白鶴酒造さん(神戸市東灘区)では清酒(普通酒)は1年と言っています。
樽酒は剣菱酒造さん(神戸市東灘区)の見解では、この商品に賞味期限は設けていないが、樽の包装部分に「夏場は5日から7日以内で飲むか別の容器に移すように」と言い、上野英洋営業部長は「樽詰めの酒は言わば『なまもの』で、樽には接着材や殺虫剤を使っていない。できるだけ早く飲むようお願いしてきたとコメント。意外と寿命が短いことが分かります。
日本酒には賞味期限が厳然とあり、正しい保存管理がなされていないと、出荷時の品質を維持することが出来ません。
都内のある酒販店のホームページ質問コーナーで、日本酒には賞味期限は無いと回答しているのがありますが、情けなくなります。これが平均的実状だとは思いたくありません。もう一度言います、日本酒は生ものです。吟醸酒ではもっとデリケートで日当たりの良い所では1,2ヶ月がせいぜいか、もっと短いでしょう。小売店では当然保冷庫に入れ直射光が入らないようにしなければなりませんが、商品移動中はどうなのでしょか。また、箱入りの高価な吟醸酒には一番お客様から見える、店頭の1番良い棚(?)に飾られていることが多いようです。自ら賞味期限を短くしている様なものです。
デパートでは「特別にお取りしています」と言いつつバックヤードからうやうやしく持ってこられると、目の前の保冷庫の同じ吟醸酒は何であるのか。嬉しいような、悲しいような複雑な気持ちになります。吟醸酒の内、熟成酒と呼ばれる物は、それにあった酒質のものを選んで、蔵内で低温で光の当たらないようにして保存管理して、初めて出来るもので、偶然残っていたものを出荷するものではないのです。これも出荷された後は管理が悪ければどんどん下降線をたどります。
青島酒造 喜久酔「純米吟醸 松下米50and40」 の酒造米について、
「ふるさとの米で本物の地酒を造りたい」・・・これは酒造家にとってかけがいのない夢です。
このお酒は一人の熱い心を持つ農業青年との出会いから誕生しました。藤枝市の松下明弘さん(38才)が「自分の田んぼで酒造米を作らせてほしい」と蔵を訪ねて来たのは平成8年春。
彼の米作りは田おこしをせず、化学肥料を使わず、自家製の有機発酵肥料で土を肥やし、大地に稲をしっかり根付かせるというものです。
化学肥料のかわりにセリ・ヨモギ・ドクダミ等の野草の抽出液も使用します。彼はこの農法で栽培が難しいといわれている酒造好適米・山田錦を見事に作り上げました。
田んぼには、この地で数十年来お目にかかれなかった「豊年エビ」も回帰し、これを餌にする蛙や水性昆虫が集まり、されに、これらを餌にする様々な鳥が飛来しました。自然本来の生態系が蘇ったのです。
私たちも一緒に田んぼに入り、苗を植え、毎日雑草取りをし、収穫の喜びを分かち合いました。
山田錦という米の特性も、無農薬有機栽培の難しさも、その価値も田んぼでじっくり学びました。
この体験を通じ、私たちは「酒造りとは仕込みの冬だけではなく、種籾を選ぶ春から、稲刈りの秋までを含め、ふるさとの四季とともに醸していくものだ」と実感しました。
松下米を託された杜氏の富山初雄さんは格別な思いで酒造りに取り組みました。彼は37年間、喜久酔ひとすじに酒を醸し続ける熟練杜氏。
酒米・松下米の真価を仕込みの現場で最初に見出したのも彼でした。
松下米は高精白をしてもヒビ割れせず、洗米しても胴割れせず、良い蒸し米になり、理想的なツキハゼ麹が出来たのです。
秋上がりするといわれている山田錦の実力を確かめようと、熟成には低温でじっくり時間をかけました。 そして充分に手応えのある純米大吟醸酒に仕上がりました。この結果を通じ、私たちは「酒造りは米作りから」という思いを改めて胸に刻みました。
飲む人を感動させる酒とは、感動を知っている者が造った酒だと思います。若い稲作農家の真摯な姿勢に感動し、彼が育てた稲に宿った米の力を受け継ぎ、「感動を伝えることのできる酒」を目指して造りました。(蔵元のメッセージから)この話にあえてコメントしなくてもイイでしょう。ただ、青島酒造 喜久酔「純米吟醸 松下米50and40」 は平成12年11月に飲んでいます。感動できるだけの旨さを持っていたことだけは本当です。
話32.酒風呂で、お酒をお風呂に入れると、いいですよー、と言う話を書きましたが、その他にも、飲用以外での使い方それぞれ。
1.お酒をこぼしてしまった時、どうしますか。直ぐ、布巾などで拭き取りますよね。それはもったいないことです。こぼす事ではありません、拭くことです。まず、手で拭きます。手にふき取ったお酒を、ハンドクリームのように、手にすり込むと、ヒビ、あかぎれは勿論のこと、手がすべすべになります。なお三増酒はいけません。手がべとべとになってしまいます。
2.ご飯を炊くとき、大さじ1杯のお酒を入れると、美味しいご飯が炊けます。ワンランク,米の等級が上がります。
3.料理酒に使うことは誰でも判りますが、インスタントラーメン(麺)に少し入れると、インスタント臭さが無くなり、美味しくなります。お鍋で煮るタイプの物でも、カップラーメンタイプの物でも同じです(市川酒店談)。私も半信半疑試してみましたが、その通り旨かった。これからはこれ以外ないでしょう。
4.干物を焼くときに、お酒を少〜し塗って焼くと、柔らかくなり旨みも増します。
5.厄よけや鎮魂のため、供えたり撒いたりすることは良く知られています。お祓いの時使うのは良く知られたいます。知り合いの神官にそのお酒を試飲させて貰った事がありますが、ごく普通の日本酒で、呑むよりこの方が向いている(?)と、思われるほどです。
6.応急的には、傷口に消毒用として使うこともありますが、アルコール度数が高いウイスキーやラム、ジン、焼酎などが良いでしょう。
7.靴を磨くとか、虫歯を治すとか、足に塗ると身長が伸びるとか、財布に塗るとお金が貯まるとか、ジョークですが、本当のこともあるかも? 何か面白いアイデアが有ったら教えて下さい。ここに続きを書きます。
ここで ひとまず 休憩? 一杯やって来ますので、後ほど次のコーナーでお会いしましょう。
テーマをいただければ、私の知る限りで続きを書きます。<先頭に戻る> §吟醸酒トップページに戻る§ 「いい品質の吟醸酒の見分け方」へ <次のページへ(少々お待ち下さい)>