物件No.235 「イルカ島」 沖縄県

新・廃墟の歩きかた 探訪編 出版記念公開

「海に浮かぶ楽園の廃墟」

沖縄を縦断する国道。那覇から北東へ走る。市街地がアメリカに変わり、そしてリゾートへ踏み入れる寸前。
それは海上に現れる。漁港にはいり直近まで近づく。島までは50mもない、しかしそこには深さ2mほどの、小さな東シナ海が横たわっている・・・無理だ・・・
奇跡は突然にやってくる。観光船に乗る際に桟橋と船の甲板はほぼ並行であった。数時間後、マリンスポーツを楽しみ港へ帰る。
桟橋がはるか頭上に・・・船長が梯子をかける。「大潮だ!足元に気をつけて昇ってください。1mいや2m近く水位が下がっている!!
「あ!!」急いで支払いを済ませ、走って車に乗る。いつか見たあの島へアクセルを踏み続ける・・・東シナ海はまるで小川のように小さくなり。
膝までの海水につかれば、島に渡れる・・・海鳥の声、美しく透き通った海水は、初夏の温かみを帯びていた。

昨年見た島の様子。
完全に体が水没するほどの水深である。
水面にあった島が露出している。
30cmほどの海を横断し島にわたる。
美しく透きとおった海。
本州の綺麗さとは次元が違う。
何年、廃墟であったのだろう。
土台のコンクリートは崩れまくっている。
床は完全に抜けている・・・
いや、床は存在しない。
って言ったほうが的を得ている。
春先なのに、夏のようにs曲物が
繁茂している。
もうじき、梅雨が宣言されるはずだ。
レストラン内部。
見所は少ないが、中城のように
乾いて清々しい。
屋上。
美しい東シナ海が一望できる。
地下への階段。
洞窟へ入る。
鍾乳洞のようだ。
ごつごつした岩肌が綺麗な色彩を
帯びている。
竜神の祠が祀ってある。
更に奥に何かが・・・
水槽である。
反対側にも・・・。
水を湛えた水槽も・・・。
アメリカの匂いがする落書き。
島の地面には・・・。
無数の珊瑚が!!
そうイルカ島は珊瑚の島だったのだ。
洞窟の色彩も頷ける。

残留物が全くなく、廃墟プロファイリングができなかった。
中城と同じく、沖縄海洋博覧会目当てで作ったが、橋を架けてはいけない場所に、橋を架け営業。
その後、橋を撤去せざる得なくなり閉鎖。そして廃墟である現在にいたるらしい。
所謂、廃墟の楽しみ方は、できなかったが小さな冒険を味わえる廃墟であった。
余談ではあるが、探索後潮が満ち始め水位は、腰を上回っていた。転んだらカメラやライトの水没って感じで、また、スリルを味わえた。
※新・廃墟の歩きかた の「中城」と差し替えで掲載したかったが、校了後でかなわなかった。なので、公開^^