物件No.200 「横浜Dランド」 神奈川県

「楽園の終焉」

 昨年(2002年)2月に閉園した、老舗の遊園地。1964年にオープンし40年近い歴史に幕を下ろした。
私の幼少期、関東には沢山の遊園地が存在した。「京王遊園地」(京王帝都電鉄経営の遊園地、京王多摩川駅に存在した)「二子玉川園」(ナムコワンダーエッグがあった辺り)「谷津遊園」(千葉の谷津干潟)などを覚えている。今は無くなってしまったが、心の中には鮮明残っている。楽しかった思い出は深く刻まれるのかも知れない。また、ほぼ同時期に「向ヶ丘遊園」閉園した、ここも小学校の遠足で何度か行った覚えのある思い出の場所だ。末期まで「??レンジャー」や「何々ライダー」ショーなどで頑張っていただけに残念だ・・・。
アメリカの巨大資本が作り出した「ネズミーランド」や「ユニバー猿スタジオ」等のテーマパークに日本の文化「遊園地」は今後も飲み込まれ無くなって行くのであろうか・・・?頑張れ「豊島園」&「小山遊園地」!!

 廃墟フリークの間ではかなり有名な事だが、ここの廃墟の潜入は、かなり困難を伴う。経営母体が生きているので、キチンと警備している。っていうか、「ドリーム銀座」内の潰れた店舗に警備会社の事務所が常設していて、警備員が敷地の周りを自転車で巡廻し、敷地内は徒歩で巡廻している。本当の話だが、知っているだけでも2名の人が捕まった。1人は関係者のフリをして事なきを得たが、もう1人は2週間ばかり留置場で暮らしことになってしまった(その後、失踪し未だ行方不明)。しかし、ある日チャンスが訪れた!!年に一回のこの施設で行われる最大のイベントである。そのイベントのため、警備員は駐車場の交通整理を行わなければならず。廃遊園地の警備どころではないはずだ!!「廃墟Explorer」出動!!

 さて、私は廃墟の専門家では有るが遊園地の専門家では無い。多少、説明のおかしな点があるかもしれないがご容赦頂きたい。

2003年12月22日「ゴーストハンターズ」「お化けハウス」内部公開
「ジャングル探検船」「大海賊」作成中

朝日とエンパイア

鳥居の向こうにボーリング場。
さらに向こうに「ホテルエンパイア」が聳え立つ。
やはり「Dランド」に「エンパイア」は欠かせない存在だ。
工事用柵

この様に、敷地の外周は全て柵に覆われている。
後は思い出とともに取り壊されて行くのを待つばかりだ。
ドリームボール

Dランドに併設されたボーリング場。
ぱっと見は廃墟かと思ってしまうぐらい。
廃れている。
お城

まさに夢のお城。
これも重機により壊される。
この安っぽさが「遊園地」って感じがして良い。
隣の車と比べてもかなり大きいのがわかる。
ドリーム銀座入口

遊園地のコンセプトを取り入れたデザインの商店街。
アーケードになっている。
外観が昭和の時代を象徴してかっこいい!!
ドリーム銀座内部

太陽が降り注ぐアクリル板で屋根が作られている。
全ての店舗のシャッターが閉まり閑散としている。
明るいだけにこのコントラストが淋しさを増幅させる。
ちなみに病院が1件だけ営業していた。
警備会社詰所

この自転車で園外を巡廻。
ドリーム銀座撮影中にも何度か出入があった。
ちなみに怪しい者を見る目で睨まれてしまった。
たしかに怪しいが・・・。
ドリーム銀座出口

手前の右は酒屋さん、左はレストランだった。
今では壁やシャッターに落書きが描かれ
往年の面影は完全に無くなってしまった・・・。
この残酷なまでの現実が「廃墟」の魅力の1つなの
かも知れない。
Dランド入口への歩道

さていよいよ本体へと向かう。
歩道の向こうにDランド入口のゲートが見える。
お父さんに手を引かれ、ワクワクしながら歩く子供の
姿をもうここで2度と見ることは無い。
ゆっくりと歩いてみた・・・。
入口ゲート

凱旋門を模した造りであろうか?
チープなつくりの中にも歴史の重みが含まれる。
様々なアトラクションやイベントの案内が今も残る。
まさしく「夢の国」の入口だ・・・。
そして夢は醒めてしまった・・・。
「Dランド」さよならフェアの張り紙

せっかく「Dランド」って書いたのにばればれですね。
っていうか最初からばれてますね(笑)。
この期間、沢山の「Dランド」ファンが集まったと聞く。
もう少し努力すれば延命できたかもしれない。
しかし、経営母体自体がピンチだしそれどころでは
ないか・・・。
顔出し看板

園内アトラクションのジャングル探検船バージョン。
探検隊員の顔で写真を撮る人もいないと思うが、
ゴリラはもっといないと思うが・・・。
園内で

さて手段はさておき何とか園内に潜入した。
中にはまだ「青色狸ロボ」と国営放送のキャラクターの
子供用遊具が残されていた。
恐らく回収はしないで、園とともに棄てられてしまうの
だろう。
園内その2

閉園してからまだ数ヶ月しかたっていないのに、
園内は荒れ放題だ。
アスファルトの隙間から雑草は生い茂り、設備が散乱
している。
かつてここに沢山の人々が集い、多くの笑い声に
包まれていたのであろう・・・。
今は微塵も感じさせない。
プール跡地

もしかしたらスケートリンクかも知れない。
または、夏期プール、冬期スケートか?
無数の椅子がメチャメチャに散乱し柵が倒れる。
しかし、観覧車だけはここが廃墟では無いの如く
澄み切った空の下に立ち続けてた・・・。
パイレーツ?

最盛期にはきっと長蛇の列ができたであろう。
これは解体され何処かの遊園地で再生するのか?
それともここで処分されてしまうのか?
ちなみにメリーゴーランドは小山遊園地に移設された
そうだ。
このパイレーツにもどこかで会えたら素敵だろう・・・。
グルグル回りながら高く上がるアトラクション

名前はよくわからない。が何処にでもあるような機械だ。
若干錆びてはいるが、今動き出しても不思議では
ないような状態だ。
「本当に無くなってしまうのだろうか?」
答えはわかりきっているが、そんな疑問が湧いた。
園内その3

暖かい日差しが降り注ぐ休日。
本来なら沢山の人々が楽しそうに歩いているべき空間。
なのに時折、外界から聞こえる生活音以外は静寂が
支配している。
こんな光景、廃墟以外のどこで味わうことができるだろうか?
ジェットコースター降口

階段のペンキが一部剥げて錆びている。
登ってみたかったが、外の公道から丸見えになるので
我慢した。
有るべきものが無い・・・。
不思議な感覚だ・・・。
ドラゴン頭部

ジェットコースターの一部。
この口の中に滑車?が入っていく、という仕掛けになっている。
ドラゴンのチャチな創りが、逆に良い味をかもし出している。
まさに日本の遊園地の典型のようだ。
ドラゴン胴体

ナイロン製のテント素材のようなものが鉄のリングに
巻きつけてあるだけの構造だ。
向こうの林(っていうか外の家等を隠す植え込み)に
20m程度伸びている。
ドラゴン腹部

レールの支柱がわかるだろうか?
先端で見えなくなっているのは、途切れているのでは無く
上方に傾斜しているためだ。
途中お腹に一箇所穴が開いていた。
ゲームセンター外観

兎に角、外から見られないように、建物の陰に隠れ移動した。
なので、全景が撮れない。
とりあえず、潜入経路を探してみる。
内部潜入成功

事務所の中には様々なものが残されていたが、
事務所廃墟潜入記では無いので端折ります。
レジ2台と手提げ金庫。
これを見れば、どれだけのものが残されているか
想像できるだろう。
ちなみに何も入っていなかった・・・。残念(笑)
ゲーセン内部全景

かつてアンティークゲームが沢山ある事から人気が
高かったらしい。
今でも、数台のゲーム機が広い空間に寂びしげに残されていた。
「ゴーストハンターズ」入口

カッコイイ乗り物に乗ってゴーストを銃で撃つアトラクション。
ちなみに有名な「尾去沢鉱山」の「マインランド」にも
坑道を利用した同様のアトラクションが有る。
結構、面白かった・・・。

中に入ってみる
ゲーセン内部その2

左が「お化屋敷」の入口で、右が「スリラーハウス」の入口。
廃墟のお化屋敷って更に恐そうだ・・・。
でも、廃墟探検家の血が騒ぐ・・・。
チョット近づく

クレーンでカプセルを掴むゲームが3台放置してあった。
中には景品が入ったままだったが、多くは「景品引換券」
って紙切れが入ったカプセルだった。
あれっ!!
お化けの絵が描いてあるが全然恐くないぞ!!
でも、お手洗いは行っておこう(笑)。
化け猫??

ここは「お化け」と「スリラー」の入場券売場。
オシッコもしたし(嘘)覚悟を決めて突入する・・・。
握り締めた懐中電灯が小刻みに震える。

注)本当は「お化け」も「スリラー」も両方入ったのですが、
途中軽微なトラブルに見舞われてしまい、出たり入ったり
したので、撮影した画像がばらばらになってしまいました。
なので面倒なので両方あわせた「お化ハウス」にします。

「お化ハウス」に突入する。
海底探検

水が干上がって貝やらなにやらが、水面に出てきちゃっている。
本当はここも探索したかったのだが、潜水艦がないので断念。
左のトンネルのなか、かなり見たい・・・。
しかし、所詮、胡散臭い「廃墟探検家」ではここが限界。
魚が・・・。

チョット見難いが、色とりどりの熱帯魚が死んで浮いている。
おそらく閉園後、電気が停められて水温が下がったせいだ。
かわいそうに・・・。

すみません嘘です(笑)。
もちろん全部作り物の魚だ。
水底からひもで固定され、浮力で水面下に浮いていたのが、
水量の減少により水面で浮いている。
本来、潜水艦の窓から見るものだ。
潜水艦

ああーーー!!
潜水艦発見!!しかし、燃料はないし、重くて水辺へ運べない。
なんか、こう上手く言えないが、私の幼少の頃にイメージした
潜水艦って感じで素敵です。
一応、水際迷彩で塗装されています。
ジャングル探検船

乗船口です。
やはりこれは「Dランド」最大級の屋外アトラクションかと。
多くは語らない・・・。

いざ、ジャングルへ(作成中暫くお待ち下さい)
偉人の胸像

なんだかかなり裏の外れに放置してあった。
岩倉具視とか板垣退助とかなんだか昔のお札で
見たような顔ぶれだ。
しかし、どんな用途に使われていたのだろう?
将軍の像

多分、山本五十六とか野木将軍とかその辺だったと・・・。
英雄もいまや草むらの中で寝ている。
明治天皇の像

偉人たちの裏に隠れていた。
昔は偉人の展示館なんていうのが有ったのだろうか?
多分、かなり人気無かっただろう・・・。
しかし、今だったら見たい気もする。
ある意味かなり不気味なゾーンである。
園内その4

音を立てることすら出来ない園内。
かつて植えられていた花が枯れはてたこの地は、
最後の時が来るまで、静かに存在し続ける。
「夢の国」いつか夢は醒める・・・。
券売所

かなり粗悪な材料で出来ていたのだろう。
壁の半分が壊れてしまって中が丸見えだ。
華やかな彩が哀しさを誘う。
大海賊

Dランド最大級の室内アトラクション。
ある意味最高級の廃墟建造物でもある。
これもかなり怖そうだ・・・。

「大海賊」へ入る。(作成中暫くお待ち下さい)
モノレール駅廃墟

園内の面白そうなところも周りつくし表へ出る。
やはりここは押さえておかなければならない。
専門的なことはてっちゃんに任せておこう。
モノレールのレール

レール自体は撤去されているがコンクリートの台座は残っている。
不法投棄がもの凄く駅舎とレールの間にゴミがみっちりだ。
こんな自転車まで捨てられていた。
カラスの死骸

廃墟に死骸は良く似合う。
っていうか良く遭遇する。
骨と羽もやがて風化し消えてゆく。
それでも廃墟はのこり続ける・・・。
墓標

Dランド跡地には一時期巨大中古車センターが出来る
構想があったが住民の反対で市営の墓地になるそうだ。
皮肉にもエンパイアの巨大な骸がこの遊園地の墓標に見える。
日本一の墓石かもしれない・・・。
数十年後、ここが遊園地であったことをどれだけの人が
思い出せるだろう?
そしてその時、エンパイアは存在しているのだろうか?