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 かきちゃんSTORY U

                                                  このおはなしは フィクションです.

U 横浜にて……  衝撃の告白 

             
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 時計の数字はPM7:05と表示されていた。雑踏という名の人の波が
縦横無尽に速度や大きさを変え、流れている横浜駅の中央通路。柿澤はそ
の波を流し、かわして、東口の方へ向かいう前に、その時計の数字を見た。
「約束より二十分も早いけど……」
 柿澤は横浜駅東口の歩道票を上がっていく。階段を上りきって、右に曲がれば、待ち合わせ場所のそ○うの時計塔のようなモノがあるはずだ。
 柿澤は歩を進めた。
(あっ!!) 
 待ち合わせ場所にいる漆黒の長い髪の女性が柿澤の方を向く。
(さくらさんだぁ!)
柿澤の顔がニヤつく。{傍からみると不気味だ}
 「柿澤クン!」
さくらが柿澤の方に歩み寄ってきた。柿澤は駆け足でさくらのトコへと急いだ。
「待った…?」
「んんー、今来たばっかり。でも…、ホントにきてくれるなんて……」
さくらはすこしうつむいた。
 すると、柿澤はすかさず言った。
「な…、なんでよ! オレが断る理由なんてないじゃないっ!!」
「でも…。こないだ、柿澤くんのコト忘れて……」
「あ、あの時は。話が話だったし……。俺、気にしてないよ!」
「ホントに?」
「もちろん!!」
柿澤の言葉と笑顔にさくらの顔がほころんだ。
 照れくさそうな顔をしている柿澤の腕にさくらの手がからまってきた。
「よかった。あのときのお詫びの意味も込めて、今日はわたしにご馳走させてネ!」
「べつにいいけど……」
「ウフっ」
 複雑な表情で顔を上げた柿澤を覗き込むようなフリをして、さくらは言葉を続けた。
「じゃあ、どこで食べようか……」
すこし考える様相を見せてから、柿澤のほうを見る。
「柿澤くんはどこがいい? 中華街? それとも……」
 柿澤の頬は赤みを帯びていた。おまけに照れていて、さくらとまともに視線が合わせられなかった。
「ちゅっ…、ちゅ、中華街でいいヨ……」
柿澤はたどたどしい言葉で言った。さくらの視線を避けながら……。
 ふと、柿澤を見つめているさくらの顔がくもった。
「かきざわくん…… ごめん……」
さくらは申し訳なさそうに、うつむく。
「風邪……、まだ治ってなかったんだ……」
「え? なんで……??」
柿澤は一瞬困惑する。
「だって、かきざわくんのかお……」
「えっ…!? あっ、ああ…。コレ? ハハハ……」
柿澤はさくらの言っているコトに気付くと、組んでない方の手で頭をかいた。
 さくらは不思議そうな顔をした。柿澤はさくらと視線が合わないように上を向いたままだ。
 さくらが柿澤の正面にいくと、柿澤の顔はさらに後方を向いた。苦しそう…。
「!!」
 さすがのさくらもその挙動不審な柿澤の態度の意味を理解したらしく、にこっと微笑む
と、いった。
「そっか。いこっ!柿澤くん!!」
と、柿澤の腕にしがみつくようにぴたりとくっついて歩きだした。
 柿澤のまわりには天使が飛び交っていた。